17/20
口が立つ私
TQMの発表は、私がすることとなった。菊野がすれば良いのに、彼はさっと身を引いてしまったのだ。
「こういうのは、女の子がした方がいいっしょ」
なんて、わけの分からない理由をつけてしまったのだ。
だから私は会議室でマイクを握っている。
苦心して作ったパワーポイント。
必死に練習した読み原稿。
仲間が後ろで見守っている。
正直に言えば、TQMは何でもアリだ。踊っても、音楽をかけても、歌っても、当院では許される。注目を浴びて、いかに成果を伝えるか。それが第一。
一般企業では、このような決死のプレゼンテーションをしばしばしているのかと、病院しか知らない私は驚くほど大変だった。
だが、幸いなことに私は口が立つ。
緊張?
なんですか、それ。
その気になれば、なんでもできるでしょ。
だって私、昔から人前に立つの得意ですから。
私は熱弁した。質問がこようと、的確な返答をする。それは、菊野が調べてくれた資料の内容だ。ありがたい。
何をしゃべっているのか分からなかった。それでも、最後は拍手をもらい、仲間から喜ばれた。
「吉浦さんなら、やってくれると思っていたよ」
仲間たちが言ってくれた。それが嬉しい。頑張った意味があった。
そして、私たちTQM認知症チームは確かな成果を残した。
これが、口が立つ私。




