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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
後編
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【一一三】田沼博士と若宮助手も応援に駆けつける

 田沼光(たぬまひかる)博士と若宮咲苗(わかみやさなえ)助手は、一日遅れて近江のかるた大会の会場に到着した。

徳田康代大統領と安甲晴美の恩義に報いたいと考えての行動だった。


 近江に到着した二人は応援の前に、神隠し事件で消えていた学者仲間に連絡を入れた。


「いや、田沼さん、お久しぶりです」


「いいえね、あなたの消息が気になりまして」


「ご心配をお掛けしてすみません。

ーー それがね、田沼さん、私、夢から覚めたみたいに、

ーー 何も覚えていないの。だから、なにもわからないの。

ーー お役に立てなくて、ごめんなさい」


「近江に用事があって、近くまで来たので連絡しただけですから」


「田沼さん、来月、東都に行くかもしれないわ。

ーー その時は、お会いしましょう」


「その時は、襟絵(えりえ)さん、神聖学園都市でお会いしましょう。

ーー 羽畑第二空港からも近いので」


 田沼はホログラム携帯を切り、競技かるた会場に若宮と一緒に入場した。




 徳田幕府の女子高生警備が女子高生の制服姿で、蟻の子一匹も入れさせない厳戒体制を敷いている。


 徳田康代が女神の命を受け、新しい時代を牽引する第三世界の大統領になっていたからだ。

世界に残る国家は皇国だけになっている。


 康代たちが参加しているA級個人戦は、全国にインターネットから同時配信されている。

西和無きあと皇国の言語が、唯一の世界語となっていた。


 女神アセリアの意識の書き換えに因り、過去に存在したすべての言語が消去されていた。




 徳田康代たち四人は、奇跡的に初日の四試合に全勝した。

明日のベスト十六に残れたのだ。

朝霧雫と逢坂めぐみは、ギリギリ運命戦に勝利して二日目への切符を手にしている。


 逢坂と朝霧は並んで、神殿にお祈りを捧げた。


「明日もよろしくお願いします」


 天宮静女は徳田康代と安甲晴美先生と一緒に参道を歩いていた。


「徳田さん、おめでとうございます」


『あら、田沼先生、どうされましたか?』


「恩のある大統領の試合を応援しないとね。

ーー バチが当たると思って馳せ参じました」


『田沼先生、オーバーね。お宿はあるの』


「まだです・・・・・・」


 康代は、ホログラム携帯で秀美に連絡を入れた。


『じゃ、秀美さん、田沼先生と若宮さんの宿泊と食事、お願いね』


「康代さん、秀美にお任せください」


『じゃ、あとでね』


 康代は、携帯を切り、田沼たちを連れて近江の稲葉旅館に向かった。




 田沼と若宮は、旅館に到着して、その大きさに驚いている。


「徳田さん、こんな立派な旅館を見たことありませんわ」


『ここは古い旅館だったんですが老朽化が進み、

ーー 近年に建て替えられたそうよ』


「神宮の会場も最新式の建物でしたね」


『人間が無駄なエネルギーを浪費しなくなったためじゃないでしょうか』


「そうですね。

ーー 私利私欲政治が・・・・・・。

ーー 地球の自浄作用を発動させたんです。

ーー ある意味で、恐ろしい事です」


『まあ、終わったこととはいえ、

ーー まだまだ油断禁物ですわね』


 康代の直感は、まだまだ油断出来ないと言っていた。




 豊下秀美が急ぎ足で徳田康代の前に現れる。


「康代さん、明日の試合の紫色の着物です」


『これ、新品じゃない』


 秀美が着物レンタル店の店主に事情を説明したら、一肌脱ぐと言って奥から持って来たことを康代に説明した。


『秀美さんも罪な人ね』


 秀美はボブヘアの耳に被っている黒髪を(いじ)り照れている。


『秀美さん、田沼先生と若宮さんのは大丈夫ですか』


「本館は、ダメでしたが、新館で確保できました。

ーー お食事は、みなさんと一緒ですから心配ありません」


 大統領補佐官の明里光夏(あかりみか)が宝田劇団のスターを引き連れてやって来た。

メディアの取材陣は旅館の外で待機している。


「康代さん、メディアがしつこいのは昔と変わりませんね」


『仕方ありませんわ。あの方たちも仕事ですから』


「徳田さん、明日のベスト十六に勝てば準々決勝ですね」


『そうね逢坂さん、ここから先は茨の道も険しくなるわね。

ーー 運に身を委ねてリラックスよ』


 神聖女学園かるた会とかるた部の重鎮である、共同代表の由良道江、松山八重、安甲晴美の三人が遅れて徳田の前に到着した。

宝田劇団の朝霧雫も一緒にいる。


 由良と松山は、明日は別会場で生徒の応援をすると伝えて、徳田から離れて行った。


「徳田さん、あの人達も生徒が心配なのよね」


『安甲先生、他のクラスの試合もあるから当然じゃないですか。

ーー 私が同じ立場なら同じ事をしますわね』




 徳田、逢坂、朝霧が神聖女学園かるた会の大部屋に入ると、仲間の女子高生たちが自陣かるたの練習をしている。


 かるたの配置練習にも磨きがかけられているのが徳田たちには分かった。


『三笠さん、随分と並べるのが早くなりましたね』


「はい、徳田さん、毎日欠かさず一人で自陣かるたを練習しています」


『練習の成果が出るといいわね。

ーー 私たちも、明日は頑張るから・・・・・・』


 徳田は、大きく深呼吸をして、朝霧雫に声を掛ける。


『明日は八組の組み合わせに、私たち四人が参加よ。

ーー 籤運(くじうん)次第ね』


「徳田さんや先生と当たらないことを祈るわ」


「ああ、朝霧さん、私を忘れているわよ」


「逢坂さん、ごめんなさい。悪気はないから」




『朝川さんと夜神さんの明日のご予定は』


「もう、やる気まんまんよ。

ーー あの二人は負けず嫌いの権化ですから」


 朝霧雫が言った後ろに、朝川と夜神が立っていた。


「朝霧殿、間が悪いでござるよ」

静女(しずめ)だった。

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三日月未来(みかづきみらい)

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