第21話 成果
お待たせいたしました!!!
日付またいでしましました・・・
探索を終えた俺たちはシリアたちと合流するために、帰路についた。
「あんな攻撃を受けても原型が残るものなんだな・・・」
「てっきり粉々になって回収できないかもしれないと思ってたけどね」
そこそこ威力は出ていただろうけど、燃えたりしてるわけでもないし粉々は言い過ぎだろう。
「正直オークキングまで出てきたのは驚いたぞ」
「タツヤがいなければ援軍呼んでも被害が広がっていたかもな」
「まあ少なくとも普通の方法じゃどうにもならなかっただろうね」
今回の集落では事前にジェネラルとメイジの姿は確認できていたが、確認できていなかっただけでオークキングもいたらしい。
本来なら俺たちのランクでは倒せない強さで、C+なら適正といった具合の魔物だったようだ。
「おいおい、あの岩投げだって正攻法だろう?」
「「「あれは普通の方法じゃねえよ!!!!」」」
遠距離の安全なところから認識外の攻撃で敵を仕留める。
重要な事じゃないか。
まあこれは現代戦というか、地球での話だからこっちの人は分かりにくいのかもしれない。
「なんとなく龍也の考えていることは分かるけど、絶対に違うと思うよ・・・」
優花がついに読心術を・・・
「まあ方法がどうであれ被害が出なかったことは良い事じゃないか」
「被害は周辺の地形だけだね」
クレーターのような物が何個かできていて、木々がところどころ吹き飛んでいる。
周辺環境にも被害が出ているか・・・
なにかできることは無いかと考えたところで思いついた。
「優花、木属性魔術である程度戻せたりするか?」
「なるほど、思いつかなかったよ。やってみるね!」
そういって優花が力を籠める。
まず土属性魔術ですこし地面を戻し、そこに木属性魔術をかける。
すると地面から芽がひょろっと出てきた。
そして見る見るうちに成長し、地球で見たことのある植林の苗くらいの大きさまで成長した。
「ふう、これくらいでいいかな?」
「ああ、そうだな。後は自然に成長して森と一体化してくれるだろう。ありがとうな、優花」
なんだか優花に無いはずの犬耳と尻尾が見える気がする。
もっと褒めて!と自己主張している。
とりあえず頭を撫でる。
俺のせいで苦労を掛けてしまったしな。
「これくらいどうってことないよ~」
これで本当にあったら、尻尾をぶんぶん振っているだろう。
犬耳と尻尾のある優花か・・・
・・・ありだな。
「なあラグネス、私はそろそろ砂糖を口から吐き出しそうなんだが」
「ジラース、言わないでくれ。俺も同じ気持ちだから」
「俺も彼女欲しい、タツヤが妬ましい」
「本音出てるぞ・・・」
そんな話をしているうちにシリアたちの元に到着した。
「お疲れ様です。こちらで異常はありませんでした。そちらは大丈夫でしたか?」
シリアが優花に対して質問した。
「割と見てられないような風になってるものもあったけど、形自体は結構残ってたよ」
「見ていられない風ってどんな状態よ・・・」
まあ女性というか、グロテスクなのに耐性が無い人はきついだろうな。
片腕がもげて、首があらぬ方向へ曲がってるくらいならましな方で、中にはいろいろと飛び散って単なる塊になっているのもあったしな・・・
ちなみに優花は苦手でも得意でもないようで、見れなくはないけど積極的に見たいとは思わないようだ。
中には怖いもの見たさで見てしまう人もいるからな。
「まあ死体の状態はさておき、証明部位はかなり回収できたよ」
「あの攻撃では形が残ってないとも思ってたのですけど、良かったです」
「それで内容は?」
「まずオークのが24、ジェネラルが2、メイジが4、さらにキングのも見つかったな」
ラグネスが結果をマリーに答える。
するとシリアたちの顔が驚愕に染まった。
「まさかオークキングまでいる集落だったとは・・・」
「真正面から挑んでいたら確実に命が無かったわね・・・」
「でもこんな短期間でキングが発生するなんておかしいですよね・・・」
ん?オークキングってそんなに珍しい魔物なのか?
「オークキングはオークの中でも特に体が大きいものが長い時間をかけて魔力を取り込み、変化するものなのだが・・・」
俺の心の内を読んだわけではないだろうが、ちょうどいいタイミングでジラースが答えを教えてくれた。
なんだろう、この魔王の復活が~とか、魔人が悪さを~とか言いだされそうな展開は・・・
でもこの世界の魔人は閉鎖的で自分たちの大陸からほとんど出てくることがないらしいのが。
「もしかしたら近くに魔力溜まりがあるのかもしれませんね」
「魔力溜まり?」
名前的に魔力が溜まっている場所なんだろうとは予想が立てられるが、珍しいものなのかは分からない。
「ご存じありませんか?名前の通り魔力が溜まっている場所で、その近くで強力な魔物が誕生したりしてしまったりします」
「どういうところにできるんだ?」
「火山であったり森の中であったり様々なところにありますが、近くに迷宮があることが多いのですが・・・」
「迷宮か・・・」
迷宮に行くことも俺たちの目的の一つだから気になるな。
正確には迷宮で手に入る道具で、地球に帰れるようなものが無いか探すことが目的だが。
「はい、ですがこのあたりで迷宮は無いはずです。もしかしたら新たに発生しているのかもしれません。これはギルドの方に報告しなければならないかもしれません」
新しい迷宮か。
珍しかったり、効果や能力がすごい道具などは長い年月存在する迷宮の方が多いそうだが新しいものでも確率は0ではない。
新しいということは誰も入っていない可能性が高いし、魔道具なども手付かずだろう。
町に戻ったら準備をして探しに行こうか。
「新しい迷宮か。気になりはするが探しに行くには余裕がない。ここは一旦王都に戻って、報告してからだな」
「そうだな、依頼も達成したことだし報告はしないといけない」
「新しい迷宮があるというだけで新しい依頼も出ますね。私たちが情報を持ち帰ったものなので優先的に依頼を回してくれるかもしれません」
「ユーカたちも依頼は受けるのかな?」
「たぶん受けることになると思うけど、どうするの龍也?」
「ああ、受けるつもりだぞ」
そこで優花だけに聞こえるように顔を近づけ、ささやく。
(可能性は低いが地球に帰れるような魔道具があるかもしれないからな)
(・・・!そ、そうだね!)
