表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
後編
112/169

【一一〇】近江の聖地に宝田劇団の大スター参上でござる!

 徳田康代と安甲晴美が参拝を済ませて参道に戻ると、側近の天宮静女が楓の木を眺めていた。

隣には神聖女学園の水色の制服姿の()()()()()()セリエがいた。

康代の近くには、徳田幕府の()()()()()()の三人がセーラ服姿で同行していた。



水上(みなかみ)さん、尾上(おのうえ)さん、紀戸(きど)さん、

ーー お参りを済ませましたか?』


「はい、お陰さまで」


『ところで、あちらの人だかりはなんでしょう?』


 康代が安甲に尋ねた。


「あれはうちのかるた会所属の宝田劇団の大スターでしょう」


『先生、でも、この会場はA級とB級会場ですよね』


「朝霧雫さんは、この前の昇段大会で認定されてB級からA級に昇格していますわね」


『知りませんでしたわ』


「徳田さんは、残された世界の存続に無理していたから仕方ありませんね」


『私は何もしていませんわ。

ーー 徳田幕府女子高生支部とセリエさまや静女のお陰です』



「残された人たちは、どうなったの?」


『神さまの奇跡のお陰で、皇国の民として元気に暮らしています』


「世界が一つになり戦争もなくなり平和になりましたね」


(むご)たらしい大きな天罰はありましたが・・・・・・』


「嫌なことを思い出させてしまいましたわね」


『先生、大丈夫ですわ』


「そうね、徳田さんは私なんかと違い、心がお強いですから」


『ところで、先生も今日は、出場ですね』


「そうね、嫌な相手とは当たらないことを祈ります」


『先生は、大丈夫ですわ』


「徳田さん、もしかして未来を見た?」


『バレましたか』


「徳田さんは、どうなの」


『自分自身のは見ないことにしています。

ーー だって、見てしまったら楽しみが減ってしまいますわ』




 長い参道を進むうちに人だかりに近づいた徳田と安甲に、朝霧雫が声を掛けて来た。


「安甲先生、本日は、一日よろしくお願いします」


「この大会は参加者の増加で二日の日程よ。

ーー 今日はね、本選の予選大会のようなものよ」


「じゃあ、決勝は明日でしょうか?」


「そうなるわね」


「朝霧さんは、今日のA級大会の洗礼を受けるけど、

ーー 練習通りにマイペースが基本よ。

ーー 徳田さんは二度目のA級大会ね」


 安甲はそう言って周囲を見た。

 天宮静女、セリエ、女子高生警備が徳田康代大統領の周囲を固めていた。




 宝田劇団の夜神紫依(やがみしより)朝川夏夜(あさかわかよ)赤城麗華(あかぎれいか)大河原百合(おおがわらゆり)がやって来た。

四人の後ろにはメディアが追随している。


「徳田さん!朝霧さん!」


 夜神が大声で叫んだので、メディアが駆け寄って来る。


「夜神さん、なんか人を沢山、引き連れて来ましたわね」


「私は、悪くないわよ。

ーー メディアの方たちが勝手について来ただけですから」


 朝霧は、夜神の性格に怒る気もせずに大きな溜息を()く。


「朝霧さん、夜神さんに失礼よ」


「朝川さんだって知っているでしょう」


「うん、わかるけどね」


「ところで、朝川さんは、なんでこの会場にいるの?」


「私たちの試合は明日なの、それで朝霧さんの応援に来たわけ」


 朝霧は腕組みをして考えていた。


「じゃあ私が負けたら、明日は、私も応援に行くわね」


「ご冗談は、ご勘弁にしてください」

と言って、朝川は笑った。


 朝川が安甲共同代表を見て言った。


「安甲先生は、元かるたクイーンですわね。

ーー 明日の決勝を応援出来なくてすみません」


「朝川さん、別会場にも、

ーー ()()()()()()()()()()()のモニターがあるから大丈夫よ」


「知りませんでした」




 続々と神聖女学園の水色の制服の応援部隊がやって来る。

その後ろには、夏の大会の準々決勝で当たった笹原女子高の白い制服も見えた。


「先生、こんなに大勢で入れるのでしょうか?」


「会場は、夏の大会の後に、建て替えて新しい建物になっているわよ」


『宝田劇団の神聖学園都市の本部も完成間近ですから、

ーー なんとなく分かります』


「時代の変わりは早いわね」


『朝川さん、本部完成は、いつですか?』


「こけら落としは、一月の中旬ごろを予定しております。

ーー その時は、元スターの私と夜神さんも端役で参加しますので、

ーー みなさんをご招待しますわ」


 朝川の爆弾発言に近くにいた記者がホログラム携帯でスクープと騒ぎ始める。


「元スターの朝川夏夜と夜神紫依が、こけら落としで舞台に復活するそうです。

ーー はい、間違いありません。

ーー 本人の発言です」


 記者は、朝川の録画を本社に送信した。




 朝川は、メディアがいたことを忘れてしまったと思ったが、早かれ遅かれバレることだからと開き直っている。


 朝霧雫は、赤城麗華にウインクをした。

上司が失態した時に、彼女たちはウインクを交わしていた。

大河原百合も朝霧にウインクをして微笑んでいる。


 徳田と安甲にはウインクの意味が分からなかった。


 そうこうしていると、逢坂めぐみが神聖女学園の真新しい制服で朝霧の前に現れた。

セリエの上下水色の制服と違いスカートが緑色をしていた。


 元白波女子高の多くの生徒は緑色を選択している生徒が多い。

一方、元有馬女学園の生徒たちは紫色を好んで選んでいた。


「朝霧さん、本日はよろしくお願いします」


「逢坂さんの方が、ここでは先輩よ」


「朝霧さん、楓が綺麗ですわ」


「本当、ここの楓の朱色はなんとも言えない風情(ふぜい)があるわね」


天智天皇(てんじてんのう)の聖地ですものね」


「もしかしたら大昔の前世にも、私たちはかるたをしていたのでしょうか?

ーー ・・・・・・ 露にぬれつつ・・・・・・綺麗ね」


 朝霧の言葉に反応した()()()()()()のセリエが朝霧に伝えた。


「朝霧さんの言う通りじゃよ。

ーー 無意識は前世からずっと一緒じゃ。

ーー 心に耳を傾けて見てみるのじゃよ」


「朝霧さん、セリエさまの言う通りでござるよー」


 セリエの爆弾発言に、宝田劇団の五大スターが驚いていた。




 時より落ち葉が風に吹き上げられ、埃と一緒に舞っていた。

日向(ひなた)では、数匹の野良猫が猫会議をしている暖かな日だった。


 お読みいただき、ありがとうございます!

ブックマーク、評価を頂けると嬉しいです。

投稿後、追記と脱字を修正をする場合があります。

三日月未来(みかづきみらい)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