シュッポ!シュッポ!シュッポッポ!……ポー!!
こんばんは。遅くなりました。では、どうぞ。
外へ出てくると、なにらや騒がしい。まあ、大体分かっているのだけどね。
「目がぁ……目がぁぁ。」
(え?!目なの??俺のの食べたのは目ん玉なのん?)
程なくして
「皆の者!状況は知っていると思うが、今洞窟で人間の形をしたモンスターが出現し目だけを抜き取る化け物がばっこしています。」
結局帰る事となった。
目を失った農夫には、謝礼として金貨三枚が支払れた。
「……」
馬車の荷台内の皆は、恐怖を見た感じで静まり返っている。それもそうだ、行きは40人も乗っていたというのに帰りは40人なのだが、普通に目が見える人は貞夫を含め7人しかいない。
そんな静まり返っているのに
「また俺達の縄張りに人間達が入って来たぞ!」
「血の匂いがする!負傷している人間がいるぞう!」
外からグレイウルフの群れが『バウッ!ワウ』と声がした時ぐらいから荷台内はパニックである。
特に、目を失い耳だけが頼りの彼等には余りにもグレイウルフの足音と吠える声、馬車の車輪が慌ただしく粗い音は距離感が無く……まさに恐怖だろう。
「すまんが、また頼めるか?」
そんな頼まなくても殺ろうと思っていた貞夫は快く『まかせろ!』と言い火の玉を連続で出して行く。百発百中に当たっていくと片隅で『ピルルン』となっていた……無視をする。
「よく退けてくれた!これは、代表として褒美の金貨十枚である。……うけとりたまえ。」
「あ、ありがとうございます。」
……
俺の名前は青柳勤享年82歳……老死である。いや、仕事疲れかもしれない。妻は30年前の52歳という若さで亡くなってしまった。
妻が亡くなって『自分はなんて不幸なんだ!』って思った次の日、なんとライバル社の一人娘がイキナリ告って来たぁー!そして、結婚……子供の成人式を見届けた事・彼氏、そして娘の結婚は見れなかったが……
「とても良い人生だったよ。(……雪奈が死んでくれたお陰でなぁ)」
「ところで、アンタ誰だい?俺は死んだはずだし、この体は?この顔もだけど……」
死んだはずなの俺は、雲の中の様な……だけど透き通る部屋へと来ている。俺の目の前には、絶世の美女がいて、俺に笑顔をくれるのだ。
ぶっちゃけ俺に惚れているのか!?という感じさえ思ってしまう。
「クスッ……別に惚れてませんよ。」
「フフッ、そんなにビクつかなくても宜しいでさよ。」
そのあと『本題を言います……』と言っていた。
「なるほど、俺には選択があるのだな!?天国か魔王か……じゃあ、魔王にするよ。」
「余り考えずに直結しましたね。なぜですか?」
そんなの決まってる!という感じで
「天国と魔王という選択は、一見魔王が損をしている風に見えるが、選択とは天国と同等でなければ[選択]という言葉は有り得ない!」
「ですが私が嘘を言っているかも知れませんよぉ?」
フッ!……みなまで言うな!という感じで
「俺が死んだにしては、サプライズが大き過ぎるだろぉ!」
天女は『そうですね』というと勤は
「魔王になるのだ……では天国と同等の対価を貰おうか?」
天女は勤の申し出を受け入れるのだが最後に天女からノルマを言い渡された。
それは『これから百年間、勇者を皆殺し』だった。そんな、百年ノルマを頭の回転が良い勤は了承するのだった。
……
「これで俺は魔王でありながら勇者なのか?」
天女は頷き、勤にステータスを見せる。
「ほら!ここに【表職勇者】でこの選択から【魔王】を選択すると……」
「おお!本当だな!?勇者を演じる魔王が出来るのだな。それとだな、このステータスは誰でも見れるのか?」
「ステータスを見るという特化している人や街へ入るギルドカードが選択が魔王のままなら。」
「なるほど……では、偽装とかの技とかあるのか?」
天女は頷く。結局、勤は属性を光・生命・氷・水を選択する。ここに、新な魔王が誕生したのだ。
「で?どうやって、勇者を殺して行くのですか?」
「ん?……自作自演するんだよ。その為には、邪魔な勇者を全て魔物に任せ始末させてから、最高のチームで魔王を倒しに行くのさ。」
(そして、世界は俺のモノだ!)
