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79. 再生 その7
実家を出たリコの足取りは重かった。
予想出来たとはいえ、慎也との結婚が両親にとって決して諸手を上げて祝福されるものではない現実に打ち拉がれた格好になった。
足取りの重いリコに気がつき、一歩先を歩いていた慎也が振り返った。
「どうした?」
慎也の優しい問いかけに気持ちが緩んだのか、リコの瞳からは涙がとめどなく溢れて来た。
「リコ!」
慌てて慎也が駆け寄った。
「あたし……」
泣きじゃくりながら話すリコを慎也は真剣な眼差しで見つめた。
「間違っていたのかな?」その言葉に慎也はリコを抱き寄せた。
「何でそんなこと言うんだよ!」
慎也はややリコを責めるように言った。
「お前が『俺に全てをかけよる』って言ってくれた時、マジ嬉しかった。もう何も怖くないと思った」
慎也はリコを抱き締める腕に力を込めた。
「間違ってる筈なんかない!俺はリコと一緒になれるだけで十分過ぎる程幸せだ」
そう言って抱き締めた腕を放すとリコに口付けた。
それはさっきまで押さえ込んでいた気持ちを吐き出すかのように、激しいキスだった。
息がとまりそうなくらいのキスに、リコは心を溶かされていく気持ちだった。
そうだ、私だって必死の想いで彼を取り戻そうとしていたのに。
口付けながら、リコは細い腕で慎也の広い背中を力いっぱい抱き締めた。




