第20話 説明
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「何が起きたんだ?」
おっ、ラグネスが再起動した。
フリーズしてたのは十数秒ってところかな?
「えっと何がどうなったのか全く分からないのですが・・・」
どうやらシリア達も再起動したようだ。
ちなみにイルはいまだに固まっている。
そして金髪の女性は気絶している。
疲れもあるのだろう。
名前は後で聞こう。
俺のせいで気絶したんだろうけど・・・
岩で集落が吹き飛ぶ光景は刺激が強かったのか?
「何がどうなったって言われてもな。見たとおりだ」
優花に岩を出してもらってそれを投げて爆撃モドキを行っただけだ。
この世界に火器はなさそうだから印象としては大規模魔術といったところかね?
「岩投げただけであんなことになるはずないでしょ!?というかあんな大きさの岩を投げれるのもおかしいし、まずあんな速さで投げれるのもあり得ない、って突っ込みどころ満載すぎよ!」
マリーが息を切らせながら叫んだ。
「そうだぞタツヤ!!あんな岩まず俺じゃあ持てないし、俺たちパーティーの中でも一番力があるヴァームだって全身使って持ち上げられるかどうかわからないぞ・・・」
ライが巨体のヴァームを見ながら俺に言う。
ヴァーㇺは首をぶんぶん横に振っている。
持てないってことか?
たぶん一個ぐらいならいけるだろ。きっと。
「ユーカさんもう一度同じ岩を出してもらえますか?」
シリアが優花に頼んだ。
まあ実践してみたほうが説明も楽だろう。
「はい、これでいい?」
先ほど同じ大きさの岩を2つほど出してもらった。
「ヴァーム、その岩を持ってみてくれないか?」
俺はヴァームに向かって岩を指さしながらそう促した。
ヴァームはうなずき、岩を一つ持ち上げようとした。
しかし岩はびくともしなかった。
「ヴァームでもやはり無理か・・・」
「この岩はどれくらいの重さがあるのだ?」
ラグネスとジラースが呟く。
この世界でメートルとキログラムって概念はあるのだろうか?
似たようなものがあれば自動的にスキルで翻訳されて伝わるだろうが・・・
「キログラムってなんのことだかわかるか?」
「はい、重さのことですよね?」
まあ正確には質量の単位なのだが細かいことはいいだろう。
「大体そんな感じだ。そういえばいつの間に気が付いたんだ?」
イルが俺の問に答えたのでついでに聞いてみる。
さっきまでフリーズしてたからな。
「は、はい。ユーカさんが岩を出したところで我に返りました。当たり前のように無詠唱で魔術を使ったことにも驚いてしまって声が出せませんでした・・・」
なるほどな、先ほど爆撃モドキに使った岩を出した時は遠くにいたから詠唱していたか分からなかったのか。
「言われてみれば・・・」
「私もあの光景が衝撃的過ぎてそこまで気が付かなかった。・・・」
シリアとジラースも驚いている。
予感はしていたが無詠唱って珍しいのか・・・
「まあそのことは珍しいし、ユーカの才能も改めて考えるととんでもないけど・・・それよりタツヤさんよ!結局あの岩ってどれくらいの重さがるの?」
マリーが話を軌道修正した。
「分かったよ。あの岩の重さだったか?大体1500kgって言えば分かるかな?」
「1500って・・・」
「ちょっと実感がないな・・・」
まあ普通だったら片手はおろか全身を使っても持てないだろう。
「そうだな・・・俺が60kgくらいだから25人分ってところか?」
「「「「「「なんでそんなもの投げれるんだ(ですか)!!」」」」」」
あっ、ヴァーム以外の声が重なった。
「えーと、龍也だからかな?」
優花、その答えは納得したくはないぞ・・・
自分でもそんな気がしてくるので滅入ってしまう。
「まあ、記憶にある限りはずっとこんな感じだからな。俺もなぜだかは知らん」
「何かのスキルですかね・・・」
「スキルでもこんなに怪力になれるものなんて聞いたことないよ・・・」
詳細不明って言われても納得できないんだろうな・・・
「タツヤ、一つ質問なんだが・・・」
ラグネスが俺に訊ねてきた。
「なんだ?言っておくが俺のスキルを教えてくれっていうのは無しだからな」
「それは冒険者としてご法度だから聞かないさ。聞きたいのは別のことだよ」
一応釘を刺しておいたがいらない心配だったようだ。
「俺にはあの大きさの岩を持ち上げて軽そうに見えたんだが、まさかもっと重いものまで投げれるのか?」
「ん?俺も試したことはないから限界は分からないが・・・あの岩30個分くらいのものなら持ち上げられたぞ?」
かつて試してみたのだが、山にあった直径6mくらいの岩を持ち上げるのも苦労しなかった。
むしろその後投げれるくらいだったので限界は知らない。
「やっぱり龍也だねー」
「ユーカがタツヤさんを心配しない理由がわかったよ・・・」
「俺も考えるのが嫌になってきた・・・」
優花はいつも通りの反応、シリア達は驚いてはいるが怖がっている様子はない。
「しかしラグネスたちは俺のことは怖くないのか?今までの奴らはほとんど俺のことを怖がっていたんだが・・・」
「怖がる?ああそんなことか」
「そんなことかって・・・」
「前にS-の冒険者を見たことがあるんだが、その人もドラゴンを一刀両断していたんだよ。それくらいのランクになるともはや常識なんてものが通用しないんだろ。それと同じようなものだと思えば凄いとは思うが怖いとは思わないさ」
S-の冒険者か・・・
なんだか人外って言われている気もしなくはないが、怖がられないならいいかね?
