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第2話 力加減

その沈黙の後、再起動を果たした他の兵士も槍を使って刺して来たり、毒っぽいもののついたナイフを投げてきたりした。

俺に当たり全て弾かれるか折れるかした。

毒のナイフとか完全に殺す気じゃね?

あ、麻痺毒って可能性もあるのか

とかどうでもいいことを考えながら優花に当たりそうな攻撃だけは自分で弾いて、他は無視した

一々対応するのも面倒だからな


兵士たちの武器が全て使い物にならなくなったところで、ようやく認識が追い付いたらしい国王が叫んだ。


「馬鹿な!?この男にはなぜ剣も槍も毒も効かぬのだ!?この男は巻き込まれただけで勇者ではないのだろう!ええい!魔術だ!武器が効かぬとも魔術なら効くであろう!やれ!!!」


と命令した。

するとその命令を受けて、ローブで顔はよく見えなかったが魔術師の女の口元が悔しそうに歪み

「こちらの都合で巻き込んでしまったのにすまない、許してくれ」と小声で言ったのが俺の耳には聞こえた。

偶然、俺には聞こえたが他の奴らには聞こえなかったようだ。

この国にもまともな奴がいるんだなと思いつつも、俺は初めて見る魔術がどんなものか興味津々だった。


『火よ、我が意に従い敵を焼け!フレイム!』

『風よ、我が意に従い敵を切り裂け!ウィンドカッター!』


と2種類の魔術が飛んできた。

やっぱり呪文って厨二病っぽいな!

俺も魔術使えたりするのかね?


そして火の玉が、風の刃が飛んできた

一つだけ弱い火の玉があるが、あの女の魔術か?

手加減してくれたのか

そして10人の魔術師が放った魔術が全て俺にあたり、煙が立ち込めた


「馬鹿め!直撃したぞ!これで殺してしまったかもしれないが仕方あるまい」

「明らかにあの男は異常でしたから英断であったかと。火の魔術ですから勇者の女も巻き込まれてケガをしているかもしれません。抵抗されぬよう隷属魔法を掛けた後治療をしましょう」

「ああ、そうだな。さっそく隷属魔術の準備を・・・


「まったく人が黙っていれば、さっきからなんだ。勝手に死んだことにしやがって。それに隷属させるだの人質に使うだの言いたい放題だな。挙句の果てに人の幼馴染を戦争の道具として使うだと?そっちの都合で無理やり誘拐したくせに、ふざけてるんじゃねえよ」

「「な・・・!?」」


俺が会話の途中で煙の中から声をかけると馬鹿みたいに同じリアクションをした。

あっ、馬鹿みたいじゃなくて馬鹿なのか。

自分の力で何でも思い通りになっちゃうとか考えてるような奴らだしな

そして腕を振るって煙を吹き飛ばした。


「優花、大丈夫か?」

「ケホッケホッ、うん大丈夫。ちょっと煙吸っちゃっただけ。それより龍也はケガしてない?」

「俺があれくらい炎でケガすると思うか?」

「思わないけど、心配なんだよ・・・」


その言葉に対して俺は何も答えず、優花の頭を撫でた


「ちょっくらオッサン達お灸据えてくるから」

「うん・・・」


こいつも元気そうに振る舞っているが、いきなり異世界に飛ばされて、知らない人たちに襲われたりして内心とても怖いのだろう

俺が守ってやらないとな・・・


「さて、どうしてくれようか?」

「「ひい!!」」

「なんでアンタらそんなにシンクロ率高いの?200%超えるの?」


間違いなく異世界人には通じないだろう言葉を投げかけながら俺は近づいた


「来るな!化け物!兵士ども!何をしている!我を守れ!!」

しかし兵士たちは動かない



「なんだ、分かってるじゃないか」


「俺は元の世界でも化け物って呼ばれててな。そんな奴に後先考えず、自分の方が無条件に偉いだとか強いだとか考えてケンカ売ってきたんだ」


「最初はこの国ごとぶっ飛ばしてやろうかとも思っていたが、全員が全員悪い奴ばかりじゃないって分かったしな」


そう言って先ほどの女魔術師を見た。

そして国王の方を向き直し睨みつけた


「こ、殺さないでくれ!金なら払う!だから命だけは・・・」

「いや別に殺しはしないさ、ただ優花にもう一度手を出してみろ。お前もこうなるからな」


そういって俺は無造作に足をを振り上げ、石造りの床に振り下ろした。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

2時間後俺たちはアルノウス王国の王城から抜け出した。


「よし、これで当面の資金も手に入った。今日のところは宿で休んで、明日になったら冒険者ギルドに行こう」

「ねえ、龍也」

「ん?なんだ?」

「これから私たちどうなっちゃうんだろ・・・」

「そうだな、これからのことも話し合わなきゃいけないけど、まずは宿をとって休もう。今後の方針は明日になってから話し合おうぜ」

「うん・・・」

「心配するな、元の世界に戻る方法は絶対見つける。優花は俺が守るから」

「・・・!」


そして優花は顔を赤くして何も喋らなくなった。

我ながら小っ恥ずかしいセリフを言ったものだが、これで少しでも優花の気が紛れるならよしとしよう

そう思い、俺は城があった(・・・)方向を振り返った

町ゆく人はすべて城の方を見て騒いでいた。

そこには半分ほど崩壊し、無残な姿になった城だったものがあった


・・・うん、やりすぎた

本当は床をぶち抜いてちょっと脅かすだけのつもりが力加減を間違えて半壊させてしまった。

自分でも思っていたより怒っていたようだ。


これだけの大惨事なのに死者がいないのは、国王が勇者、つまり優花を召喚するために人払いをしていたため、あの部屋にいた以外の兵士は城壁付近を巡回し、宮仕えの者たちはすべて城の外に出ていたからだう

少しはいいことするじゃないか、あの国王も


ついでに崩れた城から宝物庫を掘り出し、資金を少しばかり調達した

再建費用とか大変だろうけど、まあ迷惑料ってことでもらっておいた


結果オーライだ






龍也たちと一緒の部屋にいた国王、禿げ、兵士たちは魔術師の女の魔法により瓦礫は当たらずケガもしませんでした。

ただし宰相は恐怖でただでさえ少ない髪がなくなりました。

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