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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
後編
113/169

【一一一】神聖女学園の三色のスカート

 安甲晴美(あきのはるみ)共同代表の前に神聖女学園のかるた部の生徒が集まる。


 神聖女学園に統合された白波女子高と有馬女学園の真新しい水色の制服が神宮の参道に花を添えていた。

安甲の前に元白波女子高の由良道江と元有馬女学園の松山八重が合流した。



「生徒たちのスカートの色が三色あるのは何故かしら?」


「安甲先生、特に強制はないのですが、

ーー 元白波の子たちは緑色のスカート、

ーー 元有馬の子たちは紫色のスカートを選んでいるわね」


 由良の言葉に安甲ははっとする。

急な学校統合で子供たちの心境は見た目以上に混乱しているのかもしれない。


『安甲先生、大丈夫ですか』


「すまん、君たちの立場を忘れていたのかも知れない」


『先生、あれは徳田幕府の決定ですから

ーー 安甲先生が心配することじゃありませんが』


「徳田さんの言う通りです。

ーー セリエさまの前世談義も気になります」




 神さま見習いセリエの分身は、地球の守護神女神アセリアの前にセリウスと一緒にいた。


「セリエよ、どうじゃ、神さま見習いは?」


「アセリアさま、まだ実感が湧きませんが、

ーー セリウスに伝えた通り大きな忘れ物をしていました」


「セリウスから聞いておる」


「アセリアさま、それで皇国の民の意識から、

ーー 第二世界までの意識を残してしまい申し訳ございません」


「セリエよ、杞憂(きゆう)じゃ、

ーー 既に意識の一部は、彼らの中にはないのじゃよ」


「セリエが、アセリアさまのお手数を煩わし申し訳ありません」


「セリエは、予の大切な神さま見習いじゃ、

ーー もっと甘えなさい。

ーー それにしても人間の姿には慣れたか」


「いいえ、まだでございます」


「セリエよ、いつでも、戻って来てもよろしいのじゃよ」


「ありがとうございます。

ーー アセリアさま、失礼します」


 セリエの分身は、女神アセリアの前から消えて光になった。




 天女の天宮静女だけがセリエの分身が離れて行ったのを知っていた。


「セリエさま、先ほどはどちらでござるか」


「女神さまにお会いしに行ったにゃあ」


「セリエさま、あの件でござるな」


「静女は察しが良くて助かるにゃあ」


 徳田と陰陽師の安甲が静女とセリエを迎えに来た。


「そろそろ、会場に入るけど、どうする?」


「人酔いしないように遠くから見るでござる」


「セリエさまは?」


「予も静女と同じにゃあ」


「私たちは、終日会場にいます」


 徳田康代が安甲晴美の言葉を引き継ぎ、セリエと静女に言った。


『稲葉旅館に帰る時は、テレパシーを送るわね』


「康代、そうしてくれにゃあ」


「康代殿、待っているでござる」


 神さま見習いセリエと天女天宮静女が康代の前から消えた。




「さて、徳田さん、今回の試合は今までの中で一番大変よ」


『先生の言葉が外れたことはありませんわ・・・・・・』


 安甲晴美、朝霧雫、徳田康代、逢坂めぐみの四人は、A級の個人戦会場に移動した。


「徳田さん、A級って、どんな感じですか?」


『どんな感じですかね・・・・・・』


 徳田は朝霧の質問に戸惑いを感じた。

それを察知した安甲が朝霧に説明する。


「そうね。強者ばかりよ。

ーー 一回戦を突破出来たら奇跡よ。

ーー だって皆、昔はB級の優勝者や準優勝者よ」


「A級って、野球の一軍と二軍くらいの実力の差があるわね」


「朝霧さんの理解通りよ。

ーー やっと憧れのA級になっても、

ーー 目の前は茨の道よ」


「なのに、みんな競技かるたを続けているのは何故かしら」

緑色のスカートの裾を直しながら逢坂が呟く。


『前世の繋がりじゃありませんか』


「そうね、徳田さんの言う通り、

ーー その可能性が一番濃いかも知れないわね」




 神聖女学園の応援隊と大統領キャビネットの面々がいる。

徳田幕府女子高生支部の警備も同行しているが制服姿で分かる者はいない。


 大統領補佐官の明里光夏(あかりみか)、副首相の豊下秀美(とよしたひでみ)もいる。

遅れてやってきた首相の織畑信美(おりはたのぶみ)と副大統領の前畑利恵(まえはたりえ)が徳田に声を掛けた。


「徳田さん、私たちに夢をくださいね」

前畑だった。


『夢なんて言われると照れるじゃない』


「前畑さん、プレッシャーを掛けちゃ本末転倒よ」


「そうね、徳田さん、ごめんなさい」


『いいのよ、利恵は謝らないで』


逢坂めぐみが、駆け寄って来た。


「私の一回戦は、笹原女子の人みたい、

ーー 徳田さんは滝川女子の人のようよ」


『逢坂さん、ありがとうございます。

ーー まだ時間あるわね』




 逢坂と徳田はB級会場を覗くと唐木田葵(からきだあおい)部長と森川楓(もりかわかえで)副部長に注意された。


「二人とも、新会場は広いですから迷子になったらアウトですよ。

ーー 早く戻ってください」


 唐木田の優しい言葉を受け逢坂と徳田は自分たちの会場に戻る。


「徳田さん、徘徊はまずいわね」


 逢坂の言葉に苦笑いをしていた時だった。

徳田は大きな声に振り返ると夜神紫依と朝川夏夜がいた。


「徳田さん!」


『夜神さんは、朝霧さんの応援ですね』


「なに言っているのよ。

ーー 私たちはあなたのファンよ」


『それじゃ、朝霧さんが可哀想よ』


「大丈夫、朝霧には、赤城麗華と大河原百合がいるわ」


 当然ながら、夜神と朝川の背後にはメディアが濡れ落ち葉のように付いていた。

朝川も夜神も、そして徳田も完全無視を決めている。




 徳田、逢坂、朝霧、安甲の四人は会場に入り、自分の席にタオルを敷いて待機した。


 着物に(はかま)の専任読手が会場に現れ、空気が真空のように変わりざわつきが消えた。

 

 朝霧も逢坂も落ち着く気配がない。

安甲と徳田は遠くを見ているように落ち着き払っていた。

 お読みいただき、ありがとうございます!

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三日月未来(みかづきみらい)

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