表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/73

18.『じゃあいってきまーす』

【重要】

予約投稿時(16:49)確認したところ、お気に入り登録者数が100を越えていました!

ありがとうございます♪


……減らないと良いな(ガクブル)

 

 

 

 ―――。

 ――――――。

 ―――――――――。



 カチャカチャ、コトン――。



「ごちそーさま」



 春香に続くこと十数分後、ベーコンエッグトーストとサラダを片付けた俺は、最後に牛乳を飲み干してカップをテーブルに置いた。

 その後食べ終わった食器を重ねてキッチンの流しへと持っていく。

 


 流しには先に食器を持ってきた春香が用意した、水を張った小さなタライが置かれてあるので、それに(なら)い俺も食器を水につけ置きしておいた。

 洗い物は時間を見て後ですることになっている。



「テレビでも見るか……」



 次に俺はソファに座ってテレビの電源を入れた。

 何かするにしてもまだ〇七:四五と早い時間なのですることがない。

 チャンネルを操作して、朝の番組でよく見ているニュース番組『モーニー!』のチャンネルに合わせる。



『――いやー、まさかマンホールの蓋があんな事になるとは以外でしたね。どうせならラッコが貝を割る時に使う、あの石が欲しいところです』



 チャンネルを合わせた時、ちょうどモーニー!メインアナウンサー二人の内、その一人である男性『赤間(あかま)アナ』が何かのコメントを言っていた。

 真面目な表情と声色で話していた赤間アナだったが………いったい何について話していたのだろうか?

 俺が聞いたコメントからだけではまったく一ミリも想像出来ない……。



『では次に全国の天気予報です。今日はスタジオのあるビルの屋上からお送り致します。屋上の『三階堂(みかいどう)』さーん?』


『はーい! こちら屋上の三階堂でーす。今日はここからお天気を皆さんにお伝えしたいと思いまーす』



 画面が切り替わりこの番組のメインアナウンサー兼、お天気お姉さんこと三階堂アナが画面に登場する。

 彼女はアナウンサー、気象予報士の他にもモーニー!の占いコーナーも担当している何ともオールラウンダーな人だ。

 その人気は高く、モーニー!の顔と言っても過言ではないだろう。



 余談だがこの番組名の『モーニー!』とは、彼女が番組内で言った言葉が由来となり、途中から番組名が変更になったという話がある。

 ある日の番組内で、三階堂アナは“Good morning!(グッドモーニング!)”と言ったつもりだったのだが、放送事故?で彼女にカメラが切り替わるのが遅れて台詞が“Morning!(モーニング!)”しか聞こえなかったことがあった。

 さらにその発音が良すぎたのか“モーニー”とテレビ越しには聞こえた。

 それが何故か妙に視聴者に受けて、番組の名前が途中から『モーニー!』へと変わることとなったという経緯だ。



『今日はほとんどの地域でくもり。ですが関東、近畿地方では現在の所はそれ程雲も出ていませんが、天気が崩れやすく雨が降りそうです。お出掛けの際は雨が降っていなくても、傘を持っていくと安心出来るかと思います』



 俺は窓の外を見てみる。

 確かに晴れてはいないが暗くなるほどの曇りでもない、一言で言えば微妙な天気だった。



 トットットットッ!



 引き続きテレビから聞こえてくる三階堂アナの声を聞きながら、窓の外を見続けていたら廊下から足音が聞こえてくるのに気が付いた。

 おそらく春香の登校準備が出来たのだろう。

 足音は玄関の方へと進んでいくようだ。



「おーい春香。何か雨降るかもしれないって天気予報で言ってるぞー。いちおう傘持っていったらー?」



 ソファに座ったまま少し大きめの声で春香に話しかける。



『じゃあいってきまーす』



 ガチャ……ガチャン。



 だがタイミングが悪かったみたいで、俺の声が届いていなかったようだ。

 春香は返事をすることもなく玄関の扉を開き、そのまま閉じる音が小さく聞こえてきた。



 俺はソファから立って玄関を覗いてみる。

 玄関脇に置かれている傘立てには数本の傘が刺さったままで、その中の一本に春香が使っている取っ手にキーホルダーが付けられた半透明の白いビニール傘があった。



「あー」



 やっぱりかと思いつつその傘を取って玄関の扉を開け、まだ近くに春香の姿がないか探してみるが、案の定その姿を見つけることは出来なかった。



「しかたがない……」



 俺はPIT(Personal(パーソナル) Informationインフォメーション Terminal(ターミナル))を取りに自室へ向かった。

 キーボードの横にあった充電台からPITを手に取り、春香のPITにメールを送った。



『To:春香


 件名:なし


 本文:今日は雨が降るかもしれないらしい。

 もし帰りに雨が降ってたら車で迎えに行くから連絡くれ。』



「【送信】っと」



 書き終えたメールの内容を見直して、間違いがなかったのを確認し、画面に表示されている紙飛行機のマークをタッチする。

 画面には《送信中》と出て背景では白い紙が折られて紙飛行機になり、飛んでいくアニメーションが流れていた。

 数秒後には《送信中》から《送信完了》に表示が変わり、俺はメール画面を閉じた。



「さてと、車使うかもしれないし用意しとくか。最近ご無沙汰だったからなー」



 俺はちょっとウキウキしたまま車を駐めているガレージへと向かう。

 何故かというと、車は俺の数少ない趣味の一つだからだ。

 目的地あるなしに関わらずドライブに行ったり、洗車してボディをピカピカにしたりするのが楽しくて仕方がない。

 