「……わかりました。」
「では、先に魔王城の玉座に飛ばしますね。」
「ああ……そうしてくれ。」
……
貞夫はパントゥの街に着くと、いてもたってもいられず街中を走っている。走る理由は、もう一度マリリンに会いたい!ただそれだけ。
それはもう、俺に恋が来たぜ!って思ってしまうほどの春が来た感である。
(もう一度……もう一度俺にあの笑顔をおくれ)
教会前に到着すると、大声で『マリリーン!』と言うが反応は無い。暫くすると
「誰ですか?そんな大声を出して……近所迷惑ですよ。」
出て来たのは全然知らない女性。貞夫はマリリンという女性の事を聞くと衝撃な情報を聞いてしまった。
それは、
「マリリンさんは、他のシスターと数人の冒険者とで、初級神官に成るために修行の巡礼の旅に出ました。」
「一日経って無いのに??マリリンさんは何処に!?マリリンはどっちへ行ったの?」
彼女は食い込みすぎの貞夫を引きながら『昼頃、街の東門から出て行きましたよ』と聞かされ……脳に刻んでいるとアル閃きが舞い降りる。
(そうだ!じゃあ、ギルドに神官様を守る募集をしているハズだ。いこう!ギルドへ……早く)
「ありがとうございます!」
もう、心の中で『好きだー!マリリンに会いたい!好きだー!』と大声を言いまくっている。
で
「ドガァン!」
「……あの、神官に成るための手助けをしたいと思っていたんです!ずっと前から!!」
「その前に何故ドアを壊したのかな?」
ドアは『オラッ!邪魔ぁ!』という感じで蹴破って入って来た。もし、ドアの近く人がいたら大惨事になっていただろう……。
「神に手助けしたい一心で風のように走ってきました。」
これは、貞夫の本心では無い。
こんなことをワザワザ言ったのは理由がある。
理由は、生前の経験にて正直過ぎると相手は引いてしまい取り返しがつかないようになってしまった事があったからだ。
そんなことは、二度としたくない!
貞夫の神への情熱が伝わったのか
「分かりました。馬を貸します!……早く追って下さい。」
「……はい!ギルドカードに登録しましたから、これで合流しても変態者には見えません!」
(いや、普通に出くわしても変態には見えないだろ?)
「了解!……ですが、俺は自分の乗り物を持っていますから大丈夫です。」
そう言って街から徒歩で出ると
「来い!狼虎……出ておいでポチ。」
召喚魔法を発動。ポチのかけ声で、門の後方から『ウオン!』と吼え体長数百メートルの炎に包まれた狼が一匹出て来る。
「よし!東へ、マリリンさんの元へ行っけぇー!」
普通だったら、布の服や木の皮の靴なんて直ぐに燃えるのだが貞夫の火想像魔法で燃えない様に工夫している。
布の服をポチの炎と同等の温度にすることで、燃えない布の服と木の皮の靴になっている。それは、自動で勝手にそうなっているので……なんで燃えないの?って話は無しにして頂きたい。
で!
「ちょちょちょ!待って、止まれ。」
「よし!俺はこれから少し走って行く……分かったな?」
ポチは頷いて消えて行く。
ポチの全力疾走は十秒位で、マリリンさん団体を捉えてしまう。正直、速すぎて少し焦った。
なので、これからは走って合流するつもりだ。
ありがとうございます。明日もよろしくです。




