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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
100/169

【一〇〇】南和大陸の大変動前兆と五十枚かるたでござる!

この連載小説のジャンルはローファンタジーに設定しています。

【登場人物プロフィール紹介】を一〇七話のあとに追加しています。

女子高生は大統領では、

徳田康代の会話に二重鉤括弧を使用しています。

『  』

皆さまの隙間時間でお楽しみください。

三日月未来(みかづきみらい)

 安甲晴美(あきのはるみ)は、編入面接期間中の部活顧問をお休みしていた。


 白波女子四百名、有馬女学園三百五十名が順に神聖女学園の学園寮に転居してくる予定だ。


 初日は白波女子の五十名が面接と制服サイズを測定して転居を完了している。

豊下と明里が生徒会と一緒に部屋の配分作業を統括していた。


 神聖女学園かるた部兼かるた会は、校内大会を終えて練習熱が低下していた。

宝田劇団の大スター五人組のかるた熱はさめていない。

 

 森川楓と朝川夏夜の五十枚かるたを部員たちも練習することになった。

二十五枚の倍の枚数を置くことで自陣配置の戦略を考える学習だ。


 宝田劇団の朝霧雫は、その突飛な練習方法に驚いた。

彼女の中では、理論は間違えていないと思っている。


 配置枚数を増やすことで多くの手持ち札に置く機会を与えることができる。

シミュレーション学習としていける。

ある意味、配置学習のショートカットかも知れないと朝霧は考えた。


 朝稽古を終え昼食を済ませた、朝霧雫、赤城麗華、大河原百合の現役三人と舞台監督の夜神紫依は、午後の練習会に参加した。

 遅れて部室にやって来た徳田康代と白波女子の逢坂めぐみが練習会に合流する。


『森川さん、その四段配置、なんですか?』


「自己流の五十枚かるたです」


 康代は、森川楓の言葉を瞬時に理解した。


『なるほど、自陣配置の徹底練習ね

ーー 面白いわ。私も参加するわね』


 徳田の言葉を聞いて、逢坂めぐみ、朝霧雫の上級者も参加することになった。


 校内大会優勝の姫乃水景(ひめのみかげ)演劇部部長と副部長の和泉姫呼(いずみひめこ)は文化祭の準備で当分お休みとなると連絡が入っている。


「森川さん、じゃあ、始めましょう」

朝霧だった。


 さすがに、五十枚を並べるとなると勝手が違い、並べるのに悪戦苦闘した。


「百枚のかるたには、五字決まりが二枚、四字決まりが四枚、

ーー 大山札が六枚、一字決まりが七枚、

ーー 三字決まりが三十一枚、残りの五十枚が二字決まりになるわけね」

 

 朝霧が坦々と話し続けた。


「つまり、その半分が偏らなければ、自陣に配置できるわけよ。

ーー そこで、戦略が必要になるわね」


「朝霧さん、普段から、目が慣れていれば、咄嗟(とっさ)に判断できるようになるわね」

夜神が口を(はさ)む。


「ところで、赤城さんと大河原さん、昇段大会に申し込みされましたか」


「はい、二人で参加しますが、

ーー 夜神さんたちは、C級昇段の大会に参加するんですよね」

赤城が夜神に言った。


「そうよ、行けるところまでは行くわ」


「私も夜神さんと同じよ」

朝川だった。


「じゃあ、私も上を目指しますわ」

朝霧も呟く。


「朝霧さん、上って・・・・・・」


「A級昇段大会よ。

ーー B級が集まる大会で優勝か、準優勝二回が条件なの。

ーー だから、少しでも前に進まないとね」


 結局、練習そっちのけで大会談義に花が咲くことになった。

康代と一緒の天女の天宮静女も、その光景に笑みを浮かべている。


『じゃあ、練習しましょう』


 康代の声を受けて、百枚のかるたが裏返され掻き混ぜられた。

普段なら二十五枚取るのだが、五十枚なので、五枚ずつ十回取り自陣に四段に並べる。


 二字決まりと三字決まりだけで八十一枚、その半分の配置を考える。


 徳田、逢坂、朝霧、唐木田、森川の上級者もさすがに梃摺(てこず)っている。


「枚数の少ない札は、基本通りで大丈夫そうね」


「ん、逢坂さんのいう通りね。

ーー 問題は、二字決まりの配置をどうするかね」


「朝霧さんは、二字決まりですか。

ーー 私の方は三字決まりが偏っているわよ」

 朝霧と逢坂の会話が続いた。


 五十枚かるたでフォーメーションを練習したあと、普通の競技かるたに戻り、同じレベル同士で練習を始めた。

朝霧の相手に唐木田葵(からきだあおい)、康代の相手は逢坂になった。




 田沼光博士と若宮咲苗助手は、生徒会室を訪問した。

生徒会役員の門田菫恋(かどたすみれ)が対応する。


「徳田さんを探しているのですが・・・・・・」


「田沼さん、徳田さんは、昼食後にいつもかるた部に顔を出していますが

ーー 何か、お急ぎですか?」


「ちょっと気になることがあって」


「そうですか。豊下秀美さんに聞いてみますね」


 康代は、秀美の連絡を受けて、静女と一緒に生徒会室に戻った。

女子高生警備も同行している。


『田沼先生、どうかされましたか?珍しいですね』


「いいえ、遠隔地の大地震の地震波なんですが異常に大きくて、

ーー さすがにお伝えして置かないとと思いました」


 田沼と若宮は、セリエの警告を思い出しながら、言葉を選び核心に触れようとはしない。


『よーく分からないのですが』




 神使のセリエが黒猫の姿で康代たちの前に現れる。


「康代よ、そこのアトランティスの生まれ変わりが気付いたようじゃ」


『セリエさま、それは、あのことですか?』


「そうじゃ、どうやら前兆が始まったようじゃ」


『西和ですか?』


「いや、南和が先に動くようじゃが

ーー 康代たちがすることは何もない。

ーー あるとすれば関わるなじゃ。

ーー そこの二人は、見たこともない巨大地震の前兆に戦慄を覚えたのじゃな」


 田沼と若宮はセリエの顔色を伺っている。


「お前たちは、何も口外してはならぬのじゃ。

ーー それが唯一の対策になるじゃろう」


 田沼と若宮は再び釘を刺され青ざめた。


「黙っていれば何もせぬ」


 神使のセリエは、もう一度釘を刺したのち、消えて光になった。




『田沼先生、若宮先生、海外地震には関わらないでくださいね』


「はい、国内に専念します」


『今回の大変動は神々の決定で私たちにはどうにも出来ませんから。

ーー 私は、皇国三千万人の生命と幸せを守ることに専念しています

ーー 田沼先生たちは、東都と大都の調査を継続してください』


 田沼と若宮は、徳田康代大統領に一礼して生徒会室を退室した。


「どうも、学者と言うのは面倒でござるよー」


静女(しずめ)、セリエさまと同じ意見ね』


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