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77.再生 その5
リコの実家はさいたま市郊外の閑静な住宅街にあった。
父親は会社でも役員を務めているほどの地位があり、リコも実はそれなりのお嬢様育ちであった。
そして、それなりの地位を持つ父親であれば、当然ながら尾藤建設の一連の騒動を知らない筈がなかった。
リコは何よりもそのことが気掛かりだった。
礼儀とはいえ、このまま無事に慎也との挨拶が終わるとは思っていなかった。
「慎也……」
車から降りてリコの自宅玄関前まで来てリコは一歩先を行く慎也を見つめた。
「どうした?」
振り返った慎也の顔は自分以上に落ち着いているように見えた。
「お父さんは多分、慎也の事情知ってるよね」
慎也はクスッと笑ってリコの肩を優しく叩いた。
「大丈夫だよ。俺はもう腹を決めたんだから」
「慎也……」
「俺はもう、二度と逃げたりしない。だから、安心しろ」
慎也はもう一度リコを優しく見つめた。
「うん」
ためらっても仕方ない。
もう、動き出したのだから。
リコの顔にようやく笑みが戻って来た。




