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女子高生は大統領 〜家康が女学園の女子高生に転生した〜  作者: 三日月未来(みかづきみらい)
前編
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第五章【十】転生女子高生〜受験勉強がなくなるでござる!

 皇国の大統領であり幕府の征夷大将軍の徳田康代は学園都市の美容師を生徒会室に呼んでヘアカットをしていた。

生徒会メンバーの何人かも順番でヘアカットをした。


 康代の中でモヤモヤしていた事が形になって来たのだ。

康代は、秀才の明里光夏とアイディアに秀でいる豊下秀美を呼ぶことにした。


 梅雨時には珍しいくらい天気の良い日で(うら)らかな陽気だ。

学園の中庭のベンチに日差しが降り注いでいる。

秀美と光夏は先にベンチに腰掛けて待っていた。


『秀美、光夏、御機嫌よう。お待たせしたね』


側近の天女の天宮静女も一緒にいる。


「康代さま、静女さま、ご機嫌よう」

「さまは、要らぬでござる」

『そうね、静女の言う通り』


『ここは、公式の場ではないのだからね』

二人と静女も頷く。


『ところでね、お二人を呼んだのは、新しい改革を実行して欲しいのよ』

「何でしょうか」


『それはね、学校教育の再編なの』


二人は、ポカンとして顔を見合わせる。


『どうしたの、あなたたちは皇国の大統領執務室をサポートしている幹部よね』

「そうですが、スケールがあまりに大きくて想像が追い付きません」


光夏(みか)は、そう言って、秀美にアイコンタクトをした。


「私も光夏と同じですが、せめて青写真が必要です」

『青写真か・・・・・・』


康代は少し考えてから説明を始めた。


『例えば!公立私立の無償化問題や、避難所併設、国民住宅計画は、知っているよね』

「はい、心得ています」


『それは、国民側の問題よね。今度は、生徒の問題なのよ』

『例えば、大学は専門知識を教育する場よね。ある意味、専門学校も同じ』


『しかし高校生の多くはそのために貴重な時間を受験勉強に浪費する訳なの』

『そんな不効率を無くしたいのよ』


『神聖学園はエスカレーター式で問題無いけれども、問題のある学校の方が多いのよ』

『そこで改革なのね』


康代は、ペットボトルのミネラルウォーターを一口飲んだ。


光夏が尋ねる。


「それで私たちは、・・・・・・」

『改革の根回しかな』

『最終的には、バッサリですがね』

康代は笑った。


『大学受験制度を無くすのよ、その副産物は受験の廃止』

「大学が無くなったら、どうなるのですか」


『そうね、高校四年、五年まで併設して、短大機能を高校に吸収して』

『もちろん、希望しない生徒は三年で修了できるの』

『卒業じゃ無く修了にするのよ』


光夏が顔を輝かせて質問する。


「つまり、高校が二層になる訳です」

『そうよ、大学が完全に消える訳でないから職員の大半は高校に移動』

『大学の三年、四年は、大学院に吸収すれば良いし・・・・・・』


『特殊な医大や航空大や防大などは、現状維持継続と考えるとどうかしら』


秀美が口を開いた。

「私の役割は何でしょう」

『最初に宣言した、根回しとバッサリよ』

『多分、秀美に向いているわよ』


「根回しとバッサリがですか」

「静女も賛成でござるよ」

『じゃ、今日は青写真と言うことで、正式に後日、生徒会大統領執務室から通達しますね』


秀美と光夏は、嬉しそうに微笑みながら

「康代さん、静女さん、またね」

と言って校舎の中に消えた。


『静女、お天気いいからお散歩どう』

「康代、お付き合いするでござる」


『しばらくしたら、噂になるでしょう』

「受験勉強が無くなるでござるな」



 豊下秀美と明里光夏(あかりみか)は、()()()()()ディスプレイの前でインターネット会議を待っていた。

徳田康代大統領も参加して、事前通知を行う予定になっている。


 神聖女学園の講堂には、全校生徒が着席していた。

ディスプレイの向こう側では、全国女子高生徒会メンバーが発表を待っている。

インターネットニューススピードもネットの向こう側で待機していた。


 大統領補佐官の明里光夏(あかりみか)が会議の始まりを告げた。


「大統領補佐官の明里光夏です」

「今日はみなさんに大統領からの大切な話があります」


「では、徳田大統領、お願いします」


 十六歳に見えない顔立ちの徳田康代は切り立てのセミロング姿で登場した。

ホログラム専用カメラの前で立ち止まり一礼した。


『今日は、みなさんに学校改革の内容をお知らせします』

『長くなりますが、おつき下さい』


『手短かにお伝えします』

『大学受験が医大、航空大、防大を除いて廃止されます』


『その結果、一般大学は分割されます』

『高校に四年、五年が新設されます』


『短大と大学の一年、ニ年は、そこに編入されます』

『大学三年、四年は大学院に編入されます』


『高校は二層化され三年で一層の修了を選択出来ます』

『希望者は二層に進んで修了を選択出来ます』


『現在、この国は、偏差値差別の社会を造り上げている途中でした』

『不正の温床を根こそぎ排除することで新しい社会が完成します』


『受験戦争は数々の悲劇をもたらし平和な世界に逆行しました』

『みなさんは、自由に好きな事に専念して明るい青春を謳歌(おうか)出来ます』


『まだまだ、物質的な問題も山積していますが、無償化政策と並行して推進します』

『以上が、今、みなさんにお伝えできることです』


 会場は、拍手に包まれた。


[パチ、パチ、パチ・・・・・・」


明里光夏が再び登場した。

「徳田康代大統領、ありがとうございました」


[パチ、パチ、パチ・・・・・・」


再び、会場は拍手と喝采に包まれた。


「徳田さん、最高よ」

「受験バイバイね」

「歴史が変わる瞬間よ」


 インターネットニュース()()()()も号外を伝えた。


「徳田大統領が学校制度を大きく変更しました・・・・・・」


 徳田幕府の復活を受けて天下りの温床となった省庁は廃止されている。

汚職に(まみ)れた職員の殆どは既に幕府警察により逮捕されていた。

時代は、カネ、試験、偏差値、学歴主義の呪縛から国民を解放した。


ディスプレイの向こう側の全国女子高生徒会メンバーも書き込みで、改革の大歓迎を意思表示している。


 大人たちが作り上げた不正を可能にするシステムは、土台から崩壊したのだ。

女子高生による女子高生の政治が世の中を変え動き出す。


康代には()使()()()()の声がテレパシーで聞こえいる。


「康代、成人年齢を引き下げにゃ」

『成人年齢十六歳で決まりね』


 康代のスキルには、霊視、前世記憶、心眼、洞察力に加え、テレパシーと予知能力があった。

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