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第二十二話 学園通終

「かっとばせ!おぉぉぉぉ!!!ノーサー!いいですわよ〜!」


 私は今、この前のアルンとのデートの埋め合わせとしてスポーツ競技場に来ている。


 今日は王都シャイニンズと・新港ベルスターズの試合を見に来ている。

 これは塁球という野球によく似た競技だ。

 私はシャイニンズのファンで、アルンはベルスルーズの熱烈なファン。


 今はベルスルーズの若き四番、ノーサが逆転サヨナラ二塁打を打って大興奮中だ。

 逆転サヨナラというシチュエーションもあるが、アルンが特に応援してる選手なのでさらに喜びが増しているのだろう。

 しかも指名順位が低い若手だし。


 私はお通夜状態だけど。


 筋肉なにやってんだよマジで…本当いっつも打たれてるよこいつ…。ふざけんな!


 まあ、今日はアルンが大喜びだからいいか。



「はぁ〜、今日は本当楽しかったですわ!連れてきてくれてありがとうございます!」


「いや、この前あんなことになっちゃったからね。こっちが悪いんだからいいって。あとまだディナーも残ってるから食べていこ」


 アルンへの埋め合わせはできたな。

 そういえば親しい女子三人のうち二人とはデートしたけどメイスだけはしてないな。

 アルンとはそういう関係じゃない。しかし、だからこそ彼女は気にしそうだ。

 今度どっか一緒に行こうかな。

 奉仕されるだけされてあの子には何もしてやれてないし。

 本当に稽古をつける程度しかしてないし、それにしても実力はほぼ互角だから私のための稽古も兼ねられているので実質何もしてない。





 今日は私が学園にいることができる最後の日だ。

 結局、アルンとオゲム以外とは仲良くなれなかったけどまあいいや。

 愛弟子と親友をゲットできたわけだし。

 

「うげぇ、あの体力馬鹿三人また平気だぜ」


「ほっとけ、あいつらは色々とおかしいんだよ」


 この三人とは私とアルン、オゲムのことだ。


 アルンは私の指導によって開花したし、オゲムには自主トレに付き合ってもらうという名目でちょっぴりアドバイスをしたらメキメキと実力を伸ばした。


 そのおかげで他の生徒にとってはめちゃくちゃキツイ授業をこなしてもへっちゃらだ。


「ようリル。お前、今日で卒業ってマジかよ〜!?聞いてないぜ〜!」


「あ、うん。ちなみにアルンも中退するよ」

 

「師匠はともかく、私は卒業とは行きませんが将来の深刀流師範となれるので問題はないですわね」


 オゲムには明けてなかった。

 否、明けるのを忘れていた。


「まあしょうがねぇな。おめーは英雄だってこともあって孤立してたもんな」


「…私がボッチだって言いたいの?」


 背中に威圧感を背負わせて脅す。


「な、なんでもないぜ。だがよ〜、なんか困ったことがあったらいつでも力になるから頼ってくれよな。なんたってリル、おめーのおかげで俺はここまで強くなれたんだからな」


 威圧感を解く。


「私は大したことしてないし気にしなくていいよ。それにこの学校で下心抜きで話をしてくれるのアルンとオゲムくらいだったし」


 私の英雄としての立場にすり寄ってくる輩や、見た目のせいですり寄ってくる男はいた。

 全員に塩対応しといたけど。

 特に見た目に関してはレベルがかなり高いのでしょうがない。本能みたいなもんだろう。

 自分から容姿を高めに行ってるんだからこれは自分のせいだ。

 相手が悪いとか言う気はさらさらないししょうがない。


 ここに関してはそもそも私が悪いのだ。


「ま、なにか困ったことがあれば相談してくれよな!」


 …得難い友を得たものだ。

 ああ、ちなみに私とオゲムの間に恋愛的な感情は一切ない。

 私からは当然にないし、オゲムも婚約者一筋なのでそういう感情はない。

 

 奴は一途なのだ。


 …女の子相手に二股掛けてるどっかのゲスにも聞かせてやりたいですねえ…。

 いかん、悲しくなってきた。


 いや貴族の男は何股もかけるのが普通なんだけどさ。

 子供ができないと死活問題なんだけどさ。

 私は後継ぎじゃないし、男じゃないし、女同士で子供を作ることは可能ではあるとはいえ、そもそも子供作る気はないし、じゃあなんなのと。

 子供を作るためという大義名分すらないのに二股とか世間的に見たら最低の下衆なのでは?と思い始めてきた。


 …ごめん、二人とも。でも選べないや。

 これも前世から引き継いだ童貞の呪いがなせる業か…。




 そんなこんながあって家に帰ってきた。

 お姉ちゃん、師匠とは半年ぶり。手紙ではちょくちょく連絡してたけど。

 ナオイエはちょくちょく会ってたな。 


 商人の真似事もやらせていた。

 もともと、そういう事を第二の生業にして隠れ蓑としている暗殺者は多いので、結構稼いでくれている。

 

 しかし、恋人であるお姉ちゃんと半年も離れる。しかももう一人の恋人メイスとともにって半端ない最低野郎…野郎?うん、最低娘だな。落ち込むわ。


「で、良い青春は送れたか?」


 師匠が口角を上げて口だけ笑む。


「はい。友と呼べる存在はあまりできませんでしたが、密度はあり、充実していました」


「そうか…なら良かった。では『しばらく』は家で休むが良い。…イリアはお前と会いたくて辛抱たまらぬようだったから気にかけてやるのだぞ」


 しばらくは、という言葉に予感を感じつつ、私はお姉ちゃんに会いに行った。

次からは第4部が始まります。

主に日常を過ごすことになるかと思います。

それが終われば第5部でトーナメントが始まりますが、トーナメントみたいなのは相当出来が良くない限り読者があまり喜ばないと聞いたことがあるのでぱぱっと終わらせます。

そこが終わってからタグにあった魔剣的な要素が出てくるかと思います。

元ネタ的なゲームがわかる人なら主人公の前世の名前からどんな武器を手にするか予想できるかもしれませんね。

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