秘密のある私
人には誰でも秘密がある。
他人の秘密は知りたくもないし、知ろうとも思わない。
もちろん、私にも秘密はある。
私の特技はパソコンのブラインドタッチ。かといって、パソコン操作が得意はわけではない。せいぜい、インターネットが出来るぐらいだ。この特技のおかげで救われたこと……
仕事の書類作成はとにかく得意。
早い、早い。
だって、ほかの人とタイピングの技術が違いますから。ミスタッチが多いことは、反省してます。
話は脱線したけれど、パソコン操作が苦手な私がなぜタイピングが得意なのかって??
それは、私の趣味に所以する。
幼い頃、私は小説家になりたかった。本が好きで、空想の世界が好きだった。だから、私は小説家になりたかった。
それでも、明治時代かと思うような古風な我が家では、そんな夢物語は通用しない。大学も文学部に行くと言えば、文学部に行って将来何をするのか、と責められた。
看護師になったことを後悔していない。看護師という職業は天職であると思うし、この仕事にプライドも持っている。
病院では様々な感情が渦巻く。
喜び。
悲しみ。
嘆き。
怒り。
その中で、笑顔を探し出すのが私の喜びなのだ。患者様の些細な笑顔がうれしいのだ。その笑顔の一つのきっかけになれるのなら、私が頑張る意味はある。
私の秘密?
それは小説家になりたいこと。
なぜ秘密かって?
そんなの、小説家になりたいなんて言えば、小中学生では「いじめ」の対象になってしまう。だから秘密にして、表面では快活で明るい女の子を演ずるのだ。運動も得意で社交的でな女の子を演ずるのだ。身を守るために、本当の私を秘密にするのだ。
大学時代、ふと、この秘密を口にしたことがある。それは、とても信頼していた友達だ。
「恵美子、あんまり人に言わない方がいいよ」
それが、友達が私にくれた言葉。
思いやりのある言葉。
この秘密を受け入れてくれるのは、姉と妹ぐらい。
私は一人、パソコンに向かって、小説を書く。
もちろん、だれかと共有したい。
考えた小説の話を聞いてほしい。
アドバイスが欲しい。
それでも私は秘密を抱える。
きっと、この秘密を受け入れてくれた人を、心から愛するのだろうな、なんて、思いを持ちながら。
これが、秘密のある私。