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4.大問題

 「それから、お妃教育の問題がございます。

 エリーザベト王女殿下は、このメンデエル王国の第1王女であられるし、いずれはルーマデュカではなくとも他の国の王妃として嫁がれる筈でございましたので、お小さいころからどこへ行かれても恥ずかしくない教養とエチケットを身に着けられて居られます」

 ですが…と宰相は言いよどむ。

 

 「そなたのことは、そなたの母親である王妃に任せきりで、朕も何も知らずにきてしまった。

 このようなことになるなら、もっとそなたのことも考えるべきであった」

 ああ…そうね。

 お兄様とお姉様のことはよくご存じでしょうけど、私と弟妹達のことはほったらかしでしたものね。

 きっと私たちの誕生日すらご存知ないんでしょうね。


 しかし今更、そんなことを仰るのですねぇ…

 お母様がお聞きになったら、何と仰るかしら。

 私は内心ため息をつきながら、口を開いた。

 「まあ、その辺はあまりご心配いただかなくて大丈夫ではないでしょうか。

 あと1か月あるわけですし」

 

 「お言葉ですが王女殿下、お妃教育と申しますものは1か月やそこらで身に着くものではございません。

 こう申し上げてはなんですが…エリーザベト様とリンスター様では、やはり格と言いますか、そういうものがまったく違うかと…」

 「判りましたわ」

 私は宰相の言い草に、頭にきて遮った。


 私のこと何も知らないくせに。

 お姉様とは格が違うですって?

 そりゃそうでしょうよ、育成過程でかけてもらっている金額が桁違いだもの。

 

 お父様がとりなすように、険悪な雰囲気の私と宰相の間に割って入る。

 「ラウツェニング、その話は後だ。

 リンスターに言っても仕方あるまい、この子のせいではないのだから。

 まだ年若いし、多少のことは先方も目をつぶってくれるであろう」

 

 「は…畏まりました。

 それではもうひとつ」

 ごほんと咳払いし、宰相は気まずそうに少し黙り込む。


 何よ、まだなにか他にあるの?!

 早く話しなさいよ。

 私は目顔で宰相に促す。


 宰相はお父様の顔をちらっと見て、私に視線を移す。

 お父様は小さくため息をついて椅子に深く寄り掛かった。


 「エリーザベト王女殿下と、フィリベール王太子殿下の縁談が持ち上がったのが5年ほど前。

 お二人の書簡でのやり取りが、年に数回ございました。

 それから、…肖像画を数枚、送りあっています」

 

 あーなるほど。

 そりゃ大問題だわ。

 一番の問題はそこなのねきっと。

 私は思わず天を仰ぐ。




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