85.苦悩 その3
週明けの月曜日。
今日は出勤のリコは、慎也よりも一足早く起きて、朝食の支度を始めた。
昨夜慎也に抱かれた跡をなるべく消し去ろうと、髪と身なりをきちんと整えた。
トーストにハムエッグ、シーザーサラダ、ヨーグルトと簡単ながらもバランスの取れた朝食メニューを2人分作って行く。
慎也は朝コーヒーは欠かせないので、コーヒーも必ず用意する。
コーヒーの香りに誘われたのか、ようやく慎也が起きてきた。
「おはよう。まだ寝てても良かったのに」
そう言って振り返ったリコは、慎也の姿にキャッと軽い悲鳴を上げた。
寝起きで少し寝癖のついた髪の毛は良いとして、上半身は夕べのまま、つまり裸にスウェットのズボンという姿。
半分眠気眼で目をこすりながらも、引き締まった上半身はかなり刺激的だった。
「ふ、服着てよ!」
リコは思わず悲鳴に近い叫び声を上げてしまった。
「何だよ?別に初めてじゃねえだろ?」
慎也は全く悪びれる気はなく、少し気だるそうに答えた。
せっかく気持ちを切り替えて仕事に備えようとしていたリコは、また夕べのしっとりとした時間を思い出して、顔を赤らめてしまった。
決して慎也を身体目当てで好きになった訳ではない。
慎也の優しいところや男らしさ、誠実さに惹かれたから一緒になった筈である。
だがリコは、慎也のしなやかで美しい肢体にはどうしても過敏に反応してしまうのであった。




