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RISKY―傷だらけの十字架―  作者: 桜井敦子
45/110

44.至福 その7

指定暴力団関東興和会の事務所――




「仙崎さん、尾藤の奴は本当にウチに入るんですかね?」

構成員の一人がパソコンのディスプレイを見つめ、返答はしなかった。



仙崎の隣には胸が今にも出そうな半裸姿の風俗嬢風の派手な女が絡み付いている。


豊かな胸元を仙崎の肩に押しつけても、仙崎は表情一つ変えなかった。




「いつまでも、もたついていねえで、早いトコ奴を取り込んちまった方が良くありませんかね?」

「けっ、尾藤の奴、調子くれやがって。オレは昔からアイツは気に入らなかったんだ」

「てめえのは昔の女を尾藤に取られたことの恨みだろうが」

「ヤツとツラで勝負して、てめえが勝てる訳ねえだろ」

「今は慌てるところじゃねえ」

仙崎が口を挟んで来た。



構成員達が一斉に振り返った。



「ヤツがこちらになびくシナリオは出来ている。ウチが何もしなくても、ヤツの方からノコノコ来るさ…」

その構成員達に見せ付けるかのように、仙崎は先ほどの女の胸を片手で掴み、揉みしだいた。



構成員達は、仙崎の言葉と今やっている様子にゴクリと唾を飲み込んだ。



「後は時間の問題って奴だな…」

仙崎は先ほどの女を股間に誘導し、女に自分自身をくわえさせた。






「仙崎のやり方は手ぬる過ぎるぜ…」

「ああ、オレもそう思うな」

事務所の外で、他の構成員達が会話をした。


「仙崎さんとしては、何か策略があるんだろうけどな」

「策か何か知らねえけど、もたついてるようにしか見えねえな」

「早いトコ、尾藤を襲撃するしかねえ…」






*******


「くそ、またかよ?」

慎也が、出勤前にバイクのエンジンをかけようとしたところ、上手くかからなかった。



「ったく、この間は異常音だし、ついてねえ…」







リコのスマートフォンの着信音が鳴った。

「もしもし、どうしたの?」


電話の主は慎也だった。

『出勤、ちょっと遅くなるって店長に伝えといてくれるかな?朝からバイク調子悪くてちょっとディーラー寄ってくから』

「分かった、気を付けてね」

『ありがと…何かの予兆じゃなければいいけどな…』慎也は、やや不安げに言った。


「予兆?」

『前もタイヤの調子悪くてそんなことあったから…。多分、俺の考え過ぎだろうけど…』

慎也は自分に言い聞かせるように言った。


「そうだね…あまり気にしないで」

『うん…』


慎也にそう言ったものの、リコにも何故か不安が募っていた。




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