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8.再会 その4
尾藤慎也とリコ。二人は買い物と食事を終えて、店に戻った。
「今日はいろいろありがとうございます、シンちゃん」
リコに「シンちゃん」などと言われ、慎也は戸惑った。
「いきなり『シンちゃん』?」
「別にいいよなー『シンちゃん』!」
コンが脇から二人に首を挟んだ。
どう対処しようか戸惑う慎也の様子に、コンとリコはニヤニヤクスクス笑った。
「じゃあ、お邪魔しました」
「ハイハイ、また来てね。ありがとうございました」リコに明るく答えたのは、コンだった。
「はー、何かどっと疲れた」慎也はリコが行った後ふーっとレジカウンターもたれかかった。
「あれ?」コンはレジの上に財布があるのに気が付いた。
「これ、彼女のじゃねえ?お前届けに行って来いよ。バイク飛ばせばまだ間に合うべ?」
慎也は若干うんざり顔でリコの財布を受け取った。
バイクに向かう途中、何気に免許証が慎也の目に入った。
周囲を誰も見ていないのを確認すると、そっと免許証をのぞき見た。
「本城莉子」
慎也の目に彼女の名前が飛び込んで来た。
「ほんじょう りこ…」
慎也は小声でリコの名前を呟いた。