これが、魔王のヤリクチよぉ
こんばんわ。遅くなりましてすいません。では、どうぞです。
……
「ようこそいらしゃいましたね。私は水の神殿を守る聖女のリントと名のっています。」
『歩きながら説明しますね。では、此方へどうぞ』と。なんとまあ、神殿前(外)で俺達を待っていたのだ。なんという、暇人なのだろうか?俺だったら、ベッドの上でゴロゴロして玄関にアラームを付けといて鳴ったら出迎えるのに。
でもこのリントさんの笑顔も中々の癒し系で守ってあげたくなる身長の低さである。
そんな風に先頭を行くリントさんの後ろ姿を見ていると急に振り返り
「ココ、水の神殿では初級神官に成るために来ていますが、実は冒険者様も悪しき人を避ける為に[ある試練]を儲けていたのですが……」
その後の話の内容は、ジャイアントスライムが忽然と喪失してしまい、本来するべき試練が受ける事が出来なくなったという。
「なので、皆様!下を見てください。」
『ん?なんだなんだ?』という感じで下を見と、青い線に何かの魔法陣の枠が引いている。その魔法陣は水の神殿を円を囲っている。
リントさんが説明するには、同じ様に[悪しき人]を避けるべく魔法陣を張ったそうな。
「罪人ではない限り魔法は発動しませんし、あなた方の中でモンスターが人間に変化していないでしょ?……なれば発動はしませんよ。」
さあ!出発となるのだったが、イキナリ俺達のグループ内で結界に触れたのか『ぐぎゃゃ!』という声が……そして、遅れて
「ああ……そうそう、一つ言うことを忘れていました。」
「巡礼の際は、護衛を品定めさせて頂きます。さしあたって、罪人は当たり前ですが彼女達が初級神官になってから彼女達の力を借りて出世・脅し等を考えている人を除害します。」
つまり、俺は行けるってやつだね……信じたい
「どうしたんです?もう、あなただけですよ?」
「あの、質問しても宜しいでしょうか?」
貞夫はどうしても聞いておきたい事があった。それは『悪しき人』である。ぶっちゃけ人かどうかは別問題なのだが、魔王は悪しき人?かどうかマジで聞きたい。
そして、質問するのだが
「ダメです!」
「そんなぁぁ。」
「なんですか?あなたは悪しき人なのですか?」
「ハハン!なるほど、裏の職業が悪に属しているのですね。」
貞夫は、悪しき人が魔王ってのもあったのだが、もっとも悪ッボイ事をした感じのやつがある。それは、ジャイアントスライムである。
神殿のジャイアントスライム……から察するに、『ウチで飼っていたスライムが昨日から見当たらない』という風に聞こえて来るのだ。
「裏の職業がどんなに悪党でもコノ魔法陣には反応しませんから御安心を。」
(でも、脱落者以外の方達は次の神殿に身辺情報を伝えておきますので。)
そんな話をしていると、先頭を歩いていたマリリンちゃんが『どうしたのですか?貞夫さん』と言い手を差しのべてくれるのだ。
(ヒャッハー!)
心が炎の様に舞い踊った
後
「ふん!」
なんと!悪しき人に引っ掛かってしまう。だがしかし、魔王がこんな魔法陣ごときで『ぐぎゃゃ!』と成るわけ無いし成れるワケが無い!
そんなに力まず平然と、蚊を優雅に殺すかのようにバレないで進んだのだが
「えー……農夫レベル20の佐藤貞夫様。今のでアナタは引っ掛かりました。」
「原因はアナタから多量の邪な気配を感じ取った理由です。」
『なので、とっとと出て行って下さい。』と俺の肩を叩くのだ。しかも、マリリンちゃんとの固く握られた手は無惨にも引き剥がされてしまった。
で、外・夜
「グヘヘヘッ!アンちゃんも、あの女達に何か御褒美を貰おうとしていたんだろぉ?」
反応のない背中に男は『で?どこまで行ったんだぁ?……へッへッへッ』と笑っているのだが、マジで反応が無いので『なんだ!?つまらん』と言い来た道を戻って行くのだった。
貞夫が途中リタイアになってしまったのだが、あのあと『貞夫君はイイ人で』と言ったが『イイ人が邪な……いえ邪悪な考えを持つでしょうか?』の問いにボソッと『でもぉ』と言っていたのは今でも忘れない。
そんな、悲しいとも言えそうな愛しいマリリン『でもぉ』は次第に真っ赤な炎へと発展していった。
……
「ハハハハハ!お前が水の神殿で神官のリントかぁ。旨そうでイキイキしているではないかぁ?」
「私を連れ出して何が目的なの!?」
あのあと、次第に沸々とデキあがって行く。そして、最終的に神官を洗脳さして貞夫をオールグリーンにして頂く考えにたどり着く。
で、狼虎を呼び出して
「ポチ?あの神殿の中に、これくらいの背で髪は青のロリータがいるから無傷で連れて来て。」
で、今に至る。
現在は、狼虎の扉の中に入り、暗い空間でグルグル巻きにして身動きを取れないようにしている。
話を戻る
「目的?そんなもの決まっている!」
「ある信者がなぁ?マリリンちゃんと仲良くしたい!好きって気持ちなだけだというのに悪しき人でひかかってしまい脱落してしまった!……だから、そんな好き!って想いは決して邪な思いじゃない!ってのをリントって奴に教えてくれ!」
「……ってなぁ?」
「……貞夫さんですか?」
(なぬぅっ?!ジャストミートじゃないかっ!)
