卍 映画観たのでなんか書く 卍
【ブラックパンサー ワガンダフォーエバー】鑑賞。
一生ぶん黒人の女の子を観た気がする。それだけでどういう映画か明白でしょう。
【アクアマン】共々21世紀になって大真面目に「海底人」が登場する映画が二度までも作られたわけだが……マーベル初期は荒唐無稽な設定を大予算でやってしまうことに痛快さを覚えたんだけども……いささか食傷したというか。
と思ったら【アバター ウェイオブウォーター】で都合3度目の海底人登場ですよ!
まあ厳密には海で生活するナヴィが登場するってだけですが。
……しかしこの【アバター】シリーズこそ目障りよのう。
なんで欧米人がアレを大絶賛してるのかとんと合点がいかないって意味でさ。
なんの滋養もない奥深さの欠片もない 10倍希釈した【もののけ姫】。
【アバター】を評するならそのひと言につきる。
ジェイムズ・キャメロンはもっとできる子なはずだが【T2】や【アビス】の頃の冴えは、いまはない。
映像だけはすごいんですよ。
完全デジタルで世界をひとつ創っちゃったような案配で、おそらく世界観を構築するために費やされたデザインワークは実際に画面に出ているものの数倍に及んでいると思う。
ハイエンドCGはもう実写と寸分違わず。異世界の生物なのにまったく違和感を感じない。なので本物のセットや水中でナヴィが動いてるとしか見えない。
まあついに実車と見分け付かないCGアニメを作っちゃったんですよ。
が、ここでひとつ疑問が。
「スーパーリアルイラストレーション」という分野があるが、ようは本物と見分け付かないコーラの瓶とか描くやつ。
アレは「本物」があってこそ成立している技法なわけでつまり「アート」としては超絶テクニックなのだけど閉じてる、イノベーションもまったく期待できない分野なのです。
ハイエンドCGについても同等なことが言えるわけで、つまり「リアル」に寄せるためには「実在の対象」に限りなく寄せるしかない。
おかげでゲームなどでも「100%、誰も観たことがない異世界」を創り出すよりも「ひたすら実写っぽい」絵面、世界に腐心するばかりになる。オープンワールドRPGの大半の舞台が現代か過去か既存の映画っぽいどこかなのも無理はない。
【アバター】はそのへん果敢に挑んでいると思うが、まだちょっと……インドネシアのどっかでロケしてもおなじ絵面の映画作れるよね?というレベルから抜け出られてない。
しかも一生懸命世界を構築したのに、登場人物はぜんぶ現代アメリカ人なので異世界トリップ感覚はさらに削がれてしまう。
親子とか民族とかクジラとか……アメリカの、それもややリベラルの考え方が映画全般に反映されている。惑星パンドラの原住民ナヴィは極めて残念なレベルで「ただのアメリカ人」……しかもそこら辺のストリートギャング並に縄張り意識と情緒だけでできている。
生活を害されるとギャーギャーヒステリックに泣きわめき身内を殺されると逆上して敵に突撃するばかりの、かつて欧米人に踏みにじられた土人のカリカチュアである。
短気で薄っぺらではっきり言ってまったく共感できない……
1作目公開時、アメリカ人はいったいなにがよくてあれほど盛り上がってたのか?
あの程度で「俺たちも上等なスピリチュアル作品を手に入れた!」とでも思ったのか??
ストーリーも前作以上に薄く来たるべき三作目に繋がる伏線も皆無で、練りに練った筋書とは思えなかった。命の大切さについての物語なのに冒頭で楽しみのためだけに魚を狩るシーンがあったり、中盤以降のクジラっぽい生物との共存と簡単に矛盾してしまう。
肝心の食事のシーンもないのでナヴィは動物性タンパクを獲るのか不明なのも気になる。1作目で珪素系生物なのは示唆されてたけどそれ以降、土着神エイワとの関係やSF的肉付けも見当たらないしね。