第六話 デート
今日はいつもよりちょっと長めかも。
3000文字未満くらい。
本当は自分的には一話6000文字くらいがいいんだけどそれだと更新ペースが物凄く遅くなりそう。
「もう、お姉ちゃんったらはしゃぎ過ぎだよ」
今日は約束の買い物の日。護衛同伴でイザルモ王国(俺たちが所属している国)の中でも特に栄えていてある程度近場である港町ネナスタに来ている。
俺も相当楽しみにしていたが、お姉ちゃんはもっと楽しみにしていたようですものすごく笑みが溢れている。
かわいい。
「だって買い物に出るなんて初めてなんだもん。しかもこんな栄えてる場所初めて!でもなによりリルと一緒なのが一番嬉しい!」
「っ…」
殺し文句を言われて少しドキッとしてしまった。
元々の俺はロリコンではないが、前世ですら子供のようなメンタリティな俺が8歳の人格と融合してしまったからか、10歳(先々月誕生日を迎えた)のお姉ちゃんが余裕で恋愛対象に入ってしまうようになった。
流石にまだ性欲はないものの、これであったらヤバかったかもしれない。
というのはともかく、お姉ちゃんは少なからず俺を恋愛対象として意識してると思う。
この俺の反応を見てニヤニヤしながら顔赤らめてるし。
本人は姉妹愛と思っているんだろうけど、武力チートの観察眼を舐めてはいけない。
感情がある程度わかりやすい人、特にその中でも子供の考えていることは本当に手に取るようにわかってしまう。
俺は鈍感じゃないし、想いには答えたい。
むしろ俺からこうなるように仕向けたと言っても過言ではないのだから、責任はきちんと取るべきだろう。
だけど、前世で恋愛経験0の童貞ヒキニートの俺にはここからどうしていいのかわからない。
悲しい。
まあなるようになるだろう。
「え、えーっと、まずはどこ行く?」
「う、うん…じゃあ服屋さんにでも行く?」
それから俺たちのデート…もとい買い物が始まった。
「この服、リルに似合いそうじゃない?」
やたらフリフリした服を勧められた。
最初から抵抗なく女物の服は着れたけど、こういうのは流石に抵抗感がある。
「そ、そう?あんまりこういうのは趣味じゃないかなぁ…お姉ちゃんのほうが似合うんじゃない?」
やんわりと否定…が、駄目!
やたらキラキラした目をしながら俺を見つめるお姉ちゃん。
「私より絶対似合うから着てみて!」
それからしばらく押し問答があって
「お姉ちゃんがそう言うなら…」
着ることになった。
試着室に入って着替えて見せたら、やたら喜ばれた。
これなら来てよかったかもしれない。
「串焼きの屋台なんて初めてみたよ!ねぇ、ね?食べよう!」
お姉ちゃんは割と箱入り娘だから知識だけあっていろいろな実体験が足りないっぽい。
だからこうやっていろいろなものに興味を示す。
貴族であることも良し悪しだな。
いや、普通に考えてメリットのほうが大きいんだろうけど。
魔法があるから日本の江戸時代なんかよりはかなりマシとはいえ、飢饉があれば庶民はそれなりに死ぬような世界だし。
「イリアお嬢様!そのようなはしたない食べ物は口に含んではなりません!」
護衛の騎士の女性がすごい剣幕でお姉ちゃんを叱る。
まあ職務だから仕方ないよね。
だが…
「まあ、今日くらいはお姉ちゃんのこと見逃してあげて?ね?」
さっきの話の続きだが、それでもやはりどんな立場でも自分の境遇に対して不満を持ってる人は多いんだよ。
そんな人間が全員、理由もなく人を騙して破滅させるような極悪人も、あらゆる人を救える聖人も、救われる世の中であるのが理想なわけだ。
そんな世界なら大きな苦しみものもないし肉体や立場、あるいは脳が劣っていたって意味をなさないんだから。
