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05.「まいど!」

この作品のサブタイトルは、本編内で書かれている台詞から抜粋しています。


読んでいる中でどの場面でどのキャラが言った台詞か探してみるのも面白いかもしれませんね。


※前書きを書き直しました3/7

 

 

 

 俺がログインした南広場から春香のいる北広場に行くには、中央広場を横切って真っ直ぐ北上するのが最短ルートだ。

 なので俺はまず中央広場を目指すことにする。



「いらっしゃいいらっしゃい! 新鮮な野菜が揃ってるよー!」



 通りを歩くとまず客を呼び込む八百…屋?の男性の呼び込みの声が聞こえてきた。

 野菜が揃ってるって言ってるけど、極彩色な物ばかりで一見して野菜とは思えないぞ。



「どうも、毎度っ。ありがとね」


「――でね、結局うちの人ったら」


「まぁ、本当に?」


「あらあら。うふふ」



 他にも店先で接客している女性や、通りの端で談笑している買い物中の主婦みたいな人達もいる。



「――このNPC達の出来は凄いな。ぱっと見、人と見分けが全然つかねぇぞ」



 俺の進行方向から歩いてきてすれ違ったプレイヤーが、そう独り言を呟きながら人混みに消えていく。



 すれ違ったプレイヤーが言ったように、今俺が観察した人達は人間ではない。

 一見すると普通の人達に見える彼ら彼女らは皆“∞”の住民、【ノン()プレイヤー()キャラクター()】なのだ。

 要するに、プレイヤーではないアバターとでも言えばいいだろうか。



 彼らはただのプログラムではなく、アバターメイクで会ったヘルプさんのようにAIが組み込まれていて、見た目と言動共に人と何ら変わりない。

 喜怒哀楽があり勿論会話をしコミュニケーションを取ることも出来る。



 ちなみに俺のようなプレイヤーが中に入っているのはNPCからNが抜け【|プレイヤー《P|》キャラクター《C》】という。



「お、そこのあんちゃん。ちょっと見てかないかい?」



 そんな時、露店を営むNPCのおじさんと目が合った。

 そして自分が出している露天へと手招きして来たので何となく露天へと立ち寄る。



「うちはポーションを扱ってるんだ。ちゃんと職人が作った物だから効果は保証するよ」



 頭頂部がやや寂しくなってきている店主は笑顔(←おそらく営業スマイル)を浮かべて話しかけてくる。



「ポーションってどんな物があるんですか?」



 見たところ四種類、赤、青、黄、緑色の液体が入った試験管状の細長い瓶が露天には並んでいた。



「ん? 何だ。コイツのこと知らないのか?」



 店主が試験管を摘み上げて見せてくるのに対して、俺は苦笑いを浮かべて『はい』と答える。

 すると店主は『じゃあ教えてやるよ』とそれぞれ説明してくれた。



【ライフポーション】(赤色)

 体力を回復する。

 回復率10%。

 値段100L



【マナポーション】(青色)

 魔力を回復する。

 回復率5%。

 値段120L



【解麻痺ポーション】(黄色)

 スタン状態を解除する。

 値段200L



【解毒ポーション】(緑色)

 毒状態を解除する。

 値段200L



 ちなみに、“∞”の世界でのお金の単位はLと書いて『ロン』と読む。

 水量を示す『リットル』ではない。



 店主に説明してもらっておいて何だが、実は途中からポーションについての情報は視界にウィンドウが出てきたので必要はなかった。

 どうやら『これは何だろう?』と考えながらある程度注視しすることでウィンドウが出てくる仕様になっているみたいだな。



「まあ、今教えた通りこの四種類が基本的なポーションだな。他にもいろいろあるが生憎うちでは扱ってないんだなこれが。あとポーションってのはこういった液体状のアイテムのことだ。他にも同じ効果だが【○○丸薬】とかもあるぞ。まあそれもうちは扱ってないんだがな」



 もう知っているからと言って途中でもういいなどは言わず最後まで説明を聞いた。

 店主は頭をガリガリと掻く。

 もしかしたらその癖のせいで頭が寂しいことになってるんじゃないのか?



「えっと、じゃあ何個か買っていこうかな」



 俺は所持金を確認するためステータスを表示した。

 そして所持金の欄を見てみると、そこには2000Lと書かれていた。



「ん~……じゃあライフポーションとマナポーションを五本ずつ。あと解麻痺と解毒を二本ずつ下さい」



 全部合わせて1900Lだ。

 お金を払おうとしたら手の中に突然何かの感触が現れたので見てみると、一枚の硬貨が手の中にあった。

 硬貨は銀で出来ているのかそんな色をしていて、大きさは五百円玉と同じかそれより少し大きいくらいあり、片面に『1900』と書かれていてもう一方の面にはこのゲームのタイトルにある『∞』が書かれていた。

 


 なるほど、考えただけの額が硬貨一枚として出てきて支払う事が出来るのか。

 小切手みたいなもんなのかな。

 俺はその硬貨を店主に手渡した。



「まいど!」



 店主が代金を受け取ると現れたときのように硬貨が突然消えてしまった。

 当の店主は気にすることもなくライフポーションを五本まとめて俺に手渡す。

 


 えっとどうしたらいいんだろう?



「おおっ」



 どこに仕舞うかと考えていたら、手からシュンと言わんばかりに一瞬にしてどこかに消えてしまった。

 おもわず声を上げた俺を店主が『いきなりなんだ』という目で見ているが今は気にせず、ステータスから所持品の欄を見てみることにする。

 俺の考えが合ってるなら―――やっぱりあった。

 所持品の中に【ライフポーション×5】と保管されていた。



「あ、すみません。大丈夫です」



 俺は店主にそう言って改めて商品を受け取っていく。

 全ての商品を受け取って所持品を確認し、間違いなく揃っていることを確認した。



「じゃあなあんちゃんっ、また来てくれよ」



 俺は小さく頭を下げて露天を離れる。

 背後では再び店主の呼び込みの声が聞こえてきた。



「さて、道草喰っちゃったしちょっと急ぐか」



 俺は改めて中央広場を目指す。

 駆け足とまでは行かないが、小走りで人混みを進んでいった。




以前『作品は0時に投稿する』と書きましたが、とある検証のため12時に投稿してみました。

あと数話分は12時と0時の二回投稿したいと考えております。


誤字脱字報告、感想、評価を頂けたら作者はうれしいです^^

それではまた次話にて。

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