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第16話 見張りの夜に

更新遅れました。

申し訳ない

最近、かなり忙しいのです・・・

王都から出発し俺たちは今、夕飯を食べている。


メニューは優花が持ってきた食材で作ったスープに塩漬け肉である。

塩漬け肉に合わせるためあっさり目のスープを作ってくれた。


塩漬け肉をかじり、スープを飲む。


やはり優花の料理は美味い。

地球でも優花の料理は結構食べていたが飽きる気がしない。


ちなみに食材を入れてきたアイテムボックスのことは空間魔術ではなくスキルということで誤魔化した。

収納というスキルがアイテムボックスの効果と類似しているので皆は疑った様子もなかった。

類似といっても優花のように中にはいっている物の時間までは止められず、容量も人それぞれではあるが、優花ほど容量は多くない。


商人に持っている者が多いスキルではあるが、それでも多くの人間が持っている訳ではないレアなスキルなので冒険者の中でも重宝がられたり、羨望の的になるそうだ。



「このスープ美味しいね!ユーカさんがいてくれて助かったよ。私たちは全く料理できないからいっつも保存食なんだよね」


とパーティー『純白の光鳥』のマリーが言った。

シリアとイルも頷いている。

女性だからって料理ができるわけじゃないか。


「俺たちもかろうじてヴァームが少し料理ができるくらいでほとんど保存食なんだよな」


『蒼の大剣』のラグネスも同じようだ。

ヴァームが料理している姿を想像するとなかなかにシュールだ。


ライが「自分で作るより可愛い子に作って欲しい」だとかジラースが「魔術で焼くことならできるぞ」と言っているが聞かなかったことにした。


「しっかしタツヤが羨ましいね。こんな料理が上手くて可愛い彼女がいるなんて!この幸せ者!」


とライが突然背中を叩いてきた。

痛くはないが鬱陶しい。

酒も飲んでいないのに絡んでくるな。


「ほらタツヤさんが困ってますよ。でもお二人は本当に仲がいいですよね。少し羨ましいです」


とシリアが微笑みながら言った。


「ほんとにね~、ねえねえ二人はいつ出会ったの?」


とマリーが聞いてきた。


「「10年前だ(ね)」」


図らずも同時に答えることになった。


「息までぴったりですね・・・」


とイルが呟いた。

息が合うのは否定しない。

伊達に幼馴染はやっていないさ。

しかしこのままだといろいろ聞かれそうだな・・・


そこでラグネスが話をさえぎった。


「ほら話が弾むのはいいけど、そろそろ夜の見張りの順番を決めないとさ」


ナイス、ラグネス。

これで追及されずに済む。

根掘り葉掘り聞かれて今までのことを答えるのは恥ずかしいからな・・・


「え~、もっと聞きたいな」

「どうせなら見張りを決めてから聞けばいいと思うよ?見張りしている間の方が時間もあるしさ!」


ライが口を出した。

なんてことを言いやがる。

余計なこと言いやがって・・・

抗議の視線を送ると、その視線を受けニヤリと笑った。

コイツ・・・故意犯か。


「それもそうだね!でも3人ずつ交代で見張りをするんだよね?これだとユーカさんと一緒にならない可能性が・・・」


3人といったらシリアたちのパーティーがちょうど3人なので組みやすいだろう。

当然優花はメンバーに入らない。


するとイルがおずおずといった感じである提案をした。


「じゃ、じゃあ私たちパーティーとユーカさんの4人と、ラグネスさんのパーティーとタツヤさんの5人で組んで見張りをするのはどうですか?ラグネスさんが3人ずつって言ってたのにそれに反対するようでなんですけど・・・」

「ふむ、話を聞きたいからという理由だけじゃ方針は変えられないよ?」

「えーと、その、あの・・・」


イルが答えに詰まっていると、マリーが助け船を出した。


「ほら!女同士、男同士の方がお互い気を遣わなくてもいいし!」

「なるほど、確かにそれはそうだね。でもそっちの人数が少なくなってしまうけど?」

「それは男チームが少し多く見張るとかすれば大丈夫じゃない?」


そこまで言われてラグネスが考え込む。


ライネスお願いだ。

俺の精神の安定のためにもその案だけは止めてくれ・・・!