「フッ。フフフフ。フハッハッファッハッ……」
「お前が選ぶのは恥辱なのだな?そして、死んで行くが良いわぁ!汚ないオヤジに抱かれるがヨイ!」
「えーー!?!?」
「私、何か間違ったこと言いましたぁ?!」
指パッチンすると、汚ないオヤジ炎バージョンが出てくる。汚ないオヤジが『グエッヘッヘ』と言いながらスカートをピラリと捲ろうとするが触った所が炎で燃えてしまう。
リントは悲鳴と涙しか出していない。そして、観念したのか
「く!何が目的かハッキリしてよぉ。」
「なんでも言うこと聞くからぁ。」
「グエッヘッヘ……まて!待つがヨイ。」
「今の言葉、間違い無いな?」
「はい。」
(あれ?今、オヤジと止めた人!同一人物なのかな?声が一緒だったような??)
「先に言っておくが、頼み人は貞夫では無い!アレは……遠い遠い昔にな。聞いたんだよ。」
(なに!?コノ今作った感!)
「貞夫を脱落するのはダメだ。貞夫は良い奴なんだなぁ。火の魔法はピカイチなんだなぁ。」
(自分を誉めるのって恥ずかしいなぁ。)
(これって自作自演にしか見えないんだけど?)
(いや、でも農夫よ!?無理っしょ。)
「分かったわ。貞夫を通過と見なすわ。」
その言葉を聞いて、ホッと胸を撫で下ろしたのだが
「だけど!一度落としてしまった人を通過というのは世間的に通じないモノがありますよ?」
「ですから、私の命も欲しいので貞夫には私自ら着いて行き邪悪と分かれば即次回風の神殿で通達しますので!」
「では聞こう。ソナタの邪悪と思う所とは?」
「この世を暗黒に落とそうとしている輩の事よ」
「では、貞夫では無いな。貞夫はね、大好きな人と一緒に行動しそして何時かは結婚を申し込もうとしている……普通の男なのだよ。」
「愛している人がイイ人なら、愛する奴も絶対イイ人・もしくはイイ人に成ろうと努力している人なんだぁー!」
「それは、女性の想いを無視してない?」
「ちょっと黙れ。」
「イイエ!黙りません!私だって好きな人くらいは」
「お前を調理してやっても良いんだぞ?汚ないオヤジ!カモン!」
汚ない炎のオヤジを見た瞬間に目を反らし黙る。それを確認すると『貞夫は良い奴……』と言いながら消えて行った。というか、本当は強制的に狼虎の空間から出て貰った。
場所を移した貞夫が落ち込んでいる格好をしていると
「あの?もし?!……貞夫様ですか?」
「ん?……ああ!ええと、リントさんですね?」
「って!どうしたのですか!?服が燃えてますよ!?」
(白々しい。あなたが願いをしたのでしょうが!)
「大丈夫です。水の神官は、火の耐性を上げる為、日夜火を訓練しているのです。」
(嘘つけ!今の今までギャーギャー泣いていたろうが!)
「へー。で、なんか御用で?」
……
今!出発の日
「わ!?サダオ君も一緒なんですね?」
「うん!そうなんだ。あの水の神官さんが言うには、アレはトンダ間違いだったんだって!」
「ほんと、間違いましたで取り返しがつかないのに、簡易な謝りしかしないんだぜ?」
「でも、こーしてマタ一緒に旅が出来るなんて夢みたいですね。」
「私の班は、先の選定で全ての冒険者が落ちてしまったので……サダオさんには守ってくださいね。」
「いえす!愛キャン」
マリリンちゃんは『うふふ』と笑い、貞夫もヒャッハーと心舞い踊っていた。
「マリリンさん!アナタの護衛する者がゼロになってしまったので、特例として私水の神官が付き添いますから。」
「及ばずながら、私もアナタを守っていきます。私リントと貞夫で!分かりましたね?」
「さあ!次は風の神殿です!」
なんか、リントさん張り切っている。何故かは知らないが……それは後々分かるのだが。
マリリンちゃんは深々と『ありがとうございます。』というのだった。
……
ところ代わって
「お前ら七獣将軍は、我が魔王に従い俺以外の勇者を殲滅しろ!……分かったな?!」
「おおおおおー!」
「よし!手始めに氷将軍のホワイトベア!」
「ハッ!」
「風の神殿を半壊してこい。……そうだなぁ?風の神官は生きたままココへ連れて来るがよい!」
(風の神官は絶世の美女と文献に記されている。楽しみだぁ。)
最後まで読んで頂きありがとうございます。また、明日です。