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RISKY―傷だらけの十字架―  作者: 桜井敦子
83/110

82.再生 その10

「もし良かったら時間ある?せっかく遠方まで来てくれたんだから、一緒に買い物にでも行きましょうよ」慎也が出勤して行った後、リコは里菜に行った。

「良いんですか?」

「私もこれから暇だから案内する」


朝の片付けを済ませた後、リコは里菜を車に乗せて近くのショッピングセンターへ出かけた。


服飾小物やドラッグストア、ブランドショップの他に食料品売り場もある。


二人はエコロジーがテーマの雑貨店をいろいろ見て回った。

「私、こういうの大好きなんです」

里菜はセンスの良いランチョンマットや可愛いデザインの小物入れが気に入ったようだった。

「本当?可愛いね」

同意しながらも、リコは里菜のセンスの良さに感心していた。

そう言えば着ている服も優しい色合いで、だがポイントにセンスの良さを感じるデザインで里菜に良く似合っていた。

やはりモデルの仕事を通してセンスが磨かれているからなのだろうか。

しかし、彼女はこれだけ上品で綺麗なのに、不思議なことにとても親しみやすくて話しやすい。


「疲れたし、お昼だからお店に入ろうか?奢るから」

リコは里菜を誘ってショッピングセンター内にあるイタリアンの店に入った。


そこでリコが驚いたのは、里菜が顔に似合わず結構大食いなことだった。

パスタは大盛りで、その上にピザとマカロニグラタン、シザーサラダも注文していた。

「いつも、そんなに食べるの?」

里菜の前に置かれた料理の品数にリコは唖然とした。

「す、すみません。おごってもらっていたの忘れてつい……」

里菜は慌てて恥ずかしそうな顔をした。

「安いお店だから大丈夫だけど。いつもそうなの?」「はい、私結構食べるんです……」

リコはクスクス笑った。

「ホントに、里菜ちゃんって面白い」

いつもは慎也に笑われることが多いリコだが、里菜に関してはリコの方が笑ってしまう。

可愛いな。リコは里菜のことを素直にそう思った。

「え?」

「本当に気取らないというか。可愛いんだなって思って」

可笑しそうに笑うリコに里菜は恥ずかしそうに頷いた。

「モデルの仕事って意外に体力使うから、それで結構食べるようになったんです。あと、介護の仕事の為にも体力付けたくて」

「偉いなあ、里菜ちゃんは」

「え?」

「ただお人形さんみたいに可愛いだけじゃなくて、自分のやりたいことをしっかり見てるっていうか……」

「そうですか?」

里菜はややくすぐったそうに答えた。

「慎也に里菜ちゃんみたいな妹がいて……私は一人っ子だったから、何だか羨ましいな」

「……」

里菜はリコを不思議そうに見つめた。

「リコさんって何か不思議ですね」

「え?」

「見た目はか弱くて折れそうなのに、暖かく包み込む広さを持っているというか……。兄がリコさんを気に入った理由、何だか分かる気がします」

「里菜ちゃん……」

リコのことを話す里菜の顔は眩しそうで本当に温かな顔だった。


里菜は手に持っていたパスタのスプーンとフォークを丁寧に皿の上に置いた。

そして背筋を伸ばして真っ直ぐリコの方を見つめて言った。

「兄を、どうかよろしくお願い致します」

里菜はリコに向かって深々と頭を下げた。



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