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09.「この三人でPTを組もう」

『ババッ!』と、いや『ザザッ!』とかな?


とにかくVRゲーム“∞”の説明回です。

 

 

 

「うん、私はちゃんと登録出来てたよ。セイちゃんも大丈夫だった?」



 シャロンも無事フレンド登録が完了し、セイさんもシャロンの問いかけに『はい』と短く答える。

 やっぱりクールというか、大人びてるな。



「じゃあ今度はこの三人でPTを組もう」



 シャロンがステータスを操作する仕草を見せると、防具が送られてきたときに聞いたポーンという音が聞こえた。



《プレイヤー“シャロン”よりPTへのお誘いが届きました。受けますか? Yes/No》



 どうやら俺の事をPTに誘うための操作だったようだ。



「いいのか? せっかく友達といるのに俺なんかとPT組んじゃって?」



 さっきの男性達のこともあり俺は二人にお伺いを立てた。

 俺としては別にPT云々はどうでも良い。

 とりあえず“∞”について教えて貰えればな。



「約束してたでしょ、ゲームについて色々教えてあげるって。それにセイちゃんにも聞いて、ちゃんと良いよって言われてるから何の問題もないよ」



 やっぱりセイさんとはもうPT組んでたか。

 俺はシャロンから目を離しセイさんの方を見る。

 


「はい、私もお兄さんのPT参加に異論ありません。シャロンから事前に良い人だと聞いていましたし、……実の兄妹だとは聞いていませんでしたが」



 そこでいったんセイさんはシャロンの方をジト目で見る。

 シャロンはすかさず顔を背け、鳴ってもいない口笛を吹いていた。



「まったくもう。……それに先程の一件で直に人柄を見ることも出来ましたから。なおさら反対する理由はなくなりました」


 

 シャロンの態度に嘆息するセイさん。

 ――それにしてもそんなに評価して貰えるとは予想外だ。



「あー、その。ありがとう?」


 

 何だかちょっと照れてしまうな。

 俺としては当然のことをしたまでなんだけど。



「――じゃあ! 俺はゲーム初心者だから迷惑掛けるかもしれないけど、二人ともよろしく!」


 

 恥ずかしい気持ちを吹き飛ばすように、ちょっと声を張り上げ二人に挨拶する。

 俺は二人の『まかせて!』 『こちらこそよろしくお願いします』という返事を聞きつつウィンドウのYesをタッチした。



 ポーン。



《PTに参加しました。 メンバー:【シャロン】 【セイ】 【イオ】》



 こうして俺は初めてのPTに参加したのだった。



「じゃあさっそく街の外に行こう! モンスターと戦うよ!」



 シャロンは一人で『オー!』と拳を天へと伸ばして張り切る。

 テンションいきなり上がったな。



「おいおい、俺は初心者だって知ってるだろ。まずは色々ゲームについて教えてくれよ」



 俺はちょっと困惑しつつもまずはシャロンに冷静になってもらおうと、どーどーどーと馬を宥めるようにした。


 

「えー。モンスターとの戦いなんて用は慣れだよ! 慣ーれ!」



 そんな熱血バトル漫画じゃあるまいし。

 それに戦い方以外にも“∞”についての常識的な知識を教えてもらわないと。



「私も初心者だから、戦闘以外にもこのゲームの世界のことか常識的なことも教えて貰える?」

 


 おお、セイさんが俺の気持ちを代弁してくれた。

 というかセイさんも初心者だったのか。

 何だか貫禄があって全然初心者っぽくないぞ。



「うーん、そうだね。じゃあとりあえず歩きながら教えるよ。東広場から街の外に出ると草原があってね、そこが初心者向けのフィールドでちょうど良いモンスターとかが出るから」 



 シャロンが先導して俺達三人は歩き出した。



「じゃあまずこの“∞”の世界についてからね」



 歩きながらも丁寧な説明が始まった。



・このゲームにはメインストーリーやグランドクエストといった物がなく、“∞”というファンタジー世界を楽しむのが目的。


・NPCが一定数以上住んでいる街などの各中立エリアには『○○○(街の名前)クエスト発行所』通称『冒険者ギルド』があり、そこで好きなクエストを選んで受注することが出来る。


・だが街や村の中には『冒険者ギルド』がない場合もあるが、NPCから直接クエストを受けられる場合があるので、NPCとはなるべくコミュニケーションを取っておいたほうがいい。


