表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RISKY―傷だらけの十字架―  作者: 桜井敦子
5/110

4.出会い その3


「どうもごちそうさまでした」


リコたちは、あれだけのコース料理を全く一銭もはらうことなく、ご馳走になってしまった。




すっかり外は暗くなり、皆家路へと急ぐ人で通りは賑わっている。




「帰りは送るよ」と沢田が言うと、沢田の携帯が鳴った。



「ごめん、ちょっと待ってて」

そういうと沢田はリコを一人残して、人ごみに消えて行った。




5分、10分、なかなか沢田が戻って来ない。




リコは不安になって沢田が行った方向へ行くと、ドンと何かにぶつかった。




「イテ!」叫んだのは柄の悪そうなグループの男の一人だった。



「あ、ごめんなさい!」

リコはぶつかった相手の身なりに恐れて咄嗟に謝った。



相手の男はリコを見るなり、

「ん?アンタ可愛いじゃん。付き合わねえ?」

と言ってきた。

「え?」


「結構俺好みだよね。ちょっとだけ、いいじゃん」

「ちょ…放してください!」



しかし、男はリコの手を強く掴み放そうとしない。



「やめて!助けて!」



叫んだ途端、誰かが、男の腕を取り上げた。



「女一人に何よってたかってんだよ?」



男の腕を掴んだのは、ジーンズ姿の背のすらっと高い若い男性だった。



「んだ?てめえ!」

リコの腕を掴んでいた男が、その男性ににじり寄った。



背の高い男は、掴んだ腕をねじ揚げ、掴まれた男は悲鳴を上げた。

「イテテテ!」


すると、つるんでいた仲間うちの一人が、

「やべぇ!尾藤じゃねえ?」

言葉に反応した他の仲間が顔を確認すると、驚いたようにあとず去った。


「あの噂の!?」

「ズラカルぜ!」



男たちはおののくように、そそくさとリコのもとを離れた。



「ケガねえか?」尾藤と呼ばれた男がリコに声をかけて来た。



「あ、はい…」

暗くてはっきりは分からないが、顔立ちが整った、ちょっとイケメンな感じだった。

顔だけでなく、引き締まった身体つき…。


リコは「尾藤」の美しい容姿に一瞬目を奪われた。




はっと我に帰り、リコは彼に礼を言った。

「あ、ありがとうございます!」

「気を付けて帰れよ」

去って行こうとする尾藤をリコは慌てて呼び止めた。



「尾藤さんって言うんですか?」


「尾藤」は振り向きざまに、冷たく言い放った。




「俺には、関わらないでくれ。」


尾藤はそう言って、人ごみへと消えて行った。




「いたいた、探したよ!」遠くから沢田がリコに声をかけて来た。




「ごめん、大丈夫だった?」沢田は心配して言った。



「あ、うん…。」

リコは絡まれたことは沢田には話せなかった。もちろん、尾藤のことも…。



「家まで車で送るよ」


沢田はリコを高級車の助手席に乗せた。



「何か疲れているみたいだけど、大丈夫?」

ハンドルを握りながら、顔色が冴えないリコに沢田は声をかけた。



「あ…うん、大丈夫よ」

リコは無理やり作り笑顔で答えた。




今日は一辺にいろんなことがあり過ぎた…。




若い社長の沢田との出会い、絡まれた時に助けてくれた尾藤との出会い…。




沢田との出会いだってインパクトなのに、リコには、助けたあの尾藤という男性の事が、何故だか頭から離れなかった。




この時リコは、この出会いがとんでもないことに巻き込まれるとは考えもしなかった。



*出会い 完*



「どうもごちそうさまでした」


リコたちは、あれだけのコース料理を全く一銭もはらうことなく、ご馳走になってしまった。




すっかり外は暗くなり、皆家路へと急ぐ人で通りは賑わっている。




「帰りは送るよ」と沢田が言うと、沢田の携帯が鳴った。



「ごめん、ちょっと待ってて」

そういうと沢田はリコを一人残して、人ごみに消えて行った。




5分、10分、なかなか沢田が戻って来ない。




リコは不安になって沢田が行った方向へ行くと、ドンと何かにぶつかった。




「イテ!」叫んだのは柄の悪そうなグループの男の一人だった。



「あ、ごめんなさい!」

リコはぶつかった相手の身なりに恐れて咄嗟に謝った。



相手の男はリコを見るなり、

「ん?アンタ可愛いじゃん。付き合わねえ?」

と言ってきた。

「え?」


「結構俺好みだよね。ちょっとだけ、いいじゃん」

「ちょ…放してください!」



しかし、男はリコの手を強く掴み放そうとしない。



「やめて!助けて!」



叫んだ途端、誰かが、男の腕を取り上げた。



「女一人に何よってたかってんだよ?」



男の腕を掴んだのは、ジーンズ姿の背のすらっと高い若い男性だった。



「んだ?てめえ!」

リコの腕を掴んでいた男が、その男性ににじり寄った。



背の高い男は、掴んだ腕をねじ揚げ、掴まれた男は悲鳴を上げた。

「イテテテ!」


すると、つるんでいた仲間うちの一人が、

「やべぇ!尾藤じゃねえ?」

言葉に反応した他の仲間が顔を確認すると、驚いたようにあとず去った。


「あの噂の!?」

「ズラカルぜ!」



男たちはおののくように、そそくさとリコのもとを離れた。



「ケガねえか?」尾藤と呼ばれた男がリコに声をかけて来た。



「あ、はい…」

暗くてはっきりは分からないが、顔立ちが整った、ちょっとイケメンな感じだった。

顔だけでなく、引き締まった身体つき…。


リコは「尾藤」の美しい容姿に一瞬目を奪われた。




はっと我に帰り、リコは彼に礼を言った。

「あ、ありがとうございます!」

「気を付けて帰れよ」

去って行こうとする尾藤をリコは慌てて呼び止めた。



「尾藤さんって言うんですか?」


「尾藤」は振り向きざまに、冷たく言い放った。




「俺には、関わらないでくれ。」


尾藤はそう言って、人ごみへと消えて行った。




「いたいた、探したよ!」遠くから沢田がリコに声をかけて来た。




「ごめん、大丈夫だった?」沢田は心配して言った。



「あ、うん…。」

リコは絡まれたことは沢田には話せなかった。もちろん、尾藤のことも…。



「家まで車で送るよ」


沢田はリコを高級車の助手席に乗せた。



「何か疲れているみたいだけど、大丈夫?」

ハンドルを握りながら、顔色が冴えないリコに沢田は声をかけた。



「あ…うん、大丈夫よ」

リコは無理やり作り笑顔で答えた。




今日は一辺にいろんなことがあり過ぎた…。




若い社長の沢田との出会い、絡まれた時に助けてくれた尾藤との出会い…。




沢田との出会いだってインパクトなのに、リコには、助けたあの尾藤という男性の事が、何故だか頭から離れなかった。




この時リコは、この出会いがとんでもないことに巻き込まれるとは考えもしなかった。



*出会い 完*

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