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第23話 報告

日付変わってしまいました。

すいません

では、どうぞ

そうして俺たちは知り合ってから10年ほど経ち、やっとお互いの思いを通わせることができた。


その後、あきらめて寝床に戻った野次馬の姿を確認してから持ち場に戻り、見張りを再開した。


何事もなく見張りが終わり、朝になった。

いや、本当に何もなかったぞ。

いつもより優花との距離が近かったくらいで。


朝食の時間、ライがこちらに来て俺の耳元で囁いてきた。


「それであの後どうだったんだい?」

「あの後って?」

「ユーカちゃんに告白したのかってこと」

「見ていたくせに何で聞くんだ?」

「ハハハ、ナンノコトカワカラナイナ」

「おい、片言になってるぞ」


あれでバレていないだなんて思っていたのだろうか?


「いや、実を言うと2人の事が気になってね。見守ってあげようって事で遠目から見てたんだけど、言葉は聞こえなかったんだよ」

「ほう、それは良かった」

「こっちとしては2人が話してるくらいしか分からなかったし、その後は姿を見失うしで何の話をしているかも分らず終い。おかげで寝不足だよ」

「自業自得だな」


話から察するに殆ど寝ていないか徹夜したようなものだろう?

この後王都まで歩くのに大丈夫なのだろうか?


「それで!結局どうなったんだよ!気になって寝れなかったくらいだから早く知りたいんだ」


やっぱり寝てないのか・・・

他の面子も寝ていないのかね?

ただライとマリーはともかくラグネスやシリアまで野次馬していたのは意外といえば意外だったが。


「野次馬に教える筋合いはないね」

「それはないでしょ!いいから教えてくれよ~」

「語尾を伸ばすな、気色悪い」

「気色悪いって酷いな・・・」


そこでマリーがこちらにやってきた。


「タツヤ、やるじゃない!」


まさか・・・


「ユーカに聞いたわよ。タツヤはやれると思っていたけど、さすがね!」


背中をバシバシ叩かれる。

優花、話してしまったか・・・

非難の意味を込めて、優花の方を見る。

優花は顔を真っ赤にしてフリーズして(固まって)いた。


「いや、見失った後のことを聞いて結果だけ話してくれたところで、思い出したのか湯気でも出そうなくらい顔真っ赤になっちゃってね」

「え?なになに?タツヤとユーカちゃんがどうかしたの?」


先ほど俺からの回答を聞けなかったライがマリーの話に食いつく。

そしてマリーよ、野次馬してたこと隠すつもりもないのか?


「ユーカから聞いたんだけどね?昨日ユーカがタツヤに告白して・・・」

「なんだって?おいタツヤ、ユーカちゃんから言わせたのかよ?」


ライが少し怒りをにじませつつこちらに問うてきた。


「まあまあ話は最後まで聞きなさいよ。それでユーカから告白した後、タツヤから結婚を申し込まれたんだって!」

「やるじゃないか、タツヤ!お前はやればできる男だと思ってたよ!!!」


ライの手のひら返しというかなんというか・・・

雰囲気の変わり具合がすごい。

そしてマリーと一緒に背中をバシバシと叩いてくる。

痛くはないが、いい加減鬱陶しい・・・


「まあ、なんだ。男としてというかな。待てせてしまった分は誠意を見せないといけないって思ったんだ」

「「「「「「おおー」」」」」」


聞き耳を立てていた他の面子まで声を上げる。

そして優花の近くまで歩いて行き、停止状態から復帰した優花を立ち上がらせ、皆に向き合う形で報告することにした。


「というわけで優花と結婚を前提にお付き合いさせていただくことになりました」


そしてなぜか拍手が起こる。

一応、ここまで心配してくれた人たちだから言ったが、やはり恥ずかしいものは恥ずかしい。


そこでナールさんが辛そうな顔をしているのに気が付いた。

何かあったのだろうか?


「ねえ龍也、ちょっとナールさんと話があるから向こうの方に行ってくるね」

「ん?分かった」

「それじゃあちょっとこっちに来てください」


そうしてナールさんを連れだって見えない位置まで行ったようだ。

何か、心当たりがあるのだろうか?