・“∞”の世界の一日は現実世界の一時間半に相当する。


・今はまだフォートの街周辺しか存在しないが、今後アップデ―トによって世界が広がっていく。


・プレイヤーは全員が《ヒューマン》という種族だが、それ以外の種族、例えばエルフやビーストなどといった種族が存在する。



「ここまでがこの"∞"の世界観とか設定って感じかな」



 続けてシャロンはゲームのシステム面について話し始める。



・ログアウトは中立エリアで就寝するという形でしか行えなく、ログインするとそのログアウトした地点から開始となる。


・アバターがゲーム内で死亡扱いになった場合、最後に立ち寄った中立エリアの広場(大樹の下)で再出現する。


・ゲーム内でもプレイヤーの各感覚は存在するが、痛覚に関しては軽減されている(まったく痛みを感じないわけではない)。


・PTは最大六人まで組むことが出来きる。


・プレイヤーは所定の手続きと必要な物を揃えることで『ギルド』を作ることが出来る。


・ステータス表示やコールなどの機能は声に出さずとも頭の中で思い浮かべるだけで行うことが出来るが、各種スキルに関しては声に出す必要がある。


プレイヤー()キル()行為は一切出来ないが、モンスター()プレイヤー()キル()は出来るため、加害者、被害者、どちらにもならないためトレイン――簡単に言うと沢山のモンスターに一変に狙われた状態のまま移動しモンスターの行列を作ること――には注意が必要。


対人戦(PvP)は両者の合意が必要で、死亡扱いになってもその場で再出現する。



「へぇー、PvPって対人戦のことだったのか」



 さっきの……えっと、もう名前忘れちゃったけど絡んで来た人はこれをやろうとしてたのか。



「続けて良い?」



 話の腰を折ってしまったので謝りつつシャロンに先を促した。 



・プレイヤーは一般的なRPGのようにレベルを上げて強くなるのではなく、習得したスキルの上達度(熟練度)を上げることで強さを強化していく。


・スキルは使用し続けることで強くなっていき、威力、効果などがより強いスキルへと変化する。


・武器には『耐久値』という物があり、定期的にメンテナンスをしないと最悪壊れてなくなってしまうことになる。


・生産スキルは道具と環境さえ揃っていれば何処でも行えるが、利用料さえ支払えばNPCが運営する生産施設をレンタルして使うことも出来る。


・マナーの悪いプレイヤーはゲーム()マスター()の権限により制限を受ける場合がある。



 GMっていうのは確か二人が口にしてたな。

 つまりGMコールはゲームマスター(ゲームの管理者)に連絡するってことになるらしい。



「とりあえず一通りばーっと一気に教えてみたけど、わらないことがあったら聞いてくれればいいからね」



 シャロンのフォローに俺とセイさんは、その時はよろしく頼むと揃ってお願いしておいた。

『聞くは一瞬の恥、聞かぬは一生の恥』ってことわざもあることだし、わからないことがあったら聞くか調べるか必ずしようと心に決めた俺だった。



「さて! あそこに見えますのが東広場から外に出るための門でございまーす。二人とも、準備はいい?」



 そして俺達はフォートの外に出るための門へと辿り着いた。

 フォートの街は石材で出来た高さ二メートル程の壁で囲まれていて、出入り口の門はそこだけ木材で作られており物見台もあった。

 門の脇と物見台の上には鎖帷子を着た兵士と思われるNPCの男性が数名立っていて、フォートに出入りする人々を見守っている。



「さあ行こっか!」



 シャロンは『レッツゴー』と楽しそうに門を潜って先に行ってしまう。

 それを見たNPCの男性達はシャロンのことを見るが、別に止められることもなくシャロンは無事街の外へと出て行った。



「私たちも行きましょうか」 



 俺とセイさんもシャロンに続く。

 門を潜る際に兵士の男性に軽く会釈したら『気を付けろよ』と声を掛けてくれたので、俺とセイは『どうも』『ありがとうございます』とそれぞれ返事をして街の外へと足を踏み出した。

 そして先に行ってしまったシャロンに追いつくべく後を追った。




お読み頂きありがとうございます。

感想、評価、お気に入り登録、誤字脱字報告などお待ちしております^^


主人公PTはフォートの街から外に出ました。

次話から舞台はモンスターが闊歩するフィールドになり、もちろん戦闘もあります。


※加筆3/9


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