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第九話 二年の年月

 ナオイエを召し抱えてから、そしてお姉ちゃんと付き合い始めてから一年ほどが経った。

 前世の記憶を取り戻してから…ちょうど二年くらい経った。

 年齢も10歳になった。

 

 お姉ちゃんの愛情表現は日に日に高まるばかりだ。

 嬉しいのだが、そのうち愛が行き過ぎたりしないかと心配になる。


 しかし、お姉ちゃんはとても可愛く育った。

 お姉ちゃんはあと一年で学園に通うことになるが、そこで言い寄られたりでもしたら嫌だな。

 嫉妬しそうだ。…いかんな。

 お姉ちゃんの気持ちは俺にしか向いていない。

 お姉ちゃんの愛を独占するのは自分だ。それでいい。


 ああそう、ナオイエに使える目処が立った。

 あれだけ出来る男なら諜報組織の頭を任せてもいいだろう。

 他の暗殺者も召し抱えてみたが、ナオイエほどの人材はいなかった。

 とはいえ実に使えそうだ。

 

 それにしても師匠の修行が厳しくなった。

 冗談じゃなく千回は殺されかけた。

 剣一つ極めるだけでもこんなに辛いんだもんな。

 いやまあ、師匠の手加減は絶妙だし本当に死ぬ危険はなかったんだろうけど。

 

 ただ、免許皆伝と我が家に伝わる流派、深刀流しんとうりゅうの免許皆伝を通達された。

 全ての技を納得できるレベルまで使えるようになったからね。

 それでも単純な戦力としてはともかく技量自体は師匠どころかナオイエよりも拙いけど。


 ここらへんは年齢によるものが大きいのだろう。

 単純な強さはスキルで上げられても、技術は年月を重ねないとどうにもならない。

 一朝一夕では身につかない。当たり前だ。


 そして深刀流の難易度の高さもある。

 現在の免許皆伝は師匠と自分、ナオイエ、どこかにいるあと一人くらいしかいない。

 流派自体は流行っているのだが、極めようとするととてつもなくキツイらしい。

 まああんな修行やらされたら誰だって嫌だわな。

 

 心の中での一人称も『私』にすることにした。

 いつまでも男気分じゃこれからの人生辛いこともあるだろう。

 この世界は同性愛にはある程度寛容でも性同一性障害には全然寛容じゃないから。

 いや、私は性同一性障害とはまた違うんだけどね。

 心が完全に男というわけでもなくかと言って女でもない。

 私は一体何なんだろうか…。

 この世界の異物なのかという不安に苛まれるときもある。

 更に言うと、最近になって前世の家族が恋しい。

 なんだかんだで愛着を感じていたんだな。


 前世に未練がないわけでもない。死にたくて死んだわけでもない。

 やり残したこともある。

 でも、今生のほうがよっぽど楽しい。それでいいんだ。それが良い。

 どう願おうが前世の家族とは二度と会えないし、それにかまけてお姉ちゃんや師匠と会えなくなる方がよっぽど辛いから。

 今世のほうが生きがいは断然感じている。

 まあ良い。


 ステータスはこんな感じだ。



学力:72 芸術:67 武力:502(↑306) 魔術:30 容姿:242(↑132)

 スキル:『美形成長』『武芸百般への道』『剣豪』『剣聖』『万能への道』『天下為儘』『戦技の王』『王道への道』


 驚いた。上がり幅が予想以上に高すぎる。

 最初は低いなどと言っていたが…仮設も間違っていたかな?

 おそらく、この世界ではスキルの効果が高すぎるのだろう。

 だからここまで早く上がった。


 チートのような能力もいつの間にか手にしていたみたいだな。

 ああそう、『万能への道』はすべての能力の上がり幅を強化。

 『天下為儘てんかなすまま』はその上位能力ですべての能力がとても上がりやすくなる最強のスキル。

 『戦技の王』は武力系スキルと魔術系スキルの最終スキルを両方取得した際に入手できる、武力と魔術の上がり幅を大幅上昇+実力をかなり上昇。

 『王道への道』は『万能への道』と『天下為儘』の中間くらいの性能かな。


 この調子だと学園入学までに999に届きそうだがいいのだろうか。

 まあいいんだろうな。


 そういえば師匠に呼び出されていたな。

 行ってみようか。


「…リル、この度隣国アガストが我が国に宣戦布告をしてきたのは知っているな?」


「そのようなこともありましたね」


「他人事ではないぞ、リルよ。儂らも戦争に参加することになった」


 びっくり仰天。

 齢10歳で戦争に駆り出されるとかおかしいだろ!


「不服か?」


「まあ…」


 師匠の問いに対して返す。

 そりゃあ本当に死ぬかもしれないなんて嫌だよ。

 今の俺はゲーム基準では世界一強いとかそんなレベルだけど、ナオイエが言うには秘密兵器が相手では今の俺でも互角にしか戦えないとか言ってたし。


「はは、正直なやつだ。…だが、お前ほどの戦力を投入しないわけにもいかない。ナオイエから情報を得ているだろう?アガスト王国の秘密兵器やらが来る」


「……」


「親として情けない限りだな。しかしナオイエ曰く、奴を止められるのはお前くらいしかいないらしい」


 これを断れば、この国は滅びるかもしれない。

 父は殺され、お姉ちゃんも私も奴隷に落とされるかもしれない。

 召し抱えた暗殺者たちだって行き場をなくす。

 そんなのは嫌だ。


「ふっ、覚悟を決めたようだな。さて、戦争の日まで徹底的に鍛えてやる。せいぜい死なぬようにな」


 その後の修行はとてつもなくキツかった。

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