表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/25

第18話 予期せぬ事態

更新遅れまして申し訳ございません


これから週に1,2回の更新になると思います・・・


村で休息をとり準備を整え、いよいよオークの集落に奇襲をかける時間になった。


本来この依頼ではオークの上位種は確認されておらず、俺と優花を含めた9人で十分討伐可能だろうということで出された依頼だったのだが・・・


「まずいことになった。今偵察に行ってもらったライが戻ってきたんだが、このオークの集落が短期間で急成長したらしい。オークメイジとオークジェネラルの2種がいたみたいなんだ」


ラグネスが偵察の結果を告げた。


「上位種の数は何体いたのですか?」

「確認できた限りジェネラルが2匹、メイジが3匹いたそうだ」

「それって私たちだけじゃ対処しきれないよ。1匹ずつなら私たちパーティーだけでもなんとかなるけど通常のオークもいるとなるとさすがにキツイと思う」


イルがラグネスが聞いた質問に対しての答えにマリーが感想を述べる。


「これだけ短時間でそこまで増えるなんて・・・」


シリアたちが苦い表情を浮かべている。

オークが増える、つまりは繁殖をしたということだ。

オークは多種族の雌をさらって繁殖する。

人間の女性が犠牲になっている可能性が高いのだ。

・・・同じ女性としては決して気分がいいものではないだろう。


「魔術で殲滅するのはできなそうなのか?」


俺がジラースに尋ねると


「難しいな。通常種を倒すために詠唱している合間に上位種のオークメイジがこちらを狙ってくるだろう。逆に上位種だけ狙っても通常種とはいえ集団で来られると私たちでは対処できない」


と答えた。

やはり上位種が問題らしい。


優花も全属性の魔術が使えるとはいえ、いまだに力に慣れていない部分もあり殲滅は難しいだろう。

今回の依頼で少し練習も兼ねて実践しようと思っていたからな。

優花を見ると同じ事を考えていたらしく悔しそうな表情をしていた。


「優花は悪くない、そんなに気にするな」

「でも私がちゃんと使いこなせていたら・・・」

「この件は言わばイレギュラーなんだから優花の責任じゃないぞ」

「分かってはいるんだけどね・・・」


それでもやはり力があっても何もできないのは悔しいのだろう。

優花は自分を責めているように見える。


「ユーカの責任じゃないよ、私も何もできないのがすごい悔しい・・・」


マリーが優花を慰めてくれている。


「今回の依頼は私たちの手に余ると思います。被害者だけでも助けたいですが・・・」


シリアがラグネスに尋ねる。


「それは俺も同意見だが、正直に言うとそれも難しいと思う。見つからないように助け出すのは不可能に近いだろう・・・」

「そうですか・・・ではできるだけ早くギルドに戻って事情を説明しなければ」


これ以上の犠牲者を出さないためにもと考えてであろうシリアの意見に苦い表情を浮かべるラグネス。


「・・・俺もそうしたいんだが」

「何か問題が?」

「ああ、ライが偵察をしている最中にちょうど女性が一人連れ去られるのを見たそうなんだ・・・」


ライも助けに行きたかったらしいのだが、敵の数が多く何も手を出すことができなかったらしい。


「今すぐ助けに行けば女性も無事かもしれないって言うのに何もできないなんて・・・畜生っ!!オークどもめ!!」


ライが声を荒立たせて怒っている。

見るとヴァームも拳を握りしめ憤っているようだった。


「悔しいけど俺たちには何もできない。俺たちにできるのは出来るだけ早くギルドにこの件を伝える事だけだ」


ラグネスが皆にそう告げる。


そこで優花が隣にいる俺に小声で話しかけてきた。


「ねえ龍也」

「どうした?」

「龍也ならその女性助けられる?」

「・・・何でもありなら助けられると思う」

「龍也がその力を他の人に見せるのが怖いって思ってるのは知ってるよ。本当は私がその人の事助けたいけれど、力が無いから・・・」


そういって優花は嗚咽を漏らし始めた。

泣き始めた優花を見て皆も辛そうな顔をしている。

悔しさのあまり泣き出したい気持ちが分かるのだろう。


その背中をさすりながら俺は答える。


「泣くなって。確かに俺の力は今まで散々怖がられてきたし、少しでも打ち解けた人たちに怖がられるのは辛いのも確かだ」


そこで俺は一度言葉を区切る。


「でもさ、この力で誰かを救えるなら怖がられたっていいと思うように優花のおかげでなれたんだ。それに俺の事怖がらないでくれる人たちがいるって分かってるしな、それで十分だよ」


