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第二十四話 ゴバンギリ

「黒死槍雨!」


 黒い魔術の雨が私に対して降りかかる。

 それに対して私は距離を取りつつ、必殺剣を繰り出す。


「六の秘剣・炯眼」


 途端に雨の勢いが鈍る。しかし、掻き消すことはできず、いくらか私の体に突き刺さる。


「「リル(ちゃん)、大丈夫!?」」


 お姉ちゃんとメイスが私のもとに駆け寄ってこようとする。


「平気。それより二人とも、訓練に付き合ってくれてありがとうね」


 私は今、対魔術・対剣豪用の特別メニューを組んでいた。

 今はまだ魔術師と戦ったことは少ないが、そのうち必要になる。

 そして、魔術師は大抵剣士とコンビを組んで最大の威力を発揮する。

 なので、一緒に戦ってもらっていた。


「しかし、炯眼は苦手だなぁ。対魔術の有効手段なんだけどあんまり得意ではないな」


 元々の肉体が頑強にも程があるので大したダメージは喰らわない。

 それでも、魔術師相手は苦手な方だと思う。


「そういえば、慈眼流の方の奥義になんか良いものがあるらしい、よ?」


 そう言ったのはメイス。彼女は最近、慈眼流の方も少し習っている。


「おお、それはいいことを聞いた。あの道場主の…ゲダシタだっけ?まあいいや。その人に教えを乞いに行くことにする。二人とも、ありがとね!」


 二人の頭を思いっきり、しかし優しく撫でる。

 前世においては女性は頭を撫でられても迷惑なだけみたいなことが言われていたが、この世界においては好きな人にされる場合に限ってはすごく幸せらしい。

 二人の顔も満面の笑みだ。かわいい。


「あの、その、ご褒美に、キスしてほしい…な?」


 メイスがおねだりしてくる。

 お姉ちゃんの顔は…駄目だ、般若のそれになっている。

 しかし、できるだけ俺に迷惑をかけないように怒り出しはしない。

 これは普段から、お姉ちゃんもメイスも同じような感じで心がけている。

 逆に私が迷惑をかけている感じで心苦しい。


「ごめん、三人でいるときはそういうことはしないようにしているの」


 考えても見よう。自分の目の前で恋人が他の人とキスしていたらどう思うだろうか。

 腸が煮えくり返るだろうし、下手したら冷めるかもしれない。

 いやそれは二股している時点でそうかもしれないが。


 だけど、私はできるだけそういうリスクを避けるために、三人でいるときはそういうことをしないようにしている。

 まあ、ギスギスするのはともかく冷められる心配はしていないが。

 二人とも愛情も愛情表現もすごく強いし、なんというか恋愛に対しては一本気すぎるところがある。


「…残念」


「その代わり、後で二人きりになったら、ね?」


「…うん!」




「こ、これは…リル様、よくぞ参られました」


 ゲダシタのもとにやってきたら土下座で向かい入れられた。

 彼の高弟たち8人もここにいる。


「そんなにかしこまらなくていいって」


「そういうわけにも行きませぬ。社会的には許されることとはいえ、卑怯にも大人数でリル様を叩きのめそうとして、逆に粉砕されたのですから」


 そんなもんか?まあいいや。


「深刀流はどう?よく学べてる?」


「ええ、それはもう。基礎や基本をもう1度究めんとすることで、技のキレがますます増しております」


「それは良かった。ところで、慈眼流には対魔術の奥義があると聞いたんだけど、教えてくれない?」


「むむむ…。それはちと難しいですな。いえ、技術の流出がどうのということではなく、女性が使うとなるといまいち効果が薄いのですよ」


「と、いうと?」


「我らの奥義が一つ、猿叫は魔術の効果を一足に打ち消すことができますが、その条件は魔術を萎縮させることなのです」


 魔術を、萎縮?そんなことができるのだろうか。


「特にリル様のような美しい声ですと、魔術との親和性が高くむしろ効果が高くなってしまうのです」


 なんか煽てられてるのかなんなのかよくわからないことを言われた。

 だが、そういえば魔術は声によって魔力を増幅させ、指向性させると聞いたことがある。


「ですが、碁盤斬りなら…リル様なら使えるのではないでしょうか?」


「おい、口を挟むでない!」


 高弟の一人、線の細い左目をいつもつぶっている青年の提案。

 それをゲダシタは一喝した。しかし、気になってきた。


「そういうのいいから。で、碁盤斬りってなに?」


「お、おお、興味をお持ちになられましたか。ならば一つ…。碁盤斬りとは、闘気や魔力などを一切使わず、技の威力と技量のみで魔術を斬るという、慈眼流に伝わる、初代のみが使えたと言われる奥義でございます」


「技量のみで魔術を斬る?そんなことが可能なの?」


「さぁ…初代が本当に使えたのかも疑わしいですな…。いろいろな流派に伝わる魔術への奥義は、闘気や声、珍しいものでも魔力によって魔術に干渉するものですので…」


 実在するかも怪しいと。だが興味が湧いた。


「じゃあそれを使えるようになりたいから修行つけてほしいな。技量はまだまだだけど、威力だけなら最強だと自負しているし」


 そういうことで、碁盤斬りを習得することにした。

 本当に使えるようになるかは…わからないなこれは。

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