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7.きょうだいたち

 夕刻というにはだいぶ遅い時間に、メンデエル国の正妃であるお母様の私室には、私を含めたお母様の子供4人のきょうだいたちが久しぶりに集まった。


 一番上が私の二つ年上のギルベルトお兄様。

 わが国の王太子。

 それから私と一つ違いの弟、ルートヴィヒ。

 そして一番下の妹、マルグレート。

 

 私たち4人は、現王妃の子供だ。

 エリーザベトお姉様は、前の王妃のただ一人の姫である。

 前の王妃様はもともと病弱でいらして、お姉様を出産なさったときに亡くなられたそうだ。


 お父様がお姉様を手放さないのは、もちろんお姉様が国の内外に知れ渡る絶世の美女だった前の王妃様に生き写しだからという理由が大きいだろうけど…

 もう一つは、前の王妃様のように出産などで早世なさることを恐れていらっしゃるのではないかしら。

 4人も生んでぴんぴんしていらっしゃるお母様の娘の私なら大丈夫だと思ってんでしょうけど。


 お母様は久しぶりに子供たち全員が集まったことにご満悦のようだ。

 長いテーブルのあっちに座って、私たちを見回す。


 「皆、話は聞いたと思うけれど…

 リンスターの輿入れが決まりました。

 でも!わたくしは反対なのよ!

 相手の素行が悪すぎるし、しかもエリーザベト王女の身代わりだなんて…

 陛下は、わたくしの可愛いリンスターを何だと思っていらっしゃるのかしら!」


 皆が集まった挨拶もそこそこに、お母様は怒りの声を上げる。

 私たちは燭台の蝋燭越しに顔を見合わせて苦笑いする。

 お兄様が葡萄酒(ワイン)を口に含み、お母様に快活に微笑みかけた。


 「まあでも母上。

 ものは考えようでございますよ。

 ルーマデュカ国と言えば、我が国の何倍もの領土、しかも肥沃な土地を擁する豊かな大国です。

 わが国が縁戚になるのは実に50年ぶり、大叔母様の代以来であります。

 エリーザベトお姉様は、やはりお身体にご不安がある。

 ご病弱でいらっしゃるから、ご本人もあまり外に出られるのはお好きではないご様子だし。

 そこへくると、リンスターは風邪ひとつひかない、丈夫な女性だ」


 褒められてる感じがしないわ。

 バカだって言われてるみたい。

 私はむすっとして牛のザウアーブラーテンを口に運んだ。

 

 あ…これ、クラウスの好きな料理。

 ヴルストはラムね、とても美味しいわ。

 サーモンのマリネも良くできてる。

 お兄様ったら、お酒が進んじゃうわね。


 今日、二コラはこれを持ってきてくれるかしら。

 



 

 

 

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