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狩人を狩る狩人3

 クロガネがドレスを試着しているころ、ララシフルの教会では――

「ぎゃああああっ!」

 びしゃり、神聖なはずの教会の床にぶちまけられたのは血だった。

 その血に塗れた床には、何人もの男たちが呻き声を上げてうずくまっていた。

「や、やめてくれえ……知ってることは全部教えたじゃないか……剣士のことも、そいつが持ってた不思議な剣のことも……」

「バカかてめえ。簡単に口を割りやがって」

 倒れている一人の頭を、傷だらけの顔をした男が踏みつけた。

「それでも寵愛騎士団か」

「き、貴様誰だか知らんが、神の僕たる我々に手を出してただで済むと……」

「タコ。神が俺を裁くわけねえだろ」

 傷だらけの男は、まるで野菜にでもそうしているかのように、ぐしゃりと騎士の頭を踏み潰した。

 教会内に悲鳴が響く。

「し、シアン司教助けて下さい! 神罰を! 神の奇跡を!」

 うずくまっていた一人が声を上げた。

「あー? シアン司教だ? あの無能なら「犬怖い犬怖い」なんて腑抜けたことしかホザかねえから狂犬の檻にぶちこんでやったぜ。今頃仲良くやってるんじゃねえか? 腹の中かもしれねえがよ。かはははははははははは!」

 男は傷だらけの顔面を引きつらせながら笑った。

「あ、悪魔め……」

 倒れていた騎士が呟いた。

 男はそれを聞き逃さず、その騎士の髪を掴んで引き起こすと、

「誰が悪魔だと? てめえら神の役にも立てねえクズがふざけてんじゃねえ!」

 男は騎士の頭を床に思い切り叩きつけた。

 騎士の顔がトマトのように潰れる。

 即死だった。

「ザコはいらねえんだよ」

 男は次々と騎士にトドメを刺していく。

 そして一分もしないうちに、男を除いて息をしている者は一人も居なくなった。

 騎士たちは寵愛騎士団第三師団の団員たちだった。その常人を遙かに超える肉体を持つ彼らをいとも簡単に全滅させた男は、つかつかと教会の奥に進んでいく。

 教会の最奥、その壁にはオーロラの光を纏う極光神の像が祀られていた。

 男は神妙な面持ちでその前で跪くと、

「……神よ。懺悔します。オレは今日一〇人を殺めました」

 懺悔。

 極光教によれば、慈悲深き神は全ての罪を赦すという。

 しかし――

「……さぁて、これで罪も消えたな」

 男はにい、と笑い立ち上がる。

 男の名はアリゲイター。

 寵愛騎士団最強の男。

 しかし、所属部隊を持たず、また、部下も持たない。それどころか、その姿を見た者もほとんどいない。

 それについて、見た者は死ぬ、とまで噂される教会の死神。

「黒い剣士とやらがもっと殺し甲斐がありゃあいいんだがな。かははははっ」

 その死神が、クロガネに目標を定めた。

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