俺は他人に甘く自分に大甘がモットーだから本当に心からそう思う。
だけど、そんな世の中は今はまだ作れないから、せめてたまの心の贅沢くらいは許されるべきだと思うんだよ。
だからお姉ちゃんを擁護した。
騎士の女性…ライムにも思うところがあったのか、それとも別の理由からか、あっさり言うことを聞いてくれた。
まあ後者だろうな。俺の心理分析だとそっちに見える。
串焼きにかぶりつくお姉ちゃんの姿はとても可愛かった。
「へぇ〜、ここでは闘技場なんてのもやってるんだね」
「リルが気になるなら見ていく?」
まだ見ぬ強者は気になるが、お姉ちゃんがそんなもの見てもつまんないだろうしいいや。
「いやいいよ。もっと二人で楽しめるものにしよう」
「まあどうせ全員リルより弱いだろうしね。リルから見たらつまんないか」
なんか勘違いされてるみたいだが、他のところにすることにした。
そしてたどり着いたのは露天商。
「うわぁ…ネックレスとか指輪とかいっぱいある!」
お姉ちゃんはやはり女の子なようで、そういう装飾品に食いついた。
「欲しいならどれか買おうか?なぜか修行の代金?としてししょ…父上が逆にお金払ってきてるから余ってるんだよね」
師匠は師匠なりに罪悪感みたいなのを感じてるみたいで、何故かお金を払ってくれる。
ぶっちゃけ自分からやりたいって言い出したことだし、厳しい修行はむしろ最近楽しくて楽しくて仕方ない感があるから貰いたくないんだけどね。
それでも押し付けてくる。
まあ貰えるもんだから貰っといてるけど、正直罪悪感を感じる。
こういう形で他人のために使わないと罪悪感が薄れない。
「えっ、いいの?でもこういうのって同性なら年長者が払うものじゃ…」
「いいのいいの。無駄にお金があっても仕方ないでしょ。使わないと駄目。金は天下の回りものってね」
「かねはてん…?よくわからないけどありがたく買って貰うことにするわ。いつか私もリルに買ってあげるから待っててね。…じゃあこれで!」
ああ、金は天下の回りものってことわざはないよねそりゃ。異世界だし。
ゲームが元だからか同じことわざはあるけど、こういうのはないか。
お姉ちゃんがそう言って指さした先は、赤い宝石が嵌め込まれた指輪だった。
値段は…あまり高くないけど結構良さげなものだ。
まあ、俺程度の芸術値の見立てじゃあてにならないけど。
「おっ、お目が高いね。これは掘り出しもんでね。壊されて捨てられていた王都一の鍛治師の失敗作を拾ったやつが指輪状に加工したものでね。ある程度の魔術攻撃を防げるんだ」
そんなもん売っていいのか?
泥棒じゃないのか?この世界では許されるの?
「値段はポッキリ110ルピー!どうだい?買う気になったかい?」
「本当にこれでいい?」
俺がそう問うとお姉ちゃんは頷いたので買うことにした。
「えへへ、リルに買ってもらっちゃったぁ…。嬉しい…!」
そう言いながら、お姉ちゃんは何故か左手の薬指に指輪をつけた。
「あぇっ!?なんで左手の薬指に付けてるの!?」
「あっ…あっ!ご、ごめんね、リル!」
お姉ちゃんはどうやら無意識でやっていたようだ。
しきりに謝っている。
「いや、その…嫌な気分ではないから、そのままでいいよ…?」
「そ、そう?…えへへ」
頬を朱に染めて微笑むその姿はとても絵になっている。
そのままずっと見ていたい…そう思っていたんだけど。
「お命頂戴!」
唐突に現れた黒い外套の男に、俺は後ろからナイフで刺された。
年齢に矛盾があったので修正。
その場の勢いでしか書いてないからこういうミスをしまくりますねやっぱ。
年齢なんかに矛盾があったら基本的に人物紹介におけるそれが正しいと思ってください。




