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1.初めての会話

拙い文章なので、初投稿です。


「…大丈夫?」


 日が暮れ、街灯がつき始める公園で桜井修人は、ベンチで一人俯いて座っている少女。真宮楓に声をかけた時が始めての会話でこれからの交流にキッカケになる。





「すまんな〜桜井。いつも手伝ってもらって。ホント助かる」

「いえいえ。こちらも好きでやってるので。では、俺は帰りますね。またなにかあれば言ってください」


 先生から礼を言われ、教室を出た後、帰る支度をし「さて、帰るか」と溜め息混じりに吐く。

 一週間に一度くらいのペースで先生からなにかしら物事を頼まれる。初めはべつに予定もなかったので一度頼みを受けたところ、「次もよろしく!」と何度も頼まれるようになった。おかげさまで帰る時間は部活生も帰った後になるくらいの遅い時間になることが多かった。


 鞄をとり、教室を出て、昇降口に着き、自分の下駄箱から靴をとり、靴を履く。いつもの流れ、いつもの帰る日常。

 月日は六月下旬だが、街灯に明かりが灯るくらいの暗さまで手伝わせる教師はいかがなものかとたまに思うが、この時間の涼しさは最高に気持ちいいので悪くはないなと思う。


「今日の晩飯何にしようかな。確か、冷蔵庫に挽き肉があったはずだからハンバーグにしようかな。つけあわせの野菜はまだあるし。今日はちょっと豪華にしてみよう」


 学校を出て帰路に就き。今日の夕飯のことを考えながら歩く。

 桜井修人は高校に入学する少し前から学校から徒歩で十分ほどの場所にあるマンションで一人暮らしをしている。基本的な家事はマスターしており、特に困ったことはなく生活している。料理が一番好きなことであり、味は家族のお墨付きである。


「あれは…真宮さん?」


 修人はマンション近くにある公園のベンチに下に俯いて座っている少女を見かける。


 真宮楓。修人と同学年の高校一年生であり同じクラスの少女。茶髪で腰まで伸びたストレートヘアからはキラリと光沢が見え、綺麗な白い肌は同学年の女子たちが羨むほど綺麗だ。クルりとした大きな瞳はまるで人形のよう。背も女子の平均より少し小さめだがこれでもかというほどの細く、スラりとしたプロポーションは人々の目を自然と彼女に写してしまう。


 入学式以降、その可憐な容姿に人気が出て、瞬く間に彼女の周りに男女問わず囲いができた。その後の中間試験では一位を取得し、頭の良さも露見した。


 性格も人を選ばず誰にでも平等に接し、謙虚な性格なので、見た目だけでなく、その性格で惹かれ告白であとが絶えないという噂も広がるほどに。とにかく、すごくモテる美少女なのだ。



 そんな美少女。真宮楓は修人の住むマンションの隣のマンションに住んでいる。入学式から一週間ほど経った放課後。たまたま公園で会った時に隣のマンションに住んでることを知った。

 しかし、お互い近くに住んではいるが、全く交流はなかった。修人は帰宅部だが、基本先生の手伝いやら買い物やらで遅く帰ることが多く、彼女とはクラスで見かける程度。いつも人に囲まれているため話したこともなかった。楓もまた、そういった状態だとは思う。部活をしている様子ではなさそうではあった。


 人気のある彼女のことだろうから、友達同士で帰っているものかと思っていたが、そうではなかったのかもしれない。あの楓が日も暮れ、あたりは暗くなってきた時間に一人公園のベンチに俯いて座っている姿は予想もできなかった。


 修人はこれを無視できず、反射的に楓の元に向かった。

 近くなるにつれて、楓の肩が小刻みに揺れている姿が目に留まる。もしかしたら、泣いているのかもしれないと思った修人は少し足早に楓に近づいた。


「…大丈夫?」


 おそるおそる声をかけた。声に気づいた楓は警戒しているだろう動作で声をかけられたほうを向く。その表情は予想通り涙を浮かべていた。


「…あなたは…同じクラスの桜井さん…?」


 顔と名前、覚えてくれてたんだと修人は少し心が踊った。こんな美少女に覚えられて嬉しくない者はいないだろう。

 楓は修人の顔を見ると目を拭い、少し警戒していた雰囲気を解く。


「ごめん。声をかけないほうがよかったかもしれないけど、気になって。何かあったの?」

「いっ…いえ。べつに、何でもないです。すみません。こちらこそご心配をおかけして」


 楓は少し慌てる様子を見せながらぺこりと頭をさげる。またその仕草も可愛らしいものだった。

 修人はとりあえずこれを使ってと鞄からハンカチを取り出し、楓に渡した。ハンカチを受け取った楓はありがとうございますと礼を言い、顔を拭いた。


「とりあえずさ、こんな時間だし送ろうか?すぐ側のマンションだけど」

「…なんでそれを知って……いえ。大丈夫です。その…少し落ち着きたいので。もう少ししたら帰りますので大丈夫です」


 楓はいつも皆に向ける笑顔で修人に大丈夫と訴えた。ここからまた気遣いでもしたら、ただの余計なお節介だなと思った修人は分かったと言わんばかりに楓に背を向け自宅に向かおうとした時、後ろから声をかけられた。


「…あの…このことは…その…誰にも…」

「大丈夫。心配しなくてもこのことは誰にも言わないよ。あと、そのハンカチ返さなくてもいいからね。いらなくなったら捨ててもらって構わないから」


 この先、彼女と話すとしても業務連絡程度のことだろうと。そう思い込んで、ハンカチの返却を断り、自分の住むマンションへと向かった。

 マンションの階段を登りながら修人の胸中は楓との秘密ということに少し優越感を覚えていた。


「…今日のハンバーグはチーズも乗せようかな」


 自宅前の玄関で修人はそう呟き、ドアを開けた。


先に謝っておきますが、アイドルちゃんが登場するのは、もう少し先になります。

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