そうして優花の頭を撫でながら俺は皆に告げた。


「悪いが先に行っててくれ。俺はちょっとその女性を助けだしてから行くから」


そう告げると驚きつつシリアとライが必死になって俺の事を止めた。


「そんな無茶です!相手は上位種も含めたオークの群れですよ!?」

「犬死するだけだ!一時の感情に任せて短絡的に行動するな!!タツヤにはユーカちゃんがいるだろ!?命を粗末にするなよ!」


ラグネスも真剣な顔でうなずき、ヴァーム、ジラースも俺のことを止めてくれている。

マリーとイルも優花を見ながら


「タツヤさんが力を持っているのは『深紅の魔斧』との戦いを見ていたから知ってるしたぶん私たちよりも強いってのは分かるよ!でも一人でなんて危険すぎるよ」

「そ、そうですよ!死んでしまったら意味が無いんですよ!」


そんな俺のことを心配してくれている人がいるという事実に少し嬉しくなりながら、この人たちに俺が怖がられるのはいいが一緒にいるという理由で優花が避けられないといいなと思った。


「ほらユーカもタツヤさんの事止めないと!」


マリーが優花に訴えている。

優花はそれに対して答えない。


変わりに俺が皆に告げる。


「大丈夫だ。皆は一応村の護衛をしていてくれ。撃ち漏らすつもりはないが逃げ出した奴がいたら頼むぞ」


四方八方に逃げ出されても追い付くとは思うが念のため頼んでおいた。


「だから!タツヤ一人でなんて無理に決まってるだろ!」


ライが叫ぶ。

それに対して俺は


「なにこれくらい問題ないぞ。じゃあ頼んだからな!」


最後に念を押してオークの集落へ向かって駆け出した。







~~優花side~~


ものすごい速度で走り去って行った龍也の背中を見つめながら思う。

私にもっと力があれば龍也1人に任せないで一緒に行くことができただろうし、浚われた女性を助けることもできただろう。


それでも龍也はちゃんと女性を助けだして戻ってきてくれるだろう。

心配していないと言えば嘘になるが、龍也が怪我をするところが想像できない。


私が誘拐された時に助けに来てくれた時、誘拐犯に銃で撃たれても「痛っ」とだけ言っただけで、痣にすらなっていなかったからね。


「アイツ、ホントに一人で行きやがった・・・」

「凄い速さですね・・・」


ライとシリアが呆気にとられている。


「それよりユーカ!!このままだとタツヤさんが死んじゃうよ!」


マリーが私を揺さぶりながら言う。

私は皆に向かって答えた。


「大丈夫、龍也はすごい強いから」


案外すぐ終わらせて帰ってきそうな気もする。


「ユーカは心配じゃないの!?」

「それは少しは心配だよ?でも私は信じてるから」


私の言葉にラグネスさんが答える。


「それでも俺たちは少し信じられない。とりあえずはギルドにスキルでこの件について知らせてから俺たちも追いかけよう」

「・・・分かった」

「ホントは勝手な行動をする奴は放っておくのが冒険者としては正しんだけどね。ユーカちゃんを安心させるためにもここは行くしかないか」

「いざとなったら私の風魔術でタツヤの体ぐらい浮かせて助け出せる。そうしたら全力で逃げればいいだろう」


ラグネスさん、ヴァームさん、ライさん、ジラースさんが呆れた雰囲気を出しながらもそんなことを言った。

ライさんも落ち着いたらしくいつもの口調に戻っている。


「私たちも助けに行きましょう」

「そうだね、ユーカが悲しまない為にも!!」

「こ、怖いけど頑張りましゅ!」


シリアさん、マリー、イルもそれに便乗した。

あっ、イルがまた噛んだ。


「みんな、ありがとう。でも本当に心配しなくても大丈夫だよ?」


みんなで行って、すでにオークが全滅しているなんてことになりそうな気がするよ・・・


そうして私たちは遅れてオークの集落へ向かうことになった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