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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
103/169

【一〇三】時間が無いでござるよー

この連載小説のジャンルはローファンタジーに設定しています。

【登場人物プロフィール紹介】を一〇七話のあとに追加しています。

女子高生は大統領では、

徳田康代の会話に二重鉤括弧を使用しています。

『  』


皆さまの隙間時間でお楽しみください。

三日月未来(みかづきみらい)

 徳田康代大統領は、神使セリエから見せられた南和大陸と西和大陸のリアルタイム映像を陰陽師(おんみょうじ)安甲晴美(あきのはるみ)先生に伝えた。


「それか、真っ青な顔色の原因は?」


『・・・・・・』


「徳田さんは、もっと心を(きた)えないといけないわね。

ーー 強い心でないと人々を幸せには導けないのよ」


『はい、分かっていますが・・・・・・。

ーー ショックが大き過ぎて心が放心状態になってしまいました』


「徳田さんが、そんなことになるなんて」


『セリエさまが、これから始まるとのことで・・・・・・。

ーー あれが前兆ならと考えるだけで背筋が寒くなりました。

ーー つい取り乱してしまいました』


「事前に伝え聞いていても、このレベルなら仕方ないことです・・・・・・」


『はい、いざ始まるとなると、どれだけ怖しいことかと。

ーー 改めて思い知ります』


「そうね、アトランティス大陸の不都合が・・・・・・。

ーー 歴史から消されてしまっていますものね」


『人間のエゴでしょうか』


「私たち人間は真実に蓋をして、

ーー 永遠に続く錯覚に(とら)われているのかも知れないわね」


『じゃあ、現実は・・・・・・』


「その時も、沢山の人が犠牲になっていたと思います」


『・・・・・・』


「殆どが生まれ変わって、現代に誕生したわけですが」


『そうです、わたし達も生まれ変わって、皇国に誕生したわけなのですね』


「それが生命の法則ね」


『わたしは、あまり難しいことを、とやかく考えることはしませんわ』


「徳田さんは、建設的な思考がいいわね」


『ありがとうございます』


「徳田さんがどうなるか分かりませんが・・・・・・」


『わたしだって、これからのことは分からないわ』


「徳田さん、未来のために一緒に頑張りましょう」


『わたしは皇国の船長ですから、ベストを尽くすだけです』


「徳田さん、大分顔色が戻って元気になったみたいね」


『先生のお陰で』


「明日は面接終えたら部室に寄ります」


『先生、嬉しいわ』


「徳田さん、一緒に練習をしましょう」




 田沼光博士と若宮咲苗助手は神聖女学園の研究室で、次々に入ってくる地震波形を静観していた。


「先生、海外地震には干渉しませんが、皇国の火山への影響が懸念されます」


「若宮さん、その懸念はあるが、考えないことですよ。

ーー 私たちのお仕事は、全てが落ち着いてからでも遅くありません。

ーー 騒ぎ立てて(しず)まるものでもないでしょう」


「そうですね先生、過去にメディアが騒ぎ立てた時のこと覚えていますか」


「裏側で地震利権と土木の癒着(ゆちゃく)がありましたね」


「そうです。

ーー 人間というのは、愚かな側面があって、

ーー 誘惑に屈することが日常茶飯事です」


「今は徳田幕府の監視のお陰でクリーンになり、

ーー デマも減り研究に専念できますが・・・・・・」


「異常と言いたいのでしょう。

ーー 分かるけど、今は我慢ね。

ーー 本でも書きましょう。若宮さん」


「先生もね」


「じゃあ、今日も日課の神聖神社にお参りしましょう」


「皇国の未来のためにですね」




 九月八日、陰陽師の安甲晴美は、有馬女学園全生徒の面接を終了した。

生徒会役員の門田菫恋(かどたすみれ)と話している。


「白波と有馬で七百五十名ですね。門田さん」


「はい、そうですが」


「その中で私の面接通過は何名いたか分かりますか?」


「延べ十三日で十三名ですね」


「なるほど、そうですか。

ーー その人たちのお名前をあとで教えてもらえますか」


「はい、あとで先生にお伝えします」




 安甲晴美は、このあとかるた部の部室に、白波女子の由良道江先生と一緒に向かった。

有馬女学園の松山八重先生は残務整理で有馬女学園に戻っている。


「安甲先生、来る度に感じますが、

ーー 神聖学園都市って東都の新しい中心に相応しいですね」


「大江戸湾から離れていますがね」


「今は、空中浮遊自動車の時代ですから関係ありませんわね」


「この間の校内大会で予選勝ち組の十六名が入会と入部をして大所帯になっています。

ーー 中等部の生徒三名はかるた会だけですが」


「大きな部室が狭くなりますね」


「今の部室は、団体戦優勝のあと、旧武道場のおさがりを頂いた場所です」


「そうだったのですね。あまり広いので驚いていました」


「白波女子と有馬女学園の部員が合流してもギリギリできると思います。

ーー 私は、レベル分けを考えています」


「安甲先生、この規模なら必要と思いますが」


「由良先生にそう言ってもらえると助かりますが、これからの課題です。

ーー 有馬女学園の松山先生がいる時に三人で打ち合わせをしませんか」


「私は構いませんが・・・・・・」




 翌日、安甲、由良、松山は神聖ショッピングセンターの居酒屋で地酒の“()()()()()”を飲みながら再会を祝った。

打ち合わせは酒の席になっていた。


「これからは、白波会派、有馬会派、神聖会派になりますが・・・・・・。

ーー ジョイントで同じ学校になりましたのでよろしくお願いします」


「安甲先生、そんな固いこと言わず、まあ、飲みましょう」


 アラサーの三人の女教師は酒が強かった。


「それでね、レベル分けの試合が必要ですが」


「安甲先生、トーナメントは避けてください」


「と言うと」


「同じレベル同士での対戦カードが、実戦に近くていいと思います」


「私も由良先生の意見に興味あるわ」

松山先生が由良先生に賛成した。


「じゃあ、同じレベル間での対戦カードを組みましょう」


「安甲先生、そのあとは?」


「なるたけ多くの機会を部員に与えてから班を作りましょう」


「定期的に対戦カードも組み、

ーー 部員の入れ替えを可能にして上げたいですね」


「由良先生、それはいいわ」


 結局、三人のかるた部共同代表は居酒屋の閉店まで飲み続けた。

由良道江と松山八重を学園寮に送り届け、安甲は神社に帰った。




 安甲晴美が深酒する理由は、かるた部の合流ではない。

地球規模の大異変に対する鬱憤(うっぷん)の蓄積だった。


「ああ、わたしも修行が足らないわね・・・・・・」


 安甲は独り言を呟きながら、真っ暗な神社の境内に消えた。


 天女の天宮静女には、安甲晴美の複雑な心情が伝わっていた。


「もう、時間が無いでござるな」

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