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2.お休み


「今日、真宮さん休みなんだって」

「えっ!そうなの!?風邪なのかな?心配…」


 朝。教室に入ると女子たちの会話が聞こえた。


「何があったかは知らないけど、真宮さん休んだのか…」


 ぼそりと修人は口にした。

 おそらく、昨日のことだろうが、何があったかは聞かないと彼女の前で宣言したので、余計な詮索はやめることにした。

 普段よりざわついた空気の中、修人は自分の席に鞄を置こうとした時、後ろからポンと肩を叩かれたので後ろを振り向く。


「よっ。修人。おはようさん」

「おはよ。翔太。今朝はすごいざわついてるというか、なんかいつもよりクラスの雰囲気が違うね」

「そりゃそうだろうな。なんだってあの真宮さんが学校休んでるみたいだからな。うちのクラスだけじゃなく、他クラスもその話題で持ちきりだぜ?」

「ホント、すごい人気だね。真宮さん」

「全くだ」


 少々呆れ気味に首を振る翔太。

 修人に話しかけてきたのは、隣の席の神谷翔太。明るい性格で分け隔てなく皆に接する彼はクラスのムードメーカーだ。


 真宮さんが休みとあって、ざわつきを隠せないクラスの中には、真宮さんの家にプリントを持っていくイベントが起きないだろうか。とソワソワしている男子もチラホラみられる。あのような学校一可愛い女子の家にプリントを持って行って、あわよくば寝間着姿を拝みたいという欲望がダダ漏れている。その気持ちも分からなくはないけど。


「お前ら席に着けー。出席とるぞー」


 この喧騒の中、先生が教室の戸を開き、皆に呼びかける。

 もうそんな時間かとクラス全員しぶしぶ席に着く。


「堀内ー!よし。いるな。真宮…は風邪で欠席だったな…」


 どうやら、本当に風邪で欠席したらしい。俺が去った後何時間あそこにいたのだろうか。昨日は普段より夜が冷え込んでいたし、強引にでも送ればよかったかな。


「あい。んじゃホームルーム始めるぞー…とその前に、桜井!ちょっといいか?廊下まで出てきてくれ」

「…はい。分かりました」


 ホームルームを始める前。先生から呼び出しを受ける。今日も手伝うことあるのかな。それとも何かやらかしたかな。身に覚えはないけど。と色々考えたが思い当たる節がいつもの手伝いしかなかった。


「何だ。修人。何かやらかしたのか?」

「いんや?全然身に覚えがない。とりあえず、行ってくるよ」


 達者でなーと翔太に見送られ、廊下に出る。


「すまんな。急に呼び出して」

「いえ。それは問題ないです。それで、今日も手伝いですか?」

「いや。手伝いなら放課後に呼ぶから、それは安心してくれていい。今回は別件なんだ」


 いや、放課後に急に手伝ってくれって言われるのだいぶキツイんだけどな。予定ないときに頼まれるから大丈夫なんだけど。


「別件…ですか?」

「あぁ。今日真宮が休んでるだろ?今日渡すプリント類を真宮の家に持って行ってほしくてな。これがまた、今週中に出してくれないと困る書類でな。桜井と真宮の家は近いだろ?頼まれてくれないか?」


 クラスの男子たちが期待している出来事を頼まれてしまった。今日は火曜日。彼女のことだから心配せずとも、明日登校するかもしれないが、万が一のことを考え今日渡してほしいとのことらしい。


「分かりました。今日の放課後に渡してきます…と言いたいんですけど、真宮さんって何号室に住んでるんですか?住んでるマンションは知ってるんですけど、部屋までは分からないので教えてください」

「えっ。あんな近くに住んでるのに知らないのか?あー。でも、真宮のことだから誰にも教えてないだろうな…というか、疑惑を浮かべなかったが、何で真宮の住んでるマンションの場所知ってるんだ?」

「たまたま見かけた時に知っただけです。そこまで注視してなかったので、部屋の位置とかは知らないんですよ」


 先生は納得したのか、なるほどなーと言いながら頷いた。


「分かった。今言っても忘れるだろうから、放課後にプリントと一緒に教えるよ。じゃあ戻っていいぞ」


 修人は、はいと頷き、教室に戻った。席に着いた時、隣の翔太が肩を叩いてきた。


「なぁ。何頼まれた?お前の顔から何となく想像つくけど」

「ん?その想像通り、真宮さんのとこにプリント渡すことになっただけだよ」

「だけ。ってお前…そのイベントがしたい男子が何人いると思ってんのか…少なくともこのクラスの半数以上はそう思ってるぞ」

「今日のざわつきをみたら、なんとなくそんな感じはしてたよ。誰にも話してないけど、俺と真宮さん、住んでる家近いんだ。それが理由でプリント届ける事になったって感じかな」

「えっ。お前と真宮さん住んでる家近いのかよ。今度家に行くから教えてくれよ」

「教えたところで、翔太は興味ないでしょ?好きな子いるんだし」


 まーな。と翔太は笑顔を浮かべる。


「まぁ。なんだ。俺の話はいいとして、どんな感じかだけでも教えてくれよ。親友。ちゃんと対価は払おう」

「りょーかい。そのかわり、本人が了承したらだけど」


 翔太とそんな約束を交わし


「よーし。じゃあホームルーム始めるぞ。今日は…」


 先生がホームルームを始める。そんな中、俺は真宮さんの家に行くと思いながら少しソワソワしていた。

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