楽しい私
飲み会は大変盛り上がった。もちろん、家庭のある人が多いから深酒はしない。それでも、大変盛り上がったのは、妙な結束力があるからかもしれない。
飲み会は嫌いじゃない。
そこに酒があるから。
でも、ここに仲間がいると思うと、さらに楽しかった。
飲み会を終えて、私は家路に向かった。駅までは菊野と一緒だった。陽気な菊野は、ラーメンを食べようと私に言い、私は菊野と一緒にラーメンを食べに寄った。
明日も仕事。それでも楽しい。
でも同時に寂しくもなる。
TQMが終われば、私が菊野と話すことはなくなる。もちろん、菊野は病棟にいることが多いから、私は彼と顔を合わせるだろう。仕事に対して熱心な彼は、病棟での患者様の様子を私たちに聞いてくるだろう。けれども、それだけの関係。それだけの関係でしかなくなるのだ。
菊野と一緒に飲みに行った。
プレゼントを買いに外出した。
食堂で資料を作った。
そして飲みに行った。
私は菊野と出会えて、楽しかったのだ。こんな、どうしようもない私を受け入れてくれたような気がしたのだ。
初めて、小説家になりたかったことを話した。いつか、彼になら言えるだろう。今も小説を書いていることを。だが、その関係が消えてしまう。
それで良いのか、と思う自分もいる。
菊野は優しい。
仕事も安定している。
今も、私と一緒にラーメンを食べながら、実際は交際している人がいるかもしれない。
それでも……
それでも……
答えは分からない。答えはみえない。
「好きです」
ふと、その言葉が口に出てきた。
「先こされたな」
菊野は照れて、ラーメンを頬張った。
楽しい私。
次話にて、予定通り最終話となります。




