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選択と運命が交差する時  作者: ふ~ん
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動物の嗅覚をなめるなよ!

こんばんは。遅くなってしまいすいません。では、どうぞです。

「リントさんよぉ?リントさんは神官と言っていたのに、最初に出会った時は聖女って言って無かったっけ?」


「はい。確かにいいましたが。」


「でも、聞く限りアレ以降聞くのは神官ってしか聞かない感じがするんだけど?……なんでだ?」


 『それは……』と応え出す。なんでも、安易に[聖女]と言うと何も知らない人は、時と場合を考えずに願望をさらけ出す生き物なのだとか。

 私達がこの道へ進むにあたり、人々が思う聖女と私達が考える聖女とはかけ離れているそうだ。


 そして、神官とは人々が考えるところで言えば受け持っている教会を取り仕切る人の事を指している。

 私達が知り合っている神官とは、初級神官から上級神官・大神官・聖女間の事を指しているみたいだ。


「へー。聖女って偉いんですね。」

「そんなチビッ子名のに、よく頑張りましたね」


 そう言うと急にリントはプルプルと震え出したのを見て、マリリン様が『こら。聖女様はお歳が百歳を過ぎている方も存在するのですから……子供なんて失礼です!』と俺の耳元を囁くのだ!

 

 この聖女をディスれば、御褒美の様なマリリン吐息が味わえるとあって何度かディスっていると


「貞夫さん。私、弱い者イジメする人は好きになれないです。」


(じゃ!じゃあ、弱い者イジメしなかったら好きになるってこと?)

「じゃあ、僕は強すぎるので限定でリントさんのみイジメません。」


「貞夫さんはそんなに強すぎるのでしょうか?」


 それはウキウキしているような。それでいて、上っ面だけでない……そう!心がこもっている。流石!俺が好きになった人!って思ってたら


「糞っ!糞っ!糞っ!糞っ!糞っ!糞ぉー!」


 貞夫とマリリンが言った事が全てリントに当てはまっていたのか、貞夫に当たること無くりとてマリリンに説教すること無く終始ブツブツと俺らに聞こえる様に独語を言っていた。

 そんな感じで俺達は進んでいく。途中から、水の神殿までの道のりは荒野だったのだが、水の神殿から風の神殿へは緑豊かな野原が続く。


 何もない野原は、次第に冒険者やシスター達の疲労や不信感が次第に募る一方だった。ただ、一人を除いて……いやもう一人いるかぁ。


「マリリンちゃん!のど渇いてなぁーい?」


「私はちょっと喉が渇いてるなぁ。」


 『うん。大丈夫だよ』と言うのだが、どう考えても疲れている。俺の心のエナジーとも言える笑顔が、三割り程削られている感じがする。

 でも、どうにかして何時もの笑顔に戻って欲しいので


「そうだ!超スゲエ料理を作ってやるよ!よし、そうと分かれば獲物を調達に行ってくるぜ。」


「あ!私もお腹が少し減っていたのよぉ……」


 護衛の努めなのに、離れるという選択を取る農夫の男。

 少し距離を置いて、アリギダを呼び出す。


「アリギダ!お前に幾つか条件を言う!」

「一つ!疲れた体に甘い食べ物を。一つ!今から行く風の神殿の中!及び人間!及び考えれる神殿関係には一切係わらないこと。」


 アリギダはニィヤァー……と笑い『仰せのままに』と言うと又も風を切るような速度で消えてしまう。

 しばらくすると


「で!?食べ物を持って来るんじゃないの!?」


 呼んでもないリントが現れた。

 どうやら、貞夫の場所が分かっているらしい。更に言えば、貞夫が何かを召喚した気配も分かっているみたいだ。さすが、聖女といったことろ。

 そうそう、疲労が貯まって無い奴は貞夫とリントである。


「別に、お前の為に取ってきてんじゃねぇよ。」


「……まぁ。それは置いときましょうか。」

「で、今さっき離れる時に私に渡した物……何か分かりますよね?」


「当たり前じゃんか。って!マリリンちゃんを一人にするんじゃネェよ。」


「大丈夫よ。ここら一帯は、巡礼者の精神と体力を磨り減らすだけでモンスターは出ないから。」

「ま、精神が可笑しくなって現在チームは迷っているのだけどもね。」


 全ての状況を理解・把握をする水の神官リント……伊達だてじゃない。


「この水……水の神殿の更に最深の濃い水の味がしますね。濃い水、つまり体力を全回復させる神聖で厳重に保管していますが?もしや勝手に入ったのでしょうか?」


 『それに、コノ無限アイテムボックスの原形なる物』としんみりとリントは何かを見据える様な感じで見ている。要は、疑っている感半端無いのだ。

 更に『……材料はジャイアントスライムなんですねぇ』とジトメの先には……アリギダが!?


 これには、ビックリして『うえっ!?』ってなり変顔になるリント。


「御待たせしました。……コレはなんでしょうか?更に風の便りに貞夫様が疑いを掛けられているとか?本当に、無知とは恐ろしいことです。」


「無知ぃ!?私は水の神殿の聖女を無知ィ!」


「だって知らないんでしょ?ジャイアントスライムの胃袋の中に水を入れておくだけで、濃厚回復水に変わるのです!」

「まあ、仕込みの時点で有ることをしないと回復水に変化しませんので。……知らないんでしょ?聖女さん?いえ、聖女様ァァァァ?ハハハ」


 超強烈なアリギダの見下した殺気に、半泣きになる聖女。もう、足腰が立てない様子をチラリと見て


「ちょっと遅かったな……で、何作ったの?」


 貞夫の言葉を聞き直ぐに一礼する。


「ここら一帯はモンスターがいないですが、甘い物は直ぐに取得出来ました!」

「が!そんな直ぐに終わって良いモノでしょうか!?否!!」


(別にいいぞー。ハードル上げんでいいぞー。)