なぜ噛んだ。
そしてどうして顔が赤くなってるんだ?
疑問に思っているとライに呼ばれた。
「おいタツヤ、ちょっとこっちに来い」
「なんだよ、また口調変わってるぞ?」
「いいから早く!」
そこで肩を組まれた。
「おいおい男とくっつく趣味は無いぞ」
「俺にもないよ。それでタツヤ、さっきのはワザとか?」
小声で尋ねてくる。
何だ藪から棒に。
「さっきって何のことだ?」
その質問をするとラグネスが
「本当に自然にやっていたのか・・・」
と飽きれた声を出していた。
ジラースとヴァームも頷いている。
「・・・天然なのか?まあいいけど、俺から言えることは一つだな」
「なんだ?急に説教じみて」
「そろそろユーカちゃんに気持ち伝えてやれ」
「・・・その話か」
「悪い結果にはならないだろうから、いつまでも躊躇ってないでちゃんとしろ。男だろ?」
「・・・俺もこのままじゃいけないとは思っていたが」
「なら今日の夜の見張りの時にでも伝えるこった」
「急な話だな・・・」
「なにが急だよ。むしろ遅すぎるくらいだ」
俺も覚悟を決めないといけないのかもしれない。
だが、地球に帰れる目途が立っていない状態でというのは気が引ける。
・・・これも自分に対する言い訳でしかないのかもしれないが。
「・・・すこし考えたい」
「いろいろタツヤにも事情とかあるかもしれないけどな、ユーカちゃんから言わせるようなことになったら一生お前を軽蔑するぜ?」
「・・・ライなんかに軽蔑されるのは嫌だな」
「おい!ライなんかってなんだよ!なんかって!?」
「じゃあライ風情とでもいうか?」
「どこの悪役だ・・・」
そんな会話をしていると、今まで気絶していたナールさんが目を覚ました。
「うう・・・ここは?」
「お、気が付いたみたいだな」
「あっ、あなたは!先ほどはオークの集落から助けていただきありがとうございます!私ナールって言います」
「そういえば俺の名前を伝える暇がなかったな。俺はタツヤで隣にいるのがユーカって言うんだ。よろしく」
「よろしくねナールさん」
後ろの方からライが、そこは俺の嫁ですって紹介するところだろって呟いている。
・・・
優花には聞かれていないようだがなんてことを言いやがる・・・
「よろしくおねがいします!タツヤさん改めてお礼を言わせてください。あの時助けて貰ってなかったらどんな目にあっていたか・・・本当にありがとうございました」
そういって頭を下げる。
「いやいいって、言っちゃなんだけどそれも依頼みたいなものだからな」
「それでもです!タツヤさんとっても強いんですね!私はただの村娘ですからどれくらいタツヤさんが強いのか分からないですけれども、その、カッコよかったです・・・」
「褒めてもなんも出ないぞ?まあ無事ならそれで十分だよ」
顔を赤くしているが、異性と話すのが苦手なのだろうか?
周りが
「これは完全に・・・」
「命と貞操の危機を救ってもらい、なおかつその人物が顔がいいと来たもんだからな・・・」
「ユーカうかうかしてられないわよ」
「ううう、がんばるよ」
とか言っているがどうしたんだろう?
「あの質問してもいいですか?」
「なにか気になることでも?」
「いえ、その、タツヤさんとユーカさんってどんな関係なのですか?」
「・・・幼馴染でパーティメンバーってところだな」
また後ろの方でライが何かを言っているが黙殺した。
「そうですか、いやとっても仲が良さそうに見えたので・・・これはもしかしたら」
「ん?どうかしたか?」
「いえ何でもないです!はい、本当に!」
まあ何でもないならいいか。
「・・・ゴホン、お互い自己紹介も終わったみたいだし王都に向かおうか。今回の夜の見張りはナールさんもいることだしパーティーごとで大丈夫か?人数の問題もあるから俺たちが一番長く、その次に純白の光鳥のメンバー、タツヤたちの順で時間を多くしよう」
「了解です」
「・・・特に問題はなさそうだな」
俺と優花を二人っきりにするための都合の良い分け方のような気しかしないが・・・
ふとライの方を見るとサムズアップしていた。
この世界にもあるんだな、そのジェスチャー。
「問題ないみたいだし、決定で。移動は歩きになるがナールさんは冒険者ではない。ナールさんのペースに合わせよう」
「分かりました、ではそうしましょう」
「私のためにありがとうございます・・・」
そうして俺たちは行きに来た時よりもゆっくりしたペースで移動を開始した。
PCのデータが消えたのでまた下書きからやり直しです・・・
記録を切り分けするためのUSBを買った帰りに壊れるという。
今度はしっかり用意しましたから、大丈夫なはずです。