まあ俺のステータスの種族の欄は人間?となっているが・・・
他の面子もラグネスの言葉に頷いている。
「よかったね龍也」
「ああ、ありがとうな優花」
「私は何もしてないよ?」
「それでもだ」
優花が首をかしげているが気にせず頭をなでる。
「またやってるな・・・」
「二人だけの空間って感じだよね・・・」
「空間属性の魔術か何かか?」
「俺も彼女がほしい!」
「あれ、ライさんの性格が元に戻りましたね。先ほどまで真剣な感じでしたのに」
「ライさんって二重人格なのでしょうか・・・?」
そんな変な空気でも出ているだろうか?
咳ばらいを一つして話を変える。
「まあ何はともあれ、依頼達成かね?」
「そうですね、オークの討伐証明のためにとりあえずあの集落だった場所に行きましょう」
「いろいろと吹き飛んで地形変わってる気がする・・・」
「これで死体も残らないくらい木端微塵だったりしたら笑えないな」
「そんな気がしてくるから不吉なこと言わないようにしてくれよ・・・」
それってフラグな気がするんだが、死体くらい残っているだろう。
討伐証明部位の、確か耳だったか?
それらくらい残っているはず、たぶんきっと。
「もし証明できない場合はどうなるんだ?」
「普通の魔物の討伐だと証明部位を持って行かないと問題だけど、この場合だと倒せたことさえ証明できれば大丈夫じゃないかしら?どうやって倒したのかの証明は大変そうだけどね」
「まあ、あれだな。耳が残っている事を祈ろう。残っていなかったらその時はその時だ」
「残ってるかな・・・」
「残っていた場合は3等分でいいのか?」
「なんだかタツヤさんが一人で全部倒す?というより吹き飛ばしてしまいましたからね・・・」
「私たち貢献したって言えないよね・・・」
「俺たちも結局何もしていない気がするね!」
ライが元気良く言うが、そこは元気良くなるところか?
「まあ最後くらいは仕事はしておかないとね」
「ですね。タツヤさん、私たちはナールさんの事を見ていますので、証明部位の回収をお願いできますか?」
シリア達がいまだに気絶している女性の面倒を見てくれるそうだ。
というかナールさんという名前なのか。
「分かった、じゃあよろしく頼む。優花はどうするんだ?」
「私も龍也に付いて行くよ」
そうして俺たちは集落だった場所にやってきた。
「遠くから見てもすごかったが、改めて近くから見てもとんでもないな・・・」
「これは本当に死体も残っていないかもしれんぞ・・・」
ラグネスとジラースが思わずといった感じでつぶやいた。
確かにクレーターのようなものがいくつかできていて、建物だったものが散らばっているが・・・
地形変わってるな・・・
雨でも降ったらちょっとした池ができそうだ。
「なんかすまん・・・」
「いや俺たちだけじゃこの規模になった集落は手に負えなかったし、結果的にナールさんも助け出せたんだから気にしないでくれ」
そういってもらえると楽になる。
「まずは瓦礫をどかして死体を探さないとな」
「そうだな、とりあえず探し終えたら一晩村に泊まってから王都まで帰ろうか」
そうして俺たちはオークの討伐証明部位を探しに集落跡地で探索を始めた。
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