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第二十五話 ミザール

「申し訳ないことではあるが、お前には縁談を受けてもらうことにする。相手はこの国の第一王子、ミザールだ」


 唐突にそんなことを師匠に言われた。

 頭の整理が追いつかないが、とりあえず…

 

「いや、無理です」


 当たり前だ。私が男を愛せるとは到底思わないし、そもそも政略結婚とは互いに益があるからするものだ。

 なんなら私自身の実力で王国なぞ排除できるし、他国どころか世界を私一人の力のみで支配できる以上意味などない。

 …ないってほどでもないか。私の個人的な武力に依存している以上、死ねば私のワンマン帝国も潰れるわけだし。


「まあ、そうなるだろうな…。しかし、どうしてもと頼まれてな。まあ、せめて談笑だけはしてくれ」


「えぇ〜…それでも普通に嫌ですよ。二人も嫉妬しそうだし」


 私がそう言うと、父の書斎の天井から何かが飛び降りた!


「ふふふ、邪魔するぞ。しかし、俺との縁談を断ろうとするおなごなどが本当に存在するとは思わなかったわ」


 長身で豪奢な金髪を持つ、眼光の鋭さが凄まじい、世界一の美青年(公式設定)だった。

 この話の流れで登場したということは、ミザールだな。

 原作においてはメインヒーローである。

 ただ、第一王子なんて言っても本当に王の実子かは疑わしい。

 というのも原作ファンディスクにおいてこの国の王は、晩年に生まれた第二王子を贔屓してミザールを邪険に扱っていた。

 なぜか? ミザールは側室が生んだ子なのだが、その生まれた数年後に家臣との密会が噂になった。

 その噂が真実かは知らないが、王は信じ込んでおり、廃嫡しようとしていた。


 第二王子は第二王子で確実に実子じゃない。

 第二王子の母親が独白していたからな。

 

 それに王は性豪であるのにも関わらず二人しか子供が生まれていないという事実で察するべきだ。


 とはいえ、その頃の王は耄碌しており若い頃の実力は見る影もなかった。

 ここらへんが私が王を嫌う理由だ。豊臣秀吉のようで、というかモチーフにしてるから好きになれない。

 やっぱり三英傑なら家康だよ。勝利者だし一番好きな武将である今川氏真と仲が良いし。


 …話が逸れたね。若い頃は有能だったのだろうが、年をとってからの醜態がクソすぎる。


 しかし、油断すれば容易くらされるだろう。

 この前あったときなど、好印象すら抱いてしまった。

 流石に惚れるなんてことはないが。

 


 気がつけば師匠が平伏している。

 ちなみに私は敬語すら使わなくても許される。

 形式上は国と私個人で同盟を結んでいる感じになっているらしい。

 なんかよく知らないけど。



「…随分と自信過剰なことで」


「それはそうだ。俺は運の申し子だからな。我が中に眠る力はもちろんとして、自信過剰にもなる」


 ここまでビッグマウスでも不思議と悪印象は抱かない。堂々としているやつだからか。

 …あるいは、前世の自分がこのような存在になりたかったからだろうか。

 しかし、男という時点で恋愛対象としては見れもしない。


「では単刀直入に言う、俺の妻となれ!我が覇道にはお前という心の支えが必要だ!」


「無理。せめて美少女になってから出直してきてください。まあ、浮気はしたくないし仮に美少女になっても断りますけど」


 沈黙が訪れる。ミザールはぽかーんとしている。

 断られることは予測していても美少女になってから、と言われるのは予想外だったのだろう。


「ふ、ふふふ…面白い。ここまで面白い人間だとは思わなかったぞ。しかし、そもそも俺を…いや、男を恋愛対象と見ていないのか…ならば、致し方ない」

 

 案外あっさり引き下がってくれたな。

 まあ、原作からして結構さっぱりとした性格で物事にこだわらないしな。

 原作主人公にはこだわっていたけど、アレは初対面で惚れていた上にデートとかしまくって執着も深めさせられたからってだけだ。

 原作主人公にも初対面で告白していたが、そのときに断ったあとでほとんど合わなければ、卒業式の日に自分から告白しても断られる。

 つまり例外でしかない。私に対してそこまでの執着を抱いているとは思えない。

 今の私の容姿は389。国で一番可愛い女の子よりちょっとだけ上。

 それだけ美少女であるとはいえ、容姿999にした原作主人公ですらそれなりに構い続けないと執着されないのだから大丈夫だろう。


「まあ良いわ。今の話を聞けば恋人もいるようだし、奪い取るような真似はすべきではない。それにそもそも奪い取れなどしないだろう」


 倫理観ガッチリしてるな。父親とは大違いだ。

 やつは家臣の嫁にまで手を出したことがあるからな。

 ありがたい。

 ただ、実は私二股かけてるんだよね。

 私のほうが圧倒的に誠実さが下だな。


「…ときにリルよ、お前は神覧試合というものを知っているか?」


「…私も武に生きるものですから、憧れではありました」


「ならば良い。お前はそれに特別枠として出ることになった。存分に暴れてこい」


「特別枠…?」


 この国の枠ではないのかな?


「ああ、そうだ。同盟を結んでいる対等の相手を傘下として出場させるわけには行かないだろう?」


 あー、形式上の問題なのね。納得


「そういうことですか。ご配慮、感謝いたします」


「いい。これくらいは当然だ。しかし、美少女になる、か。興味が湧いてきたな。運に恵まれ、実力もあり、グレートイケメンなこの俺が、さらに美しくなる。素晴らしい。うわはははは!!!決めた!俺は美少女になるぞ!」


 それから少し話をして、ミザールは帰った。

 しかし、ミザールはアホなところがあるよな。

 原作からして乙女ゲーのキャラなのに少年漫画のノリで生きていた。

 

 しかし、本気なのだろうか。女装でもするの?

 もしかしたら私は禁断の扉を開かせてしまったのかもしれない。

 女同士で子供を作るのは、秘奥義すら知っていれば男女のそれと同じくらい楽なのだが、男同士というのはなかなか難しいらしいが…。

 国が混乱されたら、最高戦力である私が死んでからはこのお家もどうなるかはわからない。

 まあ、ミザールに女装癖がついても同性愛者にはならないことを願おう。





 アルンに稽古を付けて、師匠に稽古を付けられて、シャワーを浴びて、自室に戻って…といういつもの日課をこなす。


 あとは寝るだけだ。


「ひゃんっ!?」


 唐突に耳に息を吹きかけられた。

 私が耳が弱いことを知っているということは、お姉ちゃんかメイス。

 そしてお姉ちゃんは大魔術師に魔術を習いに王都に行っているため、メイスということになる。


「どうしたの?こんな夜更けに」


「…縁談受けたって、本当?」


 ああ、私がこれ以上浮気しないか心配なんだな。


「大丈夫だよ、断ってきたから。…私が好きなのはメイスとお姉ちゃんだけだから、ね?」


「今は二人だけしかいない。嘘でも私だけって言ってほしかった」


 口を尖らせるメイス。可愛らしい。

 しかし、内心の荒れ狂う怒気が闘気とともに湧き上がっており、ものすごく怖い。


「だから、おしおき」


 メイスは私の耳元に顔を寄せて、耳をはむはむと甘噛みしだした。


「やぁっ…んっ…」


「嫌って言っておいて感じてる…んむっ…」


 その後、濃厚な夜を過ごした…。

息抜きとして男の娘×男の娘な、いわゆる薔薇で作った百合の造花的な小説を書きたいと思います。

こっちは一対一です。

更新滞ってるのになにやってるんだ!という方もいるかもしれませんが…本当に申し訳ないです。

作者のポルポト!六角義治!劉禅!

この小説に関しては書きたいことを完全に書き終わるであろう頃60話付近に完結と設定していますので、確実に完結はしますのでそこはご安心を。


2020/08/25追記

やめることにしました。

まあ別なのは書くと思いますが別物になりそうです。

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