68.覚醒 その3
※今回は性的表現がかなりありますので、閲覧の際はご注意下さい。
慎也は逸る気持ちを抑えられず、バイクのスピードを上げてリコの元に急いだ。
(リコ、行かないでくれ……!)
今の慎也はリコのことで頭がいっぱいだった。
幸い警察の取り締まりにも遭わず、慎也のバイクはリコのマンションのエントランス前に滑り込んだ。
部屋の中にいるリコからも夜の静寂で慎也のバイクの音がはっきりと聞こえた。
居ても立ってもいられず、リコは窓の外を見た。
エントランスの前にはリコには見馴れた赤いオイルタンクのCB1300SFがあるのがはっきり見えた。
そして、予測通りリコの部屋の呼び鈴が鳴った。
「慎也?」
普段は呼ばない下の名前でリコは呼んだ。
確認しなくても呼び鈴の主を間違える筈はなかった。
『リコ、開けてくれ!』
慎也の声を確認するとリコはエントランスの栓錠解いた。
慎也は解錠を確認すると滑り込むように、エントランスのエレベーターへ向かいボタンを押した。
だが、エレベーターは下るどころか、上昇していた。
「クソ!」
慎也は小さく舌打ちしてエレベーターの壁を叩いた。
ヤキモキしながら辺りを見回すと、傍に階段があるのを見つけた。
慎也はエレベーターを待たずに、階段を数段抜かしながら、5階のリコの部屋まで一気にかけ昇って行った。
リコは階段を上がったところにある入り口のところでドアを開けて待っていた。
慎也は階段を上りきると、入り口の前にリコがいるのを見つけた。
まだ若くて体力もある慎也だったが、さすがに5階までかけ上がったのはきつかった。
「リコ……」
肩で息を切らせながら名前を呼んだ。
「慎也……」
自分を見つめる慎也の姿を確認すると、ひとりでにリコの目からは涙が零れ落ちた。
慎也は息を切らせながらリコのもとに近づく。
そして、力強くリコを抱きしめた。
「慎也……!」
リコもまた慎也の背中を強く抱きしめた。
温かくて力強い慎也のぬくもりがリコの身体に伝わってきた。
そのぬくもりがリコにさらなるものを求めさせる。
それは慎也も同じだった。
慎也は一度身体を離し、リコを部屋の中へ誘導した。
部屋に入り、後ろ手で鍵を閉めた。
周囲にはばかるものがなくなったのを確認すると、慎也はまず革ジャンを脱ぎ、半袖の白いTシャツ姿になった。そして露になった男らしい二の腕でリコを抱き締めると、リコに口づけた。
リコも慎也の広い背中にしがみつき、二人は互いの唇を求め合った。
キスは、今まで以上に深く激しくなって行く。
「お前に逢いたかった……!」
吐息混じりに言いながら、慎也はリコの唇を求めて、時々音を立てながら幾度となく角度を変えてくる。
そしてその激しい口づけにリコは思わず身体が芯から熱くなって行く。
思わず漏らした吐息で唇が少し開いたところから、キスだけでは物足りなくなった慎也の舌が入ってきた。
「ん……!」
リコの歯列をなぞった舌は更にリコの舌を求めてきた。
リコの舌に慎也の熱くなった舌の感触が絡みついて来る。
「ん……ふっ……!」
舌を絡ませながら、慎也の熱を帯びた吐息がリコにかかる。
私は……やっぱりこの人でないと駄目だ……!
一樹とは指一本触れられるにも躊躇してしまうのに。
慎也は、逆にもっと欲しくて堪らなくなってしまう。
「慎也……」
リコは慎也から少し顔を離した。
離した唇からは艶やかな糸を引き、まだ離れがたいように互いの唇は熱く濡れていた。
リコは慎也の目を見つめて言った。
「欲しい……!」
吐息混じりのその言葉は、慎也に最後の一線を許すものだった。
「リコ……」
紅潮したリコの顔を見つめる慎也の目は、男のものになっていた。
慎也は離した唇に再度絡みつく。
そして強く抱き締めながら、リコの部屋へ移動した。
ベッドの場所を確認すると、慎也はリコをその場で押し倒した。
そして耳から首筋に唇を移動させて行った。
「ん……っ!」
ゾクリという感触に、リコは思わず身をよじった。
「怖いか……?」
唇を離し、慎也が優しく声をかけた。
リコは首を横に振った。
「大丈夫……」
リコにだって男性経験がない訳ではなかった。
だが、初体験は実際何が何だか分からないまま終わってしまった。
それ以来、彼氏らしい彼氏のいなかったリコはもちろんそう言った経験とは無縁だった。
だから慎也との行為は、殆ど処女の時とあまり変わらなかった。
慎也はリコが少し身を固くしていたので、ゆっくりキスをしながら気持ちを解いて行った。
「大丈夫、俺に任せて」
そう言ってリコの頭を優しく撫でた。
そしてリコの身体から緊張感が取れたのを確認すると、ゆっくりと手を胸元へと下ろして行った。
優しく、リコの気持ちを確認するように。
二人は着ていた服を脱ぎ捨て、生身となった互いを求めあった。
月の青い光でうすぼんやりと慎也の厚みのある胸板の裸身が映し出される。
「リコ……」
リコの身体に直接慎也の熱くなった身体が重なってきた。
そして、時々固くなった男性自身をリコの太股に何度も押しあててきた。
慎也が指と舌でリコの奥深くに触れるともうそこは十分過ぎるくらいに潤っていた。
「いいか?」
慎也がリコに確認するとリコは無言で頷いた。
いざ挿入となると、リコのはまるで初めてのようにきつかった。
「痛っ!」
挿入の痛みにリコは思わず顔をしかめた。
「大丈夫?」
「うん、ごめん……」
リコは思わず謝ってしまった。
リコなりに慎也の気持ちに応えようとしていたが、まだ行為への緊張感は溶けなかった。
慎也はリコの緊張をどうにか解いてやろうと思った。
「リコ、力脱いで……」
慎也はリコの頭を撫でながら、耳元で囁いて見せた。
ゾクッとする感触でリコの緊張は少し溶けた気がした。
そしてもう一度侵入を試みた。
まだ相当きつかったが、それでも今度は比較的スムーズに言ってくれた。
慎也は自分自身をきつく締め上げられ、快感が全身を突き抜けた。
「ん……っ!」
突き上げる力はだんだん激しくなって行く。
少しきつかったが、慎也との初めての行為はリコには満たされたものだった。
「慎也……」
ことの後、自分の隣に横たわる慎也を見つめながらリコは言った。
慎也もリコの視線に気付き見つめ返した。
「もう、どこへも行かないで……」
慎也を見つめながら、リコの目からは勝手に涙が零れてきた。
慎也はそんなリコを黙って優しく抱き締めた。




