第二話 カワイク
あれから二ヶ月がたった。
ステータスはこんな感じだ。
学力:72 芸術:67 武力:8 魔術:30 容姿:52(↑22)
スキル:なし
努力は何ら問題なくできた。むしろ普通の人間の数倍簡単に出来たと思う。
もちろん努力というだけあってかなり辛くはあったけど実行に支障はなかった。
ものすごく嬉しい。
容姿を基準にしようか。この世界においては1でクリーチャー。
15でブス
30でフツメン
50でちょっと良いかも…
60でそれなりにかわいい
80でかわいい
120でかなりかわいい
180でめちゃくちゃかわいい
250で地域で一番かわいい
370で国で一番かわいい
500で世界一かわいい
999で美の女神をダブルスコアで瞬殺するレベル
ちなみに容姿以外は初期値だ。それでも学力と芸術は結構高い。
これは前世の記憶が影響しているのだろう。
俺は容姿に関しては600位を目指している。
スキルを駆使すれば16歳くらいまでに十分目指せるレベルだ。
一つ問題があるとすれば、ゲーム中ではもっと上がりが早かったはずだ。
だがこれについては仮説を立てられているし、それが本当ならゲームよりもステータスが上げられるはずだ。
ってスキルだよスキル。
このゲームにおいては季節の境目辺りで妖精が現れて、日々の生活で溜まったスキルポイントを消費することでスキルを授けてくれる。
それはヒーローと仲良くなりやすいスキルだったり、ステータスを上げやすくするスキルだったり、欲望を叶えるためのスキルだったり。
というか俺は本来このゲームの主人公じゃないはずだけど現れるのかな?
「呼ばれて飛び出てジャジャジャーン!」
クマのぬいぐるみの形をした何者かが現れた。
というかこいつ多分妖精だ。ゲームをやっていた俺にはわかる。
しかしいきなりだなオイ。
「で、私にスキルを付けてくれるの?」
今世で過ごした時間もそれなりだ。
記憶が戻ってからは前世の俺の人格が支柱になっているが、1/5ほどは今世での人格も混じっている。
だからいつもはこういう一人称なんだ。
いや、どっちの人格も対して差はないんだけどね。
「あれ?もうスキルのこと知ってんじゃん?なら説明はいらない?んじゃ、スキルつけていこー!」
スキルの表示された映像が目の前に表示される。
それを操作していく。
なるほど、今の俺のポイントは47ね。
このゲームのスキルはスキルツリーだ。
ポイントを貯めに貯めて最初から高ポイントスキル…なんてことはできない。
そして、スキルセット枠も決まっている。
8つだ。
んじゃあ…『気遣いの身だしなみ』、『美形成長』かな。
30ポイントで取得できた。
残りの17ポイントは残しておこう。
『気遣いの身だしなみ』はセットしていると容姿が10上がり、美形成長はたまに容姿が4上がるスキルだ。
美形成長は正直ぶっ壊れスキルである。
ゲームでは三年間の学生生活を過ごすわけだが、その三年間容姿を全く上げなかったとしても最初からつけていれば300は堅い、そんなレベルのチートスキルだ。
「これでいーのー?」
妖精がゆるふわな声で話しかけてくる。
俺はそれに肯定を返すと、一瞬で風になって消えた。
さて、ここ数日お姉ちゃんに合わずにずっと鏡の前で理想の顔を想像しながら瞑想してたから成分が足りない。
冷やかしに行こう。
「お姉ちゃ〜んっ」
「なにか用?」
精一杯甘えた声でお姉ちゃんに抱きつく。
しかしお姉ちゃんはあんまり俺には興味がなさそうだ。
…なんとかして振り向かせないとな。
「お姉ちゃんって何か欲しいものとかある?」
少し暗い表情をするお姉ちゃん。
こういうのも絵になるなぁ、とか思ってたらとんでもない地雷をぶっこんできた。
「…父様がいない環境、かな」
おうふ…すげぇ重いんだけど。
「…お姉ちゃんは父様が嫌いなの?」
「…嫌いじゃないよ。でもさ、過度に期待されすぎて苦しいの。私は大抵のことは何でも出来ちゃうけど天賦の才はないんだよね。だから際限なく上がっていく期待に応えられなくて辛い…って、こんなこと言ってもまだわかんないかな?ごめんね」
うーん、わからなくもない話だ。
前世の子供の頃の俺も似たような感じではあった。
姉のように努力はできなかったが小さい頃は大抵のことは何でもできた。
だけど親に期待されてそれに答えるだけの才覚も脳もないんだよね。
その期待がだんだん重荷になる。
ああ、俺が努力できなかった原因はここらへんにもあったのかもしれない。
まあ、脳の欠陥が8割環境が2割ってところだろうけど。
結局自分の脳のせい。
…うん、ここはお姉ちゃんに安易にわかるってばよ…すべきではない。
酷い言い方をするが、今のお姉ちゃんは世界にひとりぼっちという妄想に浸っているのだ。
だが、それを今壊しても何ら意味がない。
余計に自分だけの世界に浸るだけだ。
ここは…
「…慰めてくれるの?優しいね、リルは」
思いっきり抱きしめる。
お姉ちゃんの顔が僅かにほころんだ。
「お姉ちゃんが何に悩んでいるのかは今の私にはよくわからないけど、私はいつまでもお姉ちゃんの味方だよ!」
「…リルは偉い子なんだね」
少しだけ羨むような、嬉しいような、そんな顔を浮かべてお姉ちゃんは俺を抱きしめる。
これで少し心を開いてくれたかな?
ブクマされて嬉しいです!
一週間ほどは一日一回投稿をしていこうかと思います。
自分で書いておいてなんですが最初から貴族なんですけど立身出世タグつけていいもんなんですかね?
地位はだんだん高くなっていく予定ではありますが一旦どん底に落とされるわけでもないし…




