70.告白 その2
二人で、泣くだけ泣いて、そして泣き腫らして、ようやく涙が枯れた。
涙が痛みと苦しみを全て流してくれたかのように、抱き合ったまま、二人はしばらく動かなかいでいた。
慎也は、嗚咽が止めるとそのまま虚ろな瞳でリコの膝にもたれかかっていた。
その姿はリコに身体を預けて甘えているようにも見えた。
リコは自分の膝にもたれかかる慎也の頭を優しく撫でた。
「そういや作ってくれた飯、まだだったよな」
しばらく二人でそのままでいると、慎也はふと思い出したように言った。
「ああ、そうだっけ?」
リコもふと思い出して言った。
「ちょっと時間が経っちゃったから温め直すね」
「ああ、わりい」
二人でそんなやりとりをしていると、ふとリコの携帯が鳴った。
着信元は一樹からだった。
「……」
ディスプレイの名前をしばらく見つめたあと、リコは思い切って電話に出た。
「もしもし」
『リコくん?もうすぐ引っ越し業者がそちらに向かうみたいだけど、準備は出来てるのかい?』
「そ、それは……」
一樹は二人に起きた出来事など知る由もなかった。
『僕も一緒に手伝うからそちらに向かうよ』
「あの、実は……」
『ん?どうかしたの?』
リコがしどろもどろでいると、慎也が脇から突然携帯電話を取り上げた。
「あ……」
「よう」
呆気に取られるリコに構わず、慎也は電話に出た。
『……』
電話口の一樹は言葉を失った。
「この間は散々にコケにしてくれたよな?」
慎也はややふてぶてしく、脅す口調で言った。
『尾藤……!?』
「生憎完全復活したぜ。てめえのマインドコントロールは失敗だったってことだよ」
『く……っ!なんで!?』
「てめえのやったことは犯罪行為なのは分かってるよな?それなりの報復は覚悟しろ」
『……』
一樹は唇を噛みしめた。
「それと、リコはてめえには絶対に渡さねえからな!」
最後に慎也は強い口調で一樹に言い放った。
「慎也……」
リコは不安そうに慎也を見つめた。
慎也は携帯を切るとリコに微笑みかけた。
「俺がずっと傍にいるから大丈夫だよ」
そういうと、慎也はリコの頭を優しく撫でた。
リコはすがるように慎也の胸に寄りかかった。




