48.暗転 その4
『リコ、無事だったの?』「うん、大丈夫、心配かけてゴメンね」
今日の事件の件は関東地方向けのニュースでテレビで取り上げられ、ハナは心配して電話をかけてきてくれた。
『そこは謝るトコじゃないでしょ!』
ハナが説教するように言った。
『慎也さんとかは?無事だったの?』
「それが…」
リコは車が突っ込んで割れたガラスの破片で慎也が大ケガをしたことを話した。
「とりあえずケガの方は何とかなったけど、会社辞めさせられて…」
『そんな…』
ハナもさすがにショックを隠せない様子だった。
『仕事先はまたどうにかみつけるとして…でも慎也さんがそういう筋とつながりがあったなんて…』
そう言われてしまうとリコも自信をなくしかけてしまう。
『ゴメン、リコ、変なこと言って』
「うん…あたし、もう一度彼に連絡とってみる…」
リコには今日の出来事が今だに信じられなかった。
まさか慎也が暴力団から追われる身だったなんて…。
私はこれから彼にどう接していけばいいのか。
家に戻り、リコは慎也の携帯に電話をかけた。
『おかけになった番号は現在電波の届かない場所か、電源が入っていないため…』
電話が通じないってどういうこと?
不安におもいながらも、リコは仕方なくメールの方へ連絡した。
「連絡下さい。お話したいことがあります。」
何を話すかなんて考えていなかった。
だが、ここでそんなことで迷っている場合ではない。
とにかく会って気持ちを伝えたい。それだけだった。
そう考えている矢先、リコの携帯が鳴った。
見覚えのない携帯番号だった。
「もしもし」
とりあえず、電話に出てみた。
『リコちゃん?俺、近藤だけど』
電話口から馴れ親しんだ声が聞こえて来た。
「ゴメンね、勝手に電話かけたりして。会社の社員名簿から番号調べちゃった」近藤はリコを彼女のマンション近くのファミレスに呼び出した。
「近藤さんなら信用してるから大丈夫です。尾藤くんから聞いても良かったのに…」
「シンの奴、今連絡が取れなかったから…」
「近藤さんもですか?」
「うん…。あ、俺のことは、さん付けで呼ばなくて良いよ。近藤とかって呼び捨てでいいし」
近藤は若干照れながら言った。
「今日呼び出したのは、リコちゃんにシンのことで、いろいろ話しておきたかったからなんだ」
「尾藤くんのこと?」
注文したコーヒーとアイスティーが運ばれて来た。
「シンのこと高校時代から知ってるから、アイツがどんな奴なのか、俺の口から話しておいた方がいいと思ってさ」
「…」
リコは自分のアイスティーにガムシロップとミルクを入れてかきまぜた。
「聞かせてもらってもいい?」