 最近は何かと予定があって構ってやれていなかったので、今日は心ゆくまで趣味に没頭したい。

 俺は一度玄関から外に出て、家の隣に併設されているガレージのスイッチを押しシャッターを上げた。


 

 ウィン、ウィン、ウィン、ウィン―――。



 シャッターが最後まで上がると、中にはガンメタグレーの乗用車が一台あった。

 もう一台分駐車スペースがあるが、このスペースには元々父さんの車があった場所で、今は出張先の足として使われているためここにはない。



 俺の車はちょっと古いスポーツタイプだが、有名国産メーカーが作ったスポーツカーシリーズということもあり、今なお人気のある車だ。

 一時期は外国の歴史あるサーキットで最速記録も持っていて、その前に記録を持っていた車メーカーが塗り替えられた記録を聞いて、嘘の記録ではないかと疑ったという話も残っている。

 まぁ俺はサーキットで走ったりとかはしないので、この車の性能の半分も発揮させたことはないのであまり関係ないが。



 ちなみに現代の車は電気、ハイブリットが主流(事実父さんの車は電気自動車)なのだが、俺のこの車は古いのでガソリン使用車である。

 今の時代ガソリン使用車は維持費やら何やらでけっこうなお金が掛かるが、他にお金の掛かる趣味もなく、今の俺の仕事で得られる収入で賄えているので、家族も特に文句を言うことがないのはありがたいことだ。

 父さんなんかどちらかと言えば理解があって協力してくれるくらいだしな。



「まずは磨くか。あとコーティング剤も塗っとこう」



 俺はガレージの奥に置いてあるツールボックスから必要な道具を取り出し、準備をしながら今日の予定を考えいた。





 ******





 ム゛ー、ム゛ー、ム゛ー。



「んー? メール?」



 私が学校に登校する時いつも通ってる道を歩いていると、制服のスカートのポケットに入れておいたPITが震えた。

 学校に行くためマナーモードにしていたので、着信音はしなかった。



「誰だろう――あ、お兄ちゃんからだ」



 私は《受信一件》をタッチしてメールを開いた。



『From:お兄ちゃん


 件名:


 今日は雨が降るかもしれないらしい。

 もし帰りに雨が降ってたら車で迎えに行くから連絡くれ。』



「あちゃー、やっちゃったかも」



 相変わらず素っ気ないメールを読んで空を見上げてみる。

 確かに雲は出ていた。

 ただ雨が本当に降るかどうかは私にはわからなかった。



「ま、いっか。雨降ったら迎えに来てもらえるみたいだし」



 気楽にそう考えてお兄ちゃんにメールの返信を打った。



『To:お兄ちゃん

 

 件名:その時はよろしく!

 

 本文:本当に!?

 やったっありがとう♪

 じゃあもし帰りに雨が降ってたら遠慮無く呼んじゃうらね!

 あ、別に雨が降って無くても、お兄ちゃんが自主的に迎えに来てくれたって良いんだよ?』



「送信っ」



 私はメールの返事を打ち終わって送信した。

 そのあとお兄ちゃんから帰ってきたメールには、短く『考えとく』と一言書いてあっただけだった。

 お兄ちゃんが一言で返信してきた時は、メールを切る合図なので私はメールを閉じた。

 



 気が付くともう学校が目の前だ。

 私の家から通っている高校――咲良(さくら)高等学校までは徒歩で四十分掛からないくらいの距離で、自転車通学の許可が出る距離に僅かに達していなくて徒歩で通っている。



「春香ー、おはよー」



 校門を潜り抜けて昇降口へと向かう途中、後ろから声を掛けられたので振り返ってみると、一年生の時クラスメイトだった女子が軽く手を振りながら歩いていた。



「あ、おはよー。そっちも準備?」



 今日この場に制服を着てやって来ていると言うことは、つまり入学式の準備にかり出されたということだろう。



「そうそう。あたしの入ってる部活の部員は、先生に言われて助っ人で呼ばれてるの」



 彼女は溜息を吐いて大げさに肩を落とす仕草をした。



「大変だねー」



 私が軽く返すと『心がこもってないぞー』とツッコミを入れられ、二人で軽くじゃれつきながら集合場所である教室へと向かった。




お読み頂きありがとうございます^^


この一連の話は長くなってしまったので、二つに別けて投稿することにしました。

あと一話、遅くとも二話でゲームパートへと戻ります。


作中登場した車は実車モデルがあります。

わかる人はわかるかも?


高校の名前を考えるのに三十分も掛かったのは予想外でした……。

名前を考えるのはやっぱり難しい><。


次話もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