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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
後編
127/169

【一二五】ワインレッドジャケットの罠

この連載小説のジャンルはローファンタジーに設定しています。

【登場人物プロフィール紹介】を一〇七話のあとに追加しています。

女子高生は大統領では、

徳田康代の会話に二重鉤括弧を使用しています。

『  』

皆さまの隙間時間でお楽しみください。

三日月未来(みかづきみらい)

 神さま見習いのセリエが消えたあと、徳田康代のホログラム携帯が静かに鳴った。


『はい、徳田ですが』


黒川亜希(くろかわあき)です。

ーー あとでご相談したいことがあって」


『じゃあ、明日でいいかしら』


「はい、明日、伺います」


『分かったわ。

ーー 午前十一時にしましょう。

ーー そのあとでランチを付き合ってもらうわ』


「大統領、ありがとうございます」



 康代は、黒川の相談を薄々分かっていた。

前政府の亡霊のような裏組織だろう。

セリエさまが対応しているから問題ないが、厄介事に変わりはない。




 豊下秀美が康代に声を掛けて来た。

「康代さん、悩みは独り占めしないでくださいね」


『秀美は、いつも優しいわね』


「康代さん、そんなこと言われたら照れるじゃないですか」


『地下要塞に通じる入り口は、宝田劇団の人たちが使っている入り口とは別なの』


「ええ、そうなんですか?

ーー 全然知りませんでした」


『でもね、方向音痴の人が迷い込む可能性が否定出来ないの。

ーー まあ、迷い込んだところで奥の入り口は開かないはずなんですが。

ーー ちょっと気になってね』


「よく分かりませんが、秘密基地みたいですね」


『そうね、要塞というより秘密基地かも知れ無い』


 明里光夏(あかりみか)が執務室に入って来た。


「康代さん、ひと段落したので、お茶にしませんか」


「光夏、私も付き合うよ」


「秀美、気付かず、ごめん。

ーー 秀美も一緒にどうかな」


『光夏、秀美、ちょっと疲れたから、カフェでお茶にしましょう』




 康代、光夏、秀美の三人は、地下を経由して神聖ショッピングセンターのカフェに辿(たど)り着いた。

女子高生警備が六人同行している。


 康代は、警備にも同席するようにお願いした。

警備は二手(ふたて)に分かれて康代たちの隣のテーブルに、三人ずつ着席することになった。


「康代さん、静女さんがいないのは珍しいですね」


『大丈夫よ、セリエさまの神使セリウスさまもいるから』


「そうでした・・・・・・」


 秀美は、よく分からない康代の言葉に、言葉を濁した。




 康代の前に女子高生姿の緑髪のセリウスが現れた。

背丈は、セリエや静女(しずめ)と変わらない。

 慣れていない光夏と秀美がセリウスに驚いていた。


「康代さん、セリエさまのご命令で馳せ参じました」


『静女は、まだ、セリエさまと一緒ですか?』


「いいえ、天女の静女さまは、いらっしゃいませんでした」


『そうですか・・・・・・』


 康代を心配した静女が、セリウスの横にワインレッドジャケットにスカートで現れた。

淡いピンク色のシャツと静女の紫色の髪の毛が、よく似合って妖艶(ようえん)に見える。


『あら、静女、遅いわね』


「康代殿の波動テレパシーを感じたでござるよー」


『天女さまも、セリエさまに似て来ましたわね。

ーー 静女(しずめ)は、何がいいの』


拙者(せっしゃ)は、お汁粉を頂くでござる」


『分かったわ。じゃあ、光夏、静女にお汁粉ね。

ーー 警備の六人にも、オーダーを聞いて上げて』


「分かりました」

光夏の返事を聞いた康代は、秀美に言った。




『静女のジャケットの色を見て思ったのですが、秀美、

ーー 前畑さんと織畑さんをここに呼んで下さい』


「康代さん、早速」

と言って、秀美はカフェの窓際に行き、ホログラム携帯を手にしていた。


「前畑さん、康代さんが前畑さんと織畑さんをお呼びです。

ーー 至急、来てもらえますか」


 それからしばらくして、織畑信美(おりはたのぶみ)首相と前畑利恵副(まえはたりえ)大統領が女子高生警備と一緒にやって来た。

警備は、康代の配慮(はいりょ)で隣のテーブルに着席することになった。


「康代さん、何でしょうか?」


『今回の件に暗躍している裏組織を、

ーー 一網打尽にする罠をお願いしたいの。

ーー 多分、食いつくわよ』


 徳田康代大統領は、二人手招きして小さな声で伝えた。


「なるほど、新しい制服ですね」

織畑と前畑が言った。


『大声上げちゃダメよ』


 徳田康代は、新しい制服の企画に罠を仕掛け、裏組織をお引き寄せることを思案して、織畑と前畑の二人を呼び寄せていた。


『黒川さんたちと協力して、(はさ)み討ちにするわよ。

ーー 科学とアナログの二面作戦よ』


「康代さん、いよいよ()退()()が始まるのですね」


『気が早いわよ、利恵。

ーー 明日、黒川さんとお会いしてみないと分からないわ』


「で、康代さんは、どうするおつもりですか」

信美にしては、控えめな口調だった。


『田沼さんたちの皮ジャケットを覚えているわね。

ーー あれは、スポットの店舗だったでしょう。

ーー 今度は、大きな発注が動くのよ。

ーー 何処の誰が介入するかが見ものね』


「そして、黒川さんたちがデジタルデータを追いかける訳ですね」


『私は、そんな意地悪くないわよ。

ーー まもなく東亜暦二年でしょう。

ーー セリエさまのジャケットとスカートがヒントよ。

ーー 新しい制服の選択肢を生徒たちに考えただけよ』


「でも、間違いなく敵が指を(くわ)えて傍観しているとは考えにくいわね」


「利恵の言う通りじゃないかな」

信美が躊躇(ためら)いがちに話す。


『信美、今日は歯切れが悪くない』


「康代さん、大きな裏組織が暗躍しているんですよね」


『そうね・・・・・・。

ーー このカフェも安全じゃないかもしれないわね。

ーー じゃあ、この続きは、明日にしましょう』


 康代は急遽、黒川に連絡を入れて、明日の予定を変えることにした。


『・・・・・・ と言うわけで、黒川さん、

ーー 私たちが、そちらに行くから、そちら側で待っていて』


「大統領、私たちって誰ですか」


『私の大統領キャビネットの精鋭四人よ』


「分かりました。地下でお待ちします」


『じゃあ、明日の同じ時間ね。

ーー ランチも楽しみだわ』


 お読みいただき、ありがとうございます!

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投稿後、加筆と脱字を修正をする場合があります。


三日月未来(みかづきみらい)

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