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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
104/169

【一〇四】皇国の方舟計画が動き出す!

この連載小説のジャンルはローファンタジーに設定しています。

【登場人物プロフィール紹介】を一〇七話のあとに追加しています。

女子高生は大統領では、

徳田康代の会話に二重鉤括弧を使用しています。

『  』


皆さまの隙間時間でお楽しみください。

三日月未来(みかづきみらい)

 二日酔いの朝、安甲晴美は、サプリメントを飲んでいた。

肝臓に良いと噂されるグルタチオンだった。

 グルタチオンの副作用には美白効果があり、女性たちの間で密かなブームになっている。


 晴美の場合は、肝臓の負担軽減を目的とした解毒(げどく)作用だった。

即効性は期待していない晴美だったが気分で変わるのが人間と言うものだ。

 まあ、偽薬のプラシーボ効果と似ている。

病は気からとはよく言ったものだ。


 安甲は、お気に入りの淡いピンク色のワンピースに着替え、徳田康代のいる生徒会執務室に行くことにした。




 学園の長い廊下を進むと女子高生警備が数人、部屋の外に立っている。

中に入れば、執務室の入り口に二人の警備がいる。

普通の女学園なら、あり得ない光景だと安甲は感じた。


 徳田康代が女子高生大統領であり、徳田幕府の征夷大将軍であることを、安甲は改めて知った。

出入り口では、安甲であってもボディチェックを受けることになる。

 万が一の間者(かんじゃ)への備えだった。


 豊下秀美副首相が生徒会室から出て来て安甲に声を掛けた。


「先生、今日は何かあります?」


「いや、徳田さんの顔を見に来ました」


「康代さんは、中で(たぬき)していますよ」


「狸・・・・・・」


 安甲は先日のアドバイスを思い出す。


[顔に出ているわよ。狸にならないとバレますが・・・・・・]


 まあ、言葉の綾なのだが・・・・・・。

中に入った安甲は笑い転げた。

 徳田が本当に狸のお面をしていたからだ。


「徳田さん、それは、なんですか?」


『次の企画への準備です』


「えええ、それで何するの」


『仮面舞踏会です』


「なるほど、明里さんのは、何」


「先生、これは、アニメ悪役令嬢の仮面です」


「人気アニメね」


 安甲は学芸会レベルの企画に眩暈(めまい)を感じていた。

窓際近くにある大きな青いソファに腰をおろし、安甲は呼吸を整えた。


 天宮静女が安甲を見ている。


「淡いピンクが素敵でござるよー」


静女(しずめ)さん、そう思う?」


「今日は、気分良くと明るい色を選んで見たのよ」


「お似合いでござる」


「静女さん、ありがとうね」


「ところで、康代さん、その企画は」


『秋の文化祭で生徒会の企画です。

ーー ダンジョンとかも出されましたが却下しました』


「そうね、昔流行したアニメね」


『横文字の意味すら知らない人には、エネルギー作用が分かりませんから』


「ダンジョンの意味は、地下牢とか監獄でしたね」


『そうなの徳田政府の幸せ政策とは真逆でしょう』


「それで仮面舞踏会ねーー 悪役令嬢はいいの」


『ええ、仮面だけですから問題ありませんわ』


「でも、その令嬢の仮面って人気でしょう」


「悪役令嬢だらけになってしまいそうでござるよー」


「静女さんの言う通りね」


「ところで、そこの壁の大きな鏡・・・・・・」


『セリエさまが送って来たの』


「ええ、神使からの送りものですか」


『ええ、セリエさまとのテレビ電話ね』


 バレリーナがレッスンルームで使う大きな鏡だった。




 康代が、安甲先生に説明していると、神使のセリエが三毛猫の姿で現れた。


「康代よ、そのマジックミラーは気に入ったかにゃあ」


『セリエさま、マジックミラーなんですか』


「そうにゃあ、なんでも見れるにゃあ」


 セリエは、世界中をリアルタイムで康代に見せた。


「北和、中和、東和にゃあ」


『セリエさま、ほかの大陸も危ないのですか』


「それは、ないからにゃあ、心配無用にゃあ」


『良かった・・・・・・』


「今の南和と西和にゃあ」


 徳田と一緒に見ていた安甲が息を呑む。


「一時的な小康状態じゃあから、これから来るにゃあ」


「巨大地震ですか?」


「そうじゃ、それが合図じゃあ」


『ブラック、ゴールド、レッドですか?』


「火山の一斉大噴火が始まるにゃあ」


 セリエがマジックミラーの音声を出した。

 西和大陸の巨大な地鳴りが聞こえた。


[ゴゴーゴゴゴゴーゴゴーゴゴゴゴゴゴー]




 康代は、田沼と若宮を執務室に呼びマジックミラーを見せた。

二人の女性の顔から血の気が引きマジックミラーに釘付けとなる。


「徳田さん、これはなんですか?」

セリエが二人に話かける。


「アトランティスの生まれ変わりよ、

ーー これはリアルタイム映像じゃ」


「終末映像じゃないですか」


「終末は、これから始まるのじゃあ」


 セリエは、三毛猫の姿から黒猫の姿に戻っていた。


「新しい時代の夜明け前じゃあ」


 神使セリエの前に別の赤猫が現れた。


「別の神使のセリウスじゃ、セリエの配下じゃ」


「セリウス、康代を紹介するにゃあ」


『セリウスさま、康代でございます。

ーー よろしくお願いします』


「セリウスです。

ーー セリエさまの新しい配下になりました」


 セリウスと康代のやり取りは、次元フィルターで他の者には見えていない。

 セリエとセリウスは、顔合わせを終え消えて光になった。

セリエの光は虹色に輝き金粉を空間に漂わせた。


「康代殿、セリエさまが一段と神々しく輝いているでござるよー」




 安甲、田沼、若宮の三人はマジックミラーの前のソファで腰を抜かしていた。


「映画じゃあ、なかったのですね」


「あんな巨大な地鳴り聞いたことありませんわ」


「地球が割れると思いました」


『田沼先生と若宮さんは、今見た映像を後世に伝えてください』


「私たちがですか」


『データと合わせてレポートを作成してください』


「・・・・・・」


『専門家の視点で完成させてください』


「依頼ですか」


『いいえ、大統領命令です』


「分かりました。直ちに作業を始めます」


『じゃあ、よろしくお願いします』


『安甲先生、もうすぐに地球のリセットが始まります』


「そうね、大変な時代になるわね」


「皇国の方舟計画が始まるでござるよー」


天女、天宮静女の千里眼の瞳が紫色に輝いていた。


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