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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
後編
118/169

【一一六】同士討ち対決

この連載小説のジャンルはローファンタジーに設定しています。

【登場人物プロフィール紹介】を一〇七話のあとに追加しています。


女子高生は大統領では、

徳田康代の会話に二重鉤括弧を使用しています。

『  』


皆さまの隙間時間でお楽しみください。

三日月未来(みかづきみらい)

 準々決勝を終えて、準決勝進出の四名は、控えの間に移動して次の試合開始を待っている。

豊下秀美、織畑信美、前畑利恵、田沼光、若宮咲苗の五名が徳田康代と安甲晴美の陣中見舞いをしていた。


『豊下さん、B級会場はどうなっていますか?』


「唐木田さんと森川さんが、準決勝進出ですが」


「豊下さん、それで?」

安甲晴美だった。


「まさかの同士討ち対決です」


「森川さん、運が無いわね」


『A級もB級も同士討ち対決とは・・・・・・。

ーー 神さまの悪戯(いたずら)かしら』



 神さま見習いのセリエと天女の天宮静女が康代の背後に来ていた。


「康代よ、神々は悪戯(いたずら)しているほど暇に見えるかにゃあ」


 康代は背後からの声にドッキとして振り向いた。

黒猫姿に慣れた康代の前に、愛らしい笑顔を浮かべた女子高生姿のセリエがいた。


『セリエさま、大変な無礼をお許しください』


「康代よ、無礼じゃないにゃあ、不敬にゃあ」


『何卒・・・・・・』


「康代よ、冗談にゃあ。

ーー もっとリラックスしてにゃあ。

ーー この試合、誰が勝っても神聖女学園にトロフィーがやって来るにゃあ」


『そうでした』


「唐木田たちも、良い結果が期待できるにゃあ。

ーー 神聖女学園の黄金期と思うにゃあ」


 セリエは告げると、天宮静女と一緒に煙のように姿を消していた。


知らない人が見れば目の錯覚と思う事だろう。




 陰陽師(おんみょうじ)安甲晴美が準決勝進出選手を集めた。


「いつも、かるた会やかるた部で練習している相手との試合になった。

ーー 手加減や同情は、相手の自尊心を傷つけるだけだ。

ーー 運に身を委ねるのも良い。

ーー クイーン戦前の練習と考えるのも自由だ」


 安甲は、息を整え軽く深呼吸して続ける。

「徳田さん、逢坂さん、朝霧さん、全力でお願いしますね」


『先生、ありがとうございます』


「徳田さんと同じです。頑張ります」


「私も逢坂さんと同じです。ありがとうございます」

朝霧雫だった。



 その頃、地下のC級会場では、宝田劇団の朝川夏夜、夜神紫依の二名が準決勝進出を決めていた。


 B級と違い、C級までは、準決勝進出決定で昇段認定がされる仕組みだ。

しかし、B級はC級と違い、優勝または準優勝二回が昇段の条件となっている。


 別の会場では、唐木田葵と森川楓のB級準決勝が開始されていた。


 前半、森川楓のリードで進んだ試合も、中盤に唐木田が追い上げてかるたの枚数が並ぶ。

神聖女学園かるた部の部長と副部長の対戦カードは運命戦にもつれ込む。


 唐木田と森川の額から汗が流れ落ちていた。


(かみ)の句が読まれた。

[きりぎりす・・・・・・]


(しも)の句は、[ころもかたしき・・・・・・]になる。


 唐木田葵の一字決まりの得意札が詠み上げられた。


 その札が森川楓の自陣にあったのを唐木田は見ていたが、飛び込むのを一瞬躊躇った。

森川の手が一瞬早く、札を大きく払った。


 札は空間をくるくると回転して壁に当たり落ちた。

森川が札を拾い上げて、かるたの枚数を確認する。


 同士討ち対決は、副部長の森川楓の勝利となった。


 この結果は部員を通じて安甲晴美に伝えられた。


「唐木田さん、運が無かったわね。

ーー 森川さんには勢いがあったのね。

ーー さあ、私たちも同士討ちを始めましょう」




 明里光夏が康代に報告に来た。

「康代さん、再生回数が過去最高です。

ーー 次の配信準備も完了しました」


『光夏、ご苦労様、

ーー あなたもカメラマンにお願いして休憩した方がいいわよ』


「康代さん、ありがとうございます。

ーー でも、まだまだ大丈夫ですから」


『じゃあ、光夏、一緒に会場に移動しましょう』


 徳田の声を聞いて、応援の織畑、豊下、前畑も移動を始めた。




 徳田と朝霧のAブロックは、壁際に近い席となった。

安甲と逢坂のBブロックは、応援席と入り口に近い席だった。


 司会が入場して、同じ手順で注意を告知している。

専任読手が入場して来た。


 徳田康代と安甲晴美は、同じタイミングで小さく深呼吸を繰り返した。

朝霧雫と逢坂めぐみは、目を閉じている。


 それぞれの自陣に、かるた二十五枚が並べられた。


 安甲晴美の守りかるたの自陣戦略の奥義(おうぎ)は、徳田、朝霧、逢坂に伝えられている。


 自陣札が詠み上げられたら、敵側に取るチャンスはほぼないに等しい。

神聖女学園かるた部かるた会は自陣練習を徹底していたからだ。


 安甲の口癖は自陣を取り(こぼ)すな!

お手付きをするなだったが・・・・・・。




 専任読手が暗記時間十五分の開始を告げる。


 暗記時間が終了して序歌が()み上げられた。


「なにわずに さくやこの 花冬ごもり

ーー いまを春べと 咲くやこの花・・・・・・

ーー いまを春べと 咲くやこの花」


【よ・・・・・・】


四人は、次の音を待っていた。


よの(かみ)の句は四枚だ。

五字決まりと二字決まりだ。


[よのなかは]

[よのなかよ]

[よもすがら]

[よをこめて]


対応する(しも)の句も四枚だ。


[あまのをぶねの]

[やまのおくにも]

[ねやのひまさへ]

[よにあふさかの]


 逢坂めぐみの自陣に“よをこめて”の下の句がある。

逢坂は、二字決まりは手前側に置いてある。


 安甲は、逢坂の配置の癖を知っていたが、諦めていた。

試合は、まだ始まったばかりだ。

安甲は、お手付きをするリスクを踏まない。


 安甲の好きな諺は、”待てば海路(かいろ)日和(ひより)あり“だった。

決して、無理はしない。


 ()み上げられたのは清少納言の上の句の二字決まりだった。


「よをこめて・・・・・・」


 朝霧雫と逢坂めぐみが、札を小さく押さえて先取して準決勝が始まった。




 セリエと静女は、応援席の端にいた。


「セリエ殿、同士討ち対決が始まったでござるよー」


静女(しずめ)、神聖は強いからにゃあ、同士討ちになるにゃあ」


「康代と晴美が出遅れでござる」


「静女、これからだからにゃあー」

 お読みいただき、ありがとうございます!

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投稿後、追記と脱字を修正をする場合があります。

三日月未来(みかづきみらい)

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