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1.否定と入学

 私は普通の家庭に生まれました。しかし私自身は普通の娘ではなかったようです。


 幼い頃から両親は、私のことで喧嘩が絶えませんでした。


 しかし幼い私は、両親の喧嘩をしている原因が、まさか私自身とは理解することができなかったのです。


 そんな私に母はとても優しくしてくれました。ですが、厳格な父は少し怖かったです。


 実家が渡月流空手の道場だったので、私が小学生になった頃から、大人に混じって鍛錬を習うことになりました。


 父の指導は厳しく、血反吐を吐く思いでした。


 父曰く、空手の才能があるそうです。私は観の目がつよく、音は相手の筋肉の動きすら聞こえてしまう。


 そんな私は常に無表情で、ロボットのようだと評されます。


 中学生になって三年、通学路にある十字架に目が行き、何となく教会の門を開きました。


 荘厳な神域な教会の中に、一人のカソックを身に付けた神父様が佇んでいました。神父様は私に気づくと、優しげな面持ちで近づいてきます。


「おや、迷える子羊さんですね?お悩みは何でしょう?」


 教会の神父様は私に問いかけます。悩み…空手の鍛錬がきつい。いや、違う。私は無感情で、愛というものが理解できない。


 だから私は、普通だと言われないのだ。両親の喧嘩も主にそれが原因である。なので私はこう答えた。


「私は愛というものがわかりません」 


 私の発言は聞き間違いだろうかと、神父様の表情はどこか訝しげなものへ変わった。


「貴女は本当に愛という、全ての情を理解できない。そうおっしゃるのですね」


 問いかけを繰り返し、間違いではないことを神父様は確認する。


 私は間違いではないことを証明するために【はい】と、答えた。


「貴女は神の敵です。人間と名乗るのもおこがましい」


「私が神の敵?」


 人間と名乗るのもおこがましい?何故、初対面の神父にそこまで言われなければいけないのか?


「ええ、貴女は怪物です。化物です。日本で例えるならば、鬼です」


「……」


 表情にこそ出てはいないが、頭の中は混乱してしまいます。


「しかし貴女がマトモな人間になることを望むならば、この学校に通いなさい」


 そう言ってパンフレットを一枚手渡されました。愛知怪物学園?聞いたこともないような学校だ。


「貴方のような怪物を取り扱う施設があるので、今すぐにそちらに入学しなさい」


「……わかりました」


 私は人間じゃないから、人の感情や愛がわからなかったのだろうか?


 そして私は、愛知怪物学園に入学することになりました。


 私は入学して後悔することになります。この学園の殺伐とした世界に、私は生き残ることができるのでしょうか?

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