「やはり心踊るは血肉なのです!……ということで、近くにブリザードゴリラの団体がいましたので……完成です!」

「名付けて!冷たいフルーツ盛りゴリラ鮮血がけ……になります。御安心を新鮮ですから、冷たい血を飲んでも行けます!」


(コレが苺ソースだったらいいのにな。)


 皿に盛られたフルーツに冷たい鮮血が!……リント目尻が引きっておりピクピクしていらっしゃる。

 ということで、足腰が立たないのを良いことに


「ほれ!特別に試食をアーン法式で食べさせてあげよう。」

(主に鮮血部分を削って……っと)


 鮮血が冷たく固まり、スプーンにどっぷりとこんもりと盛り上がっている。それは、綺麗な赤富士ともたたえる程の赤さである。

 この行為に


「貞夫様!私はこんな、チンチクリンの小娘の為に刈って来たのでは!」


「でもさ、料理の事を知らなかったら先輩が[こんな味だぞ!]って教えてこその料理人だろ?」


 [料理の事を知らない]というのは、ジャイアントスライムの胃袋の仕込みの話である。

 貞夫の説明に全てを頷いてアリギダは


「分かりました。では、先輩自ら後輩に指導たるアーン法式をしましょう!」


 そう言うと、貞夫から赤富士を受け取り詰めて行く。途中『おや?食べ物を粗末にするなんて』とか言って、落ちた冷たい血の塊を鼻の穴に入れるって事をしていた。

 それほど、現実的に先輩料理人及び料理長には敵わないのだろう。


……

「ほーら。冷たいフルーツ盛りですよぉ。」


「凄い!フルーツあったんだね。……でも、確か貞夫さんは火属性でしたよね?氷の属性ありましたっけ?」


「ええ。途中でブリザードゴリラの攻撃に逢ってしまい。運良く、冷たいフルーツが完成したんです。」


「だから冷たいんですね?!……あと、貞夫さんの背中に背負っているのはリント様でしょうか?」


 『ああ!そうだね。モンスターにビビって、腰を抜かしたらしいですよ。』そう、嘘は言ってない!と凛とした態度をしていた。

 ふとした事で気付いたのだが、何気にマリリンちゃんの視線が貞夫の背中にいるリントへと目が行っているのが数分後に理解したので『おっと!手が滑った』と言い地面に落とす


「はっ!……ううぅ。」


 我に返ったのも束の間。自分の情けなさに涙を流す聖女。

 落ちた聖女を見て、あ!そうだったんだ!的な雰囲気になったのを見て『もしや!脈あり!?』と思ったのは言うまでもない。


「ほんと、ありがとう。この冷たいブリザードゴリラには感謝ね。」


「……へ!?って、ブリザードゴリラですって!?アリエナイ」


 そうこうイっているうちに『モンスター三匹近付いてくる!』という冒険者情報が!


……

 ブリザードゴリラ、体長三メートル。毛の色は白く単髪で、普通にマンウンテンゴリラの毛が白いと思ってくれれば良い。

 このブリザードゴリラ、なぜか貞夫に向かって来ない……はい。全く来ない。


 内心は、最初から『オラッ!来い。早く来い!来い!来い!来い!来い!』って思い続けて早十分は経過したと思う。

 マリリンちゃんに格好いいところ見せたいのに全然来ない。


 というか……避けてる?ゴリラが!


(ま、魔王だからな。俺が知らない内に、物凄い力が出ているのだな。虚しいものだ……魔王って奴ぁ。)


 そう思っていたのだが、違った。

 どうやら、俺達……貞夫・マリリン・リントに近付かないのだ。不思議である。


 で、近くに寄って来ないので声すら聞こえないのだが


「貞夫さん!あの人達を助けに行ってください!私はリント様と一緒に戦いますから!」


 って言うんだもん。仕方ない


 で


「口から我らの血肉の匂いが!?コイツらが我らの親玉を殺し七百もの同胞を血祭りに上げた奴等の仲間か!?」

「奴等に近付くな!黒の魔王が笑顔で追ってくるぞぉ……」


(血……スプーン一杯だよな??……七百ゥ!?)

(黒の魔王ね。服の色でも替えようかな。)


 貞夫が応援に入りかける、ゴリラ逃げるってのを数十回繰り返すと、イライラしてくるのは必然 である。

 そして


「くらえぇぇ!ロケットパァァーンチィィ!」


 後方にジャンプし逃げたブリザードゴリラに手加減無用の火の拳が炸裂した。

 ロケットパンチはゴリラに当たる前に蒸発する。そして、空の雲を突き抜けて行った。

 まさにポカーンである。


「ま!奇跡ってあるよね。……あるよね!」

(場を!盛り上げとかないと身が持たん!)


 貞夫のどうにかしたいという気持ちは、リントやマリリンには伝わってはいるものの、他の巡礼者からは白い目で見られていた。

 そんな場を変えたいと思っているのは貞夫だけでは無いみたいで、ボソボソと『貞夫君に助けられたもん』の応援言葉を耳に受けた時!


 何かが心を走った。そして言葉を発していた。


「マリリンさんの事が好きです。結婚してください。」


「え!?」


「アレを見ろ!風の神殿の周りに白の……なんだアレは?」


 リントの『まさかブリザードゴリラ!?』という言葉に皆言葉を失ってしまう。

 そう!辺り一面真っ白なんだ。 

少人数かもしれません。ですが、読んでくださる人がいるから!明日もよろしくです。ありがとうございました。

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