18/20
素直な私
TQMが終わって、私の肩の荷は一気に下りた。素直に嬉しい。それだけだ。
「お疲れ」
菊野が私に言った。それは、こちらの台詞だった。
「お疲れ様、リーダー」
なんだかんだで、彼がチームをまとめていたのだ。
「なんだかんだで、吉浦さんが頑張ってくれたでしょ」
本当だ。本当に大変だった。
けれども、大変だったなんて言えない。そう思っていたのに、簡単に言葉が出てくるのだ。
「本当、大変だった」
気を使わない。
相手の反応を見なくていい。
「吉浦さん、気遣いしすぎだからね」
そして、前川さんが言った。
「皆で飲みに行こうよ」
私は前川さんに続いた。
「今度は、全員で行きましょう」
なんて、言葉が自然と出る。不思議だった。私の背を、菊野が押してくれたからかもしれない。私の頑張りを認めてくれたから。私に優しさをくれたから。私の欲しい言葉をくれたから。私のコンプレックスも秘密も受け入れてくれたから。
「じゃあ、いつにします?今日行きましょか?」
菊野が言った。家庭がある人も、新婚の旧姓笠木さんも、皆が同意した。私たちは一年行動した。その内容はあまり触れていないけれども、私たちは一年頑張った。
素直な私がここにいた。
これが、素直な私。