少し疑問に思いつつも、朝食を再開した。




~~~優花side~~~


昨晩、ようやく龍也に自らの思いを伝え晴れて恋人同士になることができた。

それどころか龍也の方からプロポーズまでしてもらえた。


とても嬉しくて、幸せで、今までの人生の中で最も素晴らしい思い出になったし、これからもこの記憶は色褪せる事なく残り続けるだろうと確信できるほどに。


しかしナールさんの想いも私は知っている。

龍也は色々と鈍いところがあるから気づいていなかったみたいだけど。

彼の場合、相手の感情を察することが苦手なのは少しどうしようもない事なのかもしれない。

私以外の人とあまり関わることの無く、一人でいることが多かったから。

龍也に助けられたことのあったりする女の子の何人かは好意を寄せていた。


そしてナールさんもその一人。

オークに捕えられ絶望しただろうし、そこを助け出してもらった訳だから。

かく言う私も絶望的ではなかったけれども、助け出され彼の優しさに触れ好きになったんだけどね。


そこまで考えていたところで、ナールさんが口を開く。


「おめでとうございます、ユーカさん。私の事は心配しなくても大丈夫です」


改めて見ると先ほどのような辛そうな表情でなく、どこか吹っ切れたような表情をしていた。

あれ?


「あ、ありがとう。私が心配することじゃないかも知れないけど本当に大丈夫?」

「はい、大丈夫です。確かに私は龍也さんに恋をしましたし、今でもこの気持ちは消えていません」


ならなぜ辛くないなんて・・・

私なら龍也が他の女の人と結ばれてしまったなんて事になったらどれだけ悲しむのか分からない。


「あの時は私の想いは報われることもない、この初恋は終わるんだ。って思って落ち込みました。でもユーカさんに連れられて歩いている最中に気付いたんです!」

「気付いたって何を?」

「確かに先を越されてしまった、と思いますし、ユーカさんを見ていると私のこの想いは出会ったのも、抱いた時間も圧倒的に劣ります。でも劣っていたっていいんです!第一夫人が無理でも第二夫人でも妾でもなれれば勝ち組です!」


・・・その言葉に思考が追い付かない。

え?なに?どういうこと?


「あれ、驚かれましたか?」

「すっごい驚いてまだ整理できてないんだけど・・・」

「よくよく考えてみれば、一人の男の人に多くの妻がいるなんて良くあることですし、貴族や実力のある冒険者ならおかしなことじゃありません!要はその男の人が養えるだけの器量と財力を持っていればいいんです!タツヤさんってすごい実力があるようですし問題ないはずです!あっ、別にお金目当てって事ではないですよ?あって困ることは無いでしょうけど、私は純粋に一目惚れです」


一気に言われたせいで余計に頭がこんがらがる。

どうにか私の中で整理してナールさんに言う。


「え、えっとね、私たちのせか・・・国では一夫一妻って言って一人の男の人に、一人の妻って決まりがあるんだけど・・・」

「そんな国があるんですか。私、村からあまり出たことも無いので知りませんでした。でもこの国ではそんな決まりはないので大丈夫です!」


いやいやいや、全然大丈夫ではないよ・・・


「でも、私たち何時かは国に帰るし・・・」


何時かと言わず今すぐ帰りたい。

折角マリーたちと友達になれたから分かれるのは寂しいけれども、早くお父さんとお母さんに龍也との事を伝えたい。


「決まりは破るためにあるんです!!」

「いや破っちゃだめだよ・・・」

「それは冗談として、私諦めるつもりはありませんので!」

「むむむ、龍也は渡さないよ?」

「渡す必要はありませんって。分け合おうって事です」


そうしてどちらともなく笑い出す。


「はははは、あーお腹痛い。沈んでると思って、ここでちゃんと伝えて筋を通そう!って思って色々考えて話そうと思ってたのに、いきなり凄いこと言うんだもの。ビックリしちゃった」

「あははは、私も凄いこと言ってるって自覚はあります。でも諦められなそうだったもので」


心配して損はしなかったが、これは恋敵ができてしまったのかな?

でも私が一番だし、いつか日本に帰る以上それは譲れない。


「私も譲らない。まず龍也は私しか女の人を見れないように頑張るから」

「今はユーカさんしか眼中にないと思いますけど、何時かは振り向かせて見せます」

「でも私たち冒険者だし、ナールさんは住んでるとこもあるでしょう?」

「ふふふ、そこは私に考えがあるので大丈夫です!」

「なんかすごい嫌な予感がするなぁ・・・」


何をするつもりだろうか?

まあでもナールさんとは仲良くなれそうだ。


「改めて言うけど譲らないからね、ナール」

「こちらも改めて、私も頑張りますので覚悟していてくださいね?ユーカ」


そうして私たちは握手を交わした。

いかがでしたでしょうか?

迷いに迷った挙句、こうなりました。

非難浴びそうで怖いです・・・


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