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Boys Kiss  作者: mimuka
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13/29

病のキス

「うう~。具合悪ぃ…」

 誰もいない保健室で一人、呟くオレは何てサミシイヤツなんだ。

 でもしょーがない。

 保健の先生は用事があるとかで、一時間は留守にするらしいし、他の生徒はいないし…。

 オレはと言うと、ちょっと病弱体質で、この保健室はすでに常連だ。

 今日も貧血で、一時間目からダウン…。

 高校も2年目なのに、オレ、将来大丈夫か?

 まあ今はこのままベッドで寝てしまおう…。

「オイッ! 大丈夫か!」

 …と思っていたのに。

 同じクラスで保健委員のアイツが、保健室に飛び込んできた。

「倒れたって聞いて…」

 倒れちゃいねーよ!

 …ちょっとふらついただけだ。

 にしても、コイツ今頃来たのか?

 今朝来ていなかったから、安心していたのに。

「も~俺、ビックリしてさ。慌てて来たんだけど…」

 こっちへ来る気配。

 面倒だから、寝たフリをしよう。

「それでさ、…アレ?」

 シャッとカーテンが開く音。

「…寝てんのか?」

 聞かなくても見りゃ分かるだろ!

「寝てんのか。しょうがないな」

 ズズッとイスを引きずってくる音。

 …居座る気かよ。

「も~ホント、ビックリしたんだぜ? 俺がいない時に倒れるなよ」

 無茶言うなよ! 

 こっちだってこんな体質、イヤになってんだから!

「ホント、心配で目が離せないって言うかさ。俺、いっつもお前のこと考えてるんだ」

 知るかっ!

 …と言っても、そうなった理由はオレにあるワケで…。

 思い起こすこと高校の入学式。

 入学式には耐えられた。

 けれど教室へ向かう途中で耐えられなくなって、倒れかけたところで、コイツに支えられた。

『大丈夫!?』

 …その後、よりにもよってお姫様ダッコで保健室まで運ばれた。

 回復した後、礼よりも先にゲンコツをくらわせたのは言うまでもないことだ。

 その後、縁があったのか。

 1年、2年と続いて同じクラス。

 そして委員を決める時、コイツは保健委員に立候補する。

 …まあ理由は分かるけど。

「…俺、どーしよ? お前のことを心配しすぎで、これからのこと考えらんねーよ」

 知るか!

 お前の成績が悪いのは、オレのせいじゃない!

 怒鳴りたい気持ちを押さえ、目を閉じ続ける。

「……そんでさ。こんなに心配になるなら、いっそのこと、ずっと一緒にいようかと思ってさ」

 ぎしっ…とベッドが軋んだ。

「ずっと…お前の側に」

 顔が近付く気配。

 思わず目を開けると…目を閉じたアイツの真剣な表情が写った。

 だからだ。

 …キスを許したのは。

 熱くて、震えている唇を心地良く感じてしまうのは、きっとオレの体調が悪いからに違いない。

 ……ずっとこのままでいたいなんて思ってしまうのも、きっと……。

 唇を離したアイツは目を開けて、固まった。

「あっアレ? いつ起きてた?」

「…ずっと、だ」

「えっ? …あっ、寝たフリ!?」

 途端にアイツの顔が真っ赤に染まる。

「ずっズルイ!」

「何がだよ。寝ている病人に、勝手にキスする方がずるくないのか?」

「ふぐぐぐぐっ…!」

 言いつまるアイツの首と頭に手を回して、引き寄せた。

「んんっ…」

 …ああ、やっぱり気持ち良い。

「…えっ? なん、で…?」

「責任、取ってやるよ」

「えっ!」

「一生、オレの側にいろよ」

 そう言って頬を撫でると、ボロボロ泣き出した。

「うん…、うんっ! 大好き!」

「オレも好きだ」

 そうして再びキスをする。

 心が浮き立つような、甘いキスを。



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