結婚できない私
完全なるストレス発散話です。
私の名前は「吉浦恵美子」という。
時代劇風にいうならば、性は「吉浦」名は「恵美子」という。
年齢は二十七才。
仕事に明け暮れる毎日。
父は「吉浦富雄」五十五歳。母は「吉浦百合子」五十四歳。
私には姉と妹がいる。姉の名前は「佐々木芽衣子」という。そして妹の名は「安達佐和子」という。
姉の佐々木芽衣子は二十九歳。四年前に結婚した。
妹の安達佐和子は二十四歳。去年結婚した。
簡単に言えば、働く負け犬女だ。
二十七歳。まだまだ若い?
そんな気休めもう結構。
古風な考えの我が家にとって、結婚しない、出来ないということは致命的。それが、三姉妹であるならば尚のこと。父は姉が生まれて初めての子供で喜んだ。私が生まれてがっかりした。妹が生まれて諦めた。明治時代じゃあるまいし、と思うけれど、三姉妹で跡取りがいないということに父は落ち込み、母は親戚から責められた。だから、両親は常々私たちに言った。婿をもらいなさい。
姉が結婚して、婿取りは私の使命になった。両親が姉を責めなかったのには理由がある。義兄の「佐々木大輔」は、弁護士なのだ。
去年、妹が結婚した。義弟の「安達健吾」の仕事は医師だった。
「なんで、病院に勤めているのに結婚できないのかね」
母の溜息が繰り返される。
私の名は「吉浦恵美子」という。病床数六百を超える大病院に勤める看護師の私は、日々仕事に明け暮れるしかない。
実家にはしばらく帰っていない。だって、実家に私の居場所がなければ、両親の溜息ばかり聞かされるのだから。
近所の友人は皆結婚し、親戚、ご近所様一同の冷たい視線が私に注がれる。平和な田園風景も、私にとっては地獄絵図でしかない。
これが結婚できない私。
全20話で完結しますす。