俺のいないところで女性陣に優花がどんなことを答えるかが怖すぎる。


そんな俺の願いも虚しく、


「よし、じゃあ方針を変えて見張りは男と女に別れよう。俺たちの方が1刻長く見張りをすることにしよう。先に女性から見張りをするのでいいかな?」


誰からも反対意見は出ない。

仕方ない・・・

優花も同じ女性相手の方が気を休められるってこともあるだろう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


そうして時間がたち俺たちの見張りの番がやってきた。

交代を知らせに来た優花の顔が真っ赤なのが印象的だった。

何を聞かれ、何を言ったんだ。



「さて、お楽しみの時間だね!さーて何から聞こうかな?」


ライが多少声を落としつつも質問してきた。

俺も半分あきらめている。

このまま適当に答えて終わらせたい。


「じゃあいきなりだけど、ユーカちゃんとはどこまで行った?」

「・・・どこまでってなんだよ」

「またまた、誤魔化しちゃって!」

「はあ・・・誤魔化すもなにも俺たち付き合ってないぞ」

「「「「えっ?」」」」


溜息を吐きつつ俺が真実を伝えるとあのヴァームまで驚いた声をだした。


「いやいや、嘘でしょ?あんなにユーカちゃんタツヤのこと好きって空気出してるのに?」

「・・・そんなの分からないだろ?」


ライがそんなことを言う。

本当は俺も気づいてはいる。


「しかしタツヤも満更でもないんだろ?」


とラグネスも驚きつつ聞いてきた。


「俺はアイツの事は好きだ。というより愛しているって言った方がいいかもな」

「ならどうして付き合ってないんだ?」


ジラースも不思議そうに聞いてきた。


「俺たちには目標があるんだ。それが達成するか、達成の目途が立つまでこの気持ちを伝えるつもりはない」


無事に2人で地球に帰る。

優花は地球に帰りたいはずだ。

優花のおじさんとおばさんも心配しているはず。


俺に関しては仲のいい奴なんていないし、やり残したことが無ければ地球に帰らない方がいいかもしれない。

俺のこの力は地球(むこう)でもエンテラ(こっち)でも異常だが、エンテラには魔法、スキルなどがある。

地球(むこう)よりは順応できるだろう。

非科学的な存在(木山 龍也)地球(むこう)にとって異端なのだ。

怯えられ、避けられて何も感じないわけではない。

優花がいなければ確実に生きる意味を見出すことはできなかっただろう。


俺の地球でやり残したこと。

それは優花の両親、おじさんとおばさんに優花とのお付き合いの報告、ひいては結婚までのお願いをしに行くことだ。


実の両親は俺のことを避けていたし、教師や他の大人たちは人を見る目で俺のことを見ていなかった。

そんな中で優花の両親は初めて俺に普通に接してくれた大人でもある。


俺の人生の中でもっとも多くの部分を占める優花とその両親。

そんな人たちにちゃんと報告もできないような状態で、気持ちを伝えることは躊躇われる。


「どんな目標があるか知らないし、その目標に対する覚悟も感じられるけどさ。ユーカちゃんの気持ちも考えてあげろよな?」

「優花の気持ち?」

「ユーカちゃん、タツヤからの言葉待ってると思うよ」


ライが俺の事を見ながら真剣な表情でそういった。


「まあ、どういう選択をするかはタツヤ次第だからね。後悔だけはしちゃいけねーぜ?」

「・・・考えておくよ」


優花の気持ちを考えろ、後悔するな、か・・・


そうして自然に質問は終わり、俺は思考の渦にはまり時間だけが過ぎていった。


気づいたら見張りも終わり朝になっていた。

今考えても答えは出ない。

このオークの討伐依頼が終わったら考えようと思い、俺は答えを出すことを先送りにした。

年間227位になりました!

連載から2週間でまさか乗るとは思ってもいませんでした。

ありがとうございます!


誤字脱字多いかもしれませんが気長に読んでいただければ嬉しいです。

ご指摘、感想はすべて返せませんがお待ちしております。


次回前半に女性陣の見張りでの会話挟んでいきます。

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